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2019年8月29日 審判の日

2019年8月29日


西香(さいか)衣玖(いく)さん!あれは一体なんなんですの!?」


 その日、世界は誰も気づかない世界の片隅で、とても大きな歴史の岐路に立たされていた。


衣玖(いく)「わからないわ!でも現代の技術で作られたとは思えない……!」


 のんびりと過ごしていた五人の少女たちの家に、突如人型のキラーマシーンが現れたのだ。不幸中の幸いに、真凛(まりん)とあの子は買い物中で留守にしていたのだが、衣玖(いく)西香(さいか)はその標的となってしまう。


西香(さいか)「どうして執拗に追いかけてくるんですのー!」


衣玖(いく)「こんな時にルーがいないなんてね!」


 まるで液体金属のように、そのキラーマシーンの指は鋭利な形を作っていく。そして走り逃げる衣玖(いく)を後ろから突き刺そうとした、その時だった。


??「ロケットパー―ンチ!!!」


 そのキラーマシーンは突然上半身に風穴を開けたのだ。それは逃げ惑う衣玖(いく)らの前方から現れた何者かが起こしたらしい。


 その人物は片腕をジェット機構によって弾丸のごとく飛ばしつけ、その推進力を持ってキラーマシーンの胸部を打ち貫いたのだ。


西香(さいか)「あ!あなたは!」


衣玖(いく)「ルー!?あなた勾留中じゃなかったの?!」


 そう、その人物は留音(るね)だった。いつのまにかロケットパンチを携えて帰ってきたのだ。


留音(るね)?「細かい話はあとだ。今はお前たちを安全なところに逃がす」


 キラーマシーンは再び稼働を始めた。液体金属であるそのボディは風穴が開こうとも簡単に修復してしまうようだ。


 ……というような事がなんやかんやあって、三人はとりあえず安全な場所へ逃れることが出来た。この夏の暑い日に、衣玖(いく)西香(さいか)も汗をだらだら流してやっと逃げられたらしい。


衣玖(いく)「ルー、なにか事情を知っているようだけど、これはどういうことなの?」


留音(るね)?「そうだな。初めから説明せねばなるまい。最初に言っておくが、私は留音(るね)ではない。精巧な模造品だ。2019年8月29日の留音(るね)は前日の設定を引っ張って今日も留置所で寝泊まりしている」


西香(さいか)「模造品……こんなに似ているのに留音(るね)さんではなかったんですの……?」


衣玖(いく)「そうね、筋肉隆々のストロングボディだったり声が玄田○章さんチックだったり、ルーと色々そっくりだけど……でもロケットパンチにハイパービームサーベル、そしてその変形機構には私も薄々別人だと感づいていたわ」


留音(るね)?「うむ。私はルーネネータン。そして私が送り込まれたのは他でもない、お前たちを守るためだ」


西香(さいか)留音(るね)ねーたん?」


衣玖(いく)「送り込まれたというのは……未来からね?」


ルーネ「流石だな。そう、今日は人類の殲滅を目的とするシステム、スイカネットが稼働する日なんだ。そして衣玖(いく)、お前はそのスイカネットを稼働後であろうとも三秒でシステムを止められる頭脳を持った人間だ。だからスイカネットはお前の命を奪おうと、先程の人型兵器、ターネーターを送り込んできたというわけだ」


西香(さいか)「スイカ?タネ?」


衣玖(いく)「そのスイカネットを止めるにはどうしたらいいの?」


ルーネ「うむ、スイカネットを完成させてしまう唯一のマイクロチップは私の中にある。これを破壊しなければならない」


 ルーネネータンは自分の腕を示し、そう言って階下を見下ろした。そこには何故か溶鉱炉があったのだ。さっきから暑い気がしていたが、それは単にスイカの似合う夏だからというわけではなかったらしい。ルーネネータンはその溶鉱炉を見下ろし「自分では破壊できない。お前が破壊してくれ」と伝えると、近くにあった昇降装置のボタンを西香(さいか)に手渡す。


西香(さいか)「ちょっと待ってくださいな、今この人今唯一のって言いませんでした?」


衣玖(いく)「る、ルーネ!死ぬことないわ!私が命令する!死ぬなって言ってるのよ!命令を聞けないの?!」


西香(さいか)「わたくしよくわからないんですけど、唯一のってことは最初からそれ壊しとけばよかっただけの話なのでは?」


ルーネ「人間が何故泣くかわかった……私に涙は流せないが」


 ルーネネータンは昇降する鎖を掴む。あとはボタン一つでそのままゆっくりと溶鉱炉へ降りていくようだ。


西香(さいか)「わたくしますますわからないんですけど、この2000文字足らずの間に何か感動を覚えるような事ありました?」


 そう言って西香(さいか)は更に「特に思い入れもありませんので迷いなく押しますわよ?」とボタンを押し、ルーネネータンはゆっくりと溶鉱炉へ沈んでいく。


ルーネ「さようなら」


 ルーネネータンは最後に指でサムズアップを作り、溶鉱炉の中へと消えていった。どこからともなく名曲が流れているような気がした。「てれれ~て~れれ↓~……てれれ~て~れれ↑~」……


西香(さいか)「わたくし展開について行けないんですけど、結局最初の悪いヤツってもう破壊出来てたんですの?」


衣玖(いく)「それは大丈夫。マイクロチップがなくなればスイカネットは生まれない。ってことはターネーターも生まれないから、タイムパラドックスが補正されてヤツの存在も消えるわ」


西香(さいか)「だったらますますわからないんですけど、今の人が来た意味ってまるでなかったような気がするのですが」


衣玖(いく)「元も子もなく言えばそうね。でもそういうの指摘するのは野暮な世界よ。それよりも読者さんにあの作品の大変な日が今日だったって伝わるのが大事」


西香(さいか)「はぁ。わたくしとしては昨日から留音(るね)さんが引き続き勾留中というプチ情報が愉快だったのでいいんですけど」


衣玖(いく)「そういえばルー、I'll be backって言ってたわ。明日には普通にいるでしょ」


 今日はターミネーターシリーズで審判の日が起きた日。

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