表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
399/414

2020年8月3日 封印されし聖美ディア

2020年8月3日


 世界を滅ぼすマノモノ。その名を聖美(きよみ)ディア。


アンジー「どう? イリスちゃん、聖美(きよみ)ちゃんの様子は……」


イリス「えぇ、大丈夫。聖美(きよみ)は封縛のクリスタルの中で静かに眠ってるわ」


 魔法界のある洞窟に、聖美(きよみ)ディアは眠っている。彼女の本名は聖美(きよみ)。ここに居る二人の美少女(一人は男の娘だが)の友人である。


イリス「でも……やっぱり少し可哀想っていうか……本当にここまでする必要があるの? 8月に入ったというだけで……」


アンジー「やむを得ないんだ。8月は……ボクだって不本意だよ? でも……世界が滅びてしまう可能性がある以上、こうするしかないんだよ」


イリス「……聖美(きよみ)のためでもあるのよね……」


 7月31日の深夜より、聖美(きよみ)はこのクリスタルにて眠っている。意識はただ眠っているのと同じで、苦しさなどは一切ない。ただひと目に触れないところで静かに、長い時間眠りについているのだ。


 しかし一体何故こんな事になったのか。それはアンジーがある記念日を見つけてしまったことによるのだ。


 それは8月2日でわかるだろう。パンツの日である。


 去年の8月2日、五人少女はあろうことかパンツの日で日めくりを行っていた。それを何回も読み返していた聖美(きよみ)が、ここ数日何度も下着の下見をしていたのである。


 調査を進めたアンジーはそこで聖美(きよみ)の裏の計画……あぶない下着着用計画なるものをキャッチした。


 そう、五人少女達に自分の好みの下着を着させ、それを見せてと迫る作戦である。それが不可能なら今何履いてるのお嬢ちゃんと迫るつもりだったのだ。


 そんな事はさせられない……アンジーはイリスに相談し、なんとか8月2日の日めくりが行われないように封印を計画した……のだが、事態はそれだけではなかった。


 8月1日。っぱいの日である。聖美(きよみ)はそこにも計画を建てていたことが判明したのだ。


 しかもそれは直接的な手段を綿密に計画されており、まず第一に大きさ比べ計画により留音(るね)真凛(まりん)に自然と触れる作戦を。そして第二に発育計画により衣玖(いく)を手篭めにしようとしていたのである。


 これを封じるため、7月31日より聖美(きよみ)を封印したのである。8月2日までに封印が解かれることで世界を滅ぼす危険がある聖美(きよみ)ディア……恐ろしい存在なのだ。


イリス「でもアンジー、もう8月3日よ。封印はいつまで……」


アンジー「い、イリスちゃん! ここで日付を言ったらダメ!」


 イリスはうかつにも日付を口にしてしまった。封縛のクリスタルに密閉されているといえど、聖美(きよみ)は執念深く五人少女達へのピンクチャンスを狙っている。意識を落とすはずのクリスタルの中でも、そのワードに反応しないわけがなかった。


 クリスタルの中から少しずつ亀裂が入っていく。そしてゆっくり聖美(きよみ)が瞳を開け、包まれたクリスタルの内面をドンと叩いてイリスとアンジーを見て言った。


聖美(きよみ)「ふたりとも……今日は何日……? ねぇ……ここから出して……?」


アンジー「き、聖美(きよみ)ちゃん……」


イリス「うわわわ……どうしてっ?! 封縛のクリスタルは幻惑効果も与えるのに……」


聖美(きよみ)「大丈夫……二人には何もしないから……ちょっと用事があるの、お願い出して……?」


アンジー「だ、だめだよ聖美(きよみ)ちゃん! もうぱいの日とパンツの日は終わっちゃったんだ! 聖美(きよみ)ちゃんが行くところなんて無いよ!!」


聖美(きよみ)「8月……3日? ……じゃあいっぺんに日めくりしないとね……! ふふふふふ!」


 ドン、ドンとクリスタルを内側から叩く聖美(きよみ)。イリスは「ひええ」と怯えている。


アンジー「やっぱりせめて4日まではお休みしないとダメだった……! い、イリスちゃん、もう一度眠らせられないっ?!」


イリス「やってるのよ! 全然効かないの! 無敵なの聖美(きよみ)!!」


聖美(きよみ)「出して……出して……出して……出して出して出して出して」


 亀裂は大きくなっていき、やがて割れると、聖美(きよみ)はひたひたと五人少女達の家に向かって進んでいく。イリスとアンジーが何をしようとも止めることは出来ず、世界は滅びを迎えるかに思えた。がしかし。



――――――――――――


留音(るね)「すげぇなぁこの蜜……こんなにとろとろでさ」


 今日ははちみつの日。去年はゲームの話だったので、今日ははちみつでも使って料理でも、なんて計らいで真凛(まりん)留音(るね)とキッチンに立っている。


 そして目の前にあるのはなんと巣蜜。蜂が作った巣のままのはちみつを、真凛(まりん)が商店街で買い物中に行きつけの店のおばあちゃんからもらったらしい。


 それをどうしても切ってみたいという留音(るね)、おぼつかない手付きで包丁を握って、巣蜜をツンツンついている。


留音(るね)「うわぁ……こんなにベタベタになるんだ……指がもうベチャベチャになっちった」


真凛(まりん)「もうっ、遊ばないでくださいーっ」


 留音(るね)は巣蜜の外の箱のような部分を取り外す。


留音(るね)「うわぁ……中はこんなふうになってるんだ……すっげ……トロトロで……真凛(まりん)を見てみなよ……」


真凛(まりん)「確かに凄いですね~……」


 留音(るね)が包丁を当てるために指で巣蜜を固定し、カステラでも切るみたいに包丁を当てていく。


留音(るね)「見てみこれ、触ったところ、奥からすごい溢れてくるみたいに。指もこれ、うわぁすげー糸みたいになるぞっ」


 留音(るね)は人差し指と親指をくっつけたり離したりしてそこに出来る糸を真凛(まりん)に見せびらかしている。


真凛(まりん)「もう、そんなふうに遊ばないでくださいよぉ」


留音(るね)「いいじゃん、どうせ食べるんだし。こんなにトロトロなんだぜ? ほら、音もぴちゃぴちゃってなんかいい音する」


聖美(きよみ)「ドゥブフォぁ!!!」


 その辺のシーンを目撃した聖美(きよみ)、鼻血を噴出して行動不能。


真凛(まりん)「あれ? いつからいたんですか?」


留音(るね)聖美(きよみ)じゃん、なんか久しぶりだな。お前も食べる? 巣蜜だぞ巣蜜、すっごい高いんだぞ。真凛(まりん)が貰ってきたんだけどすごいトロトロで甘いんだって」


聖美(きよみ)「食べ……りゅ……」


 聖美(きよみ)、鼻から失血死。世界は救われた。(多分)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] バニーの日でもあったww 改めて見ると8月ってヤベぇ記念日多いんですね、聖美ちゃん的にはフィーバー状態なんでしょうがww
[一言] 今回は聖美ちゃん、留音ちゃんの無邪気さに轟沈ですねえ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ