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2020年8月9日 ハグの日

2020年8月9日


 五人少女宅。いつもの8人が集まって晩ご飯を食べている。


 今日はハンバーグだ。なんといってもハンバーグの日である。


聖美(きよみ)「やっぱり真凛(まりん)ちゃんのハンバーグはオイシイねそういえば今日は清らかな心で迎えるハグの日だよ」


 聖美(きよみ)は食べて、伝えながら、その言葉を遮って本題に移った。


アンジー「そ、そうなんだ(清らかな心とか言っちゃうんだね……)」


留音(るね)「ハグの日ー? ぎゅーの?」


聖美(きよみ)「そうだよぉ。みんなはハグってする?」


真凛(まりん)「ハンバーグ美味しくてよかったー^^」


衣玖(いく)「しないわよ。デミグラスソースがコクがあっていいわね。お手製?」


真凛(まりん)「そうですよぉ、赤ワインを使ってるのと、ちょっとだけお味噌を隠し味にしてて……」


聖美(きよみ)「でも今日はハグの記念日だよ? 今日はしといたほうがいいんじゃないかな?」


真凛(まりん)「しませんよぉ。ハンバーグもなんですけど、付け合せも結構いい感じでしょぉ^^ レストランみたいに作れて^^」


聖美(きよみ)「そうだねぇ。コックさんもハグはするって話だけど……しないの?」


留音(るね)「やだよ。それよか野球の日だぞ。ちょっと休んでたし日めくり野球にする?」


衣玖(いく)「バッティングセンターでもいってらっしゃい」


聖美(きよみ)「野球選手もハグしてるよね、テレビとかでも。みんなもハグしとく?」


アンジー「(聖美(きよみ)ちゃんが……謎の戦いをしかけている……)」


 こうして食事は進み、聖美(きよみ)は事あるごとにハグを会話に引き出したのだが、誰も引っかかることは無く。


アンジー「(うーん、聖美(きよみ)ちゃんの敗北だ……)」


聖美(きよみ)「うぅっ……清らかな心で迎えたのに……どうしてぇ……」


西香(さいか)「この人なんで泣いてるんですの?」


聖美(きよみ)「だって誰もハグに興味ないんだもん!!」


真凛(まりん)「なんでしないといけないんですかぁ……」


留音(るね)「っていうか、そんなにハグの日したいなら隣に二人いるじゃん」


真凛(まりん)「そうですよぉ。わざわざわたしたちに言わなくても……」


聖美(きよみ)「だって……だってッ、普段はもう……私達、しなれちゃってるもん!! だから特別感ないし!!」


イリス「ん……? 聖美(きよみ)?」


アンジー「(ないないないない)」


西香(さいか)「うわぁ。なんていうか、あなた達ってそういう感じなんですのね……」


聖美(きよみ)「健全だよ!!! ほら、こんなふうに……」


 聖美(きよみ)は隣にいたアンジーをキュッと抱きしめた。軽くではあるが、接触面は非常に広く持たれている。


アンジー「わッ!!」


聖美(きよみ)「こんなかる~くするだけだから! 挨拶のやつだから! 欧米式の! 私達の方が国際派だからね!」


衣玖(いく)「世界跨いでる人いるしね。というかアンジーがショートしてるけど大丈夫?」


留音(るね)「ってか、じゃあそれでいいじゃん。記念日終了ー」


聖美(きよみ)「はーそうやって仲間ハズレにするんだ。一年迎えたのにまだ私達を外の人扱いだ。私はみんなと親交を深めるために清らかなハグをしたかっただけなのに……」


イリス「ちょっと! 聖美(きよみ)がこんなに悲しんでるのよ! ハグくらいしなさいよ! あたしはしたこと無いけど……」


留音(るね)「あーもう。じゃあするか? ほれ」


 留音(るね)はイリスに向かって軽く手を開いた。


イリス「あッ?! な、なんでこっち見て開くの!?」


留音(るね)「親交を深めるって……お前しょっちゅう突っかかってくるから……」


聖美(きよみ)「そうじゃないでしょぉー!! ……いやそれでもいいか! さぁイリスちゃん、ハグして!」


イリス「えッ!! る、留音(るね)と!?」


聖美(きよみ)「そう!! 私も後に続くから!!」


留音(るね)「なんだよそれ……先着一名でーす」


聖美(きよみ)「ダメッ! 総当たり戦!!」


衣玖(いく)「なんでこんな必死なの?」


真凛(まりん)「鬱陶しい☆」


西香(さいか)「(めんどくさくなりそうなので部屋に戻りましょう……あの子も連れてった方が良さそうですわね……)」


 というわけでハグの日。その後聖美(きよみ)は鼻を気遣いながら幸せそうに帰宅したのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 聖美ちゃんの清らかなハグ… ハグというよりは、博愛固めになってそうですね…‼︎ 400部め、おめでとうございます!
[一言] 最近、聖美ちゃんの破壊力は、西香ちゃんのそれを凌駕しつつあるような……
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