2020年8月22日 チンチン電車の日 Ver.ミニーズ
2020年8月22日
聖美「そこをどいて、アンジーちゃん……!」
アンジー「だめっ! 今日も行かせない!!」
イリス「(またやってる……あたしにはもう既に色々わからないけど……)」
というわけで大人の日やらアダルトの日やらマッサージの日やら忘れたが、聖美ちゃんとアンジーちゃんの清楚攻防戦が繰り広げられているようだ。
アンジー「今日の日めくりがなんの日か、去年のを見て知ってるよ!! 聖美ちゃん、それでまた何かする気なんでしょ!!」
聖美「ふふっ……別に何もしないよ……普通に確認に行くだけだよ? 五人少女ちゃんたちに、どんな日なのって聞きたいだけ……私はただ今日がなんの日か知りたいだけ……」
イリス「なんの日なの?」
アンジー「狙いが不純だよっ!! みんなに確認する意味なんてないし、去年の日めくりを見ればいいじゃない! 最近こんな話ばっかりだよ!!」
聖美「だって五人少女ちゃんたち、燃え尽きちゃって日めくりのモチベーション低いんだもん……私達が頑張らないといけないから……で、アンジーちゃん。……不純って何が?」
聖美はニタァと妖しく笑って尋ねる。イリスは「ごめん、忙しいのね」としょんぼり一歩下がった。
アンジー「だ、だって今日の日めくりは……」
聖美「なぁに? なーんの日なんだろぉー??」
クスクスクスと、この顔に蔑まれたいランキングがあれば1位くらいの表情でアンジーに問いかける聖美。
アンジー「きょ、今日は……ちん……」
聖美「チン?」
イリス「ちん?」
アンジー「……路面電車の日……」
恥じらってうつむきながらボソっと言ったアンジーに聖美はすごく満足そうにする。
聖美「ざーんねん! 違いましたー! はい、じゃあアンジーちゃんも一緒にみんなに教えてもらわないと! 今日がなんの日か!! ね!!!」
聖美はアンジーの腕を引っ張って行く。アンジーはどうしようどうしようと思いつつ、イリスが「あ、行くの?」と魔法を起動してぱぱっとインスタントに五人少女宅に到着した。
聖美「やっほーーーみんなーーー!!」
聖美が元気に家に侵入していく。
聖美「今日の記念日を教えてもらいに来たよー! 今日はなんの日ですかー!!」
誰でもいいから教えてーとニコニコしながらリビングに入ると、衣玖はだらけた格好でゲームをして、真凛はそれを後ろで座りながらくつろいで見ている。
真凛「あ~日めくりやってくれてるんですね。今日はなんの日だったかなぁ」
衣玖「チンチン電車の日」
衣玖がチューチューアイスを加えながらそう言ったので、聖美は表情をとても明るくしながら「そうなんだ~~!」と手を叩いている。
衣玖「ちなみに今日はそれしかないのよ。日めくり2周目にこういう日ってホントきついわよね。もうだからゲームしてる」
聖美「そうだね! えっと、なんの日だっけ!」
衣玖「チンチン電車の日」
聖美「最初の4文字がよく聞こえなかったぁ」
衣玖「チンチン」
アンジー「あわわわわわわ……」
イリス「何? チンチン電車って」
聖美「真凛ちゃんは今日がなんの日か知ってたー?」
真凛「もちろんですよぉ、言われて思い出しましたぁ。去年やったなぁ」
聖美「はいっ、じゃあ問題です。今日は何電車の日でしょうかー!」
真凛「もうー! 問題になりませんよぉ。チンチンですっ」
聖美「さすが~! 正解!」
怒涛の会話スピードである。聖美はとても楽しそうだが、イリスは置いてけぼり、アンジーはわたわたしながら見守っている。
聖美「ねぇねぇ、じゃあその上の四文字ってどうしてそういう言葉になったの?」
衣玖「チンチンって通称は停留所で鳴らす音から来てるみたい。場所によってはカーンって音がするからカンカン電車って呼ばれる場所もあるみたいね」
聖美「へぇ~。さすが衣玖ちゃん、鳴る音の回数に意味が合ったって聞いたことあるんだけど、通過しますって意味だとどうやって鳴るの?????」
衣玖「2回よ。ベルが2回鳴るの」
聖美「へぇー。2回鳴ったらどういう音になるんだろー」
衣玖「そりゃチーンチーンって。……何? 今日IQ3なの聖美は」
アンジー「そうかも……」
イリス「聖美、そんなに電車好きだった?」
聖美「日めくりだからねっ。みんなありがとう~」
満足したのか、およそ3分の滞在で彼女たちの家を出た聖美。衣玖も真凛もなんのこっちゃと首を傾げた。
聖美「んー」
楽しんでいた聖美だったが、家を出て少しパッとしない表情を作っている。
イリス「どうしたの?」
聖美「ううん。なんていうか、まぁ普通に路面電車だったなーって……」
アンジー「そりゃあ……うん」
聖美「もっと恥じらってくれたりしたらなって思って……アンジーちゃんの反応が良かったなぁ……」
イリス「なんで電車で恥じらうの?」
アンジーは疲れた表情で「さ、さぁ」とトボけた。じゃあ帰ろっか、なんて満足した聖美だったが、そこへ留音が帰ってきた。どうやらひとっ走りしていたようだ。
留音「おっ、ミニーズ」
留音は「よっ」と手をあげて挨拶すると、途端に聖美の表情が輝きだす。
イリス「で、出たな留音!! ちょうどいい、今日はもう帰るところだからその前に一勝負……」
イリスの宣戦布告を遮り、聖美が前に出て言った。
聖美「留音ちゃん! 今日ってなんの日だったかな!? なんとか電車の日だよ! ヒントはベル!!!」
留音「えっ? んー……なんだっけ。最近日めくってないし……」
聖美「ヒントはベルの音!! 二回鳴るよ!!!」
留音「ベル……あっ」
どうやら思い出したようだ。留音は緊張が高まったのか口を結んだ。
聖美「ねぇねぇねぇねぇ!! なんの電車だっけ?! ねぇねぇ!!」
留音「ち……あの、路面電車の日だな……」
聖美「違うよねぇ! 路面電車の日は6月10日だもん今日は8月22日です!! さて今日はなんの日でしょうか!!!」
留音「うッ……あの……だから、チンチン電車の日だよ……」
聖美「もごもご言って聞こえなかった!! もう一回!!」
留音「ち、チンチン電車っ……」
イリスはダメージを受けていく留音が、どうしてこんなふうに弱っていくのかわからない。だが留音の弱点であるらしいことはわかったので。
イリス「何何っ、電車が嫌いなの!? なんでそんな感じなの!?」
留音「別に電車は普通だし……」
聖美「じゃあなんでそんなに言いにくそうなのー? ねぇねぇなんでなんでー?」
留音「うるせぇーー!! まだ走ってる途中なんだよ!! 早く帰れ!!」
留音は猛スピードでその場を立ち去った。
イリス「すごい……勝ったわよ聖美……」
聖美「完全勝利だったね!」
アンジー「どうだろぉ……」
今日はそんなチンチン電車の日。




