2020年7月15日 ファミコンの日
2020年7月15日
衣玖「むふ。今日はファミコンの日だって。御存知の通り家庭用据え置きゲームを普及させた立役者的ハードね、ふふ」
真凛「楽しそうですねぇ^^」
留音「ゲームの日が来ると楽しそうにしてるよな」
衣玖「そりゃあね。今の家庭用ゲームはファミコンがあったから栄えてるようなものだし。まさか当時このピコピコで遊んでいた人も、今のゲームがこんな進化するなんて思ってなかったでしょうね。今じゃ本や映画にも並べていい最高のエンターテイメントのひとつよ」
真凛「そういえば最近も映画みたいなゲームやってましたねぇ」
衣玖「ラストオブアス2ね。ちょうど先日クリアしたけど」
留音「面白かったよなぁ。すごい疲れたけどすごいゲームだったよな」
衣玖「本当にね。聞きたい?」
真凛「聞いてほしそう……^^;」
衣玖「あのゲームはね、出てくるキャラクターが本当に生きてるみたいに描写してるのよ。そんなの今までのゲームだって、全部そうと言えばそうなんだけどね、でもちょっとレベルが違うの」
真凛「なんにも言ってないのに始まっちゃったぁ……」
衣玖「例えば敵キャラクター、いわゆるザコ敵にも全員名前が決まっているのよ。敵キャラもなんらかのコミュニティに属してるわけね。
そこでは当然仲のいい人もいて、主人公が片方を倒すともう片方は悲しんだりショックを受けたり怒ったり奮起したり。死んだ瞬間を見たり死んだ姿を見ると名前も呼ぶから『あぁこの敵の友達を殺したんだな』って伝わってくる。
それでもまぁ、序盤は単なる敵を倒したにすぎないんだけど……でもそういうのがストーリーを進めていくとジワジワ効いてくる。
ゲームで面白いのは異世界への没入感が一つだと思うけど、ラスアス2が作るのはドロドロの深淵のような没入感なのよね。底なし沼のような。決して気持ちの良い没入感ではないんだけど、そこに出てくるリアルな不快感を伴う非現実的な体験とゲームとしての魅力が一つのインタラクティブなエンターテイメントとして完成してるのよ」
留音「何もかっこよくない、人間ってこうなのかもなって思わせる内容だったよなー」
衣玖「そう。ゲームだからこそ描写できるリアルの形なのよ。ほら、ゲームって最初はなんとなくすすめるでしょ? 主人公が勇者だったりしても、プレイヤー的にはさほど理由なくゲームを進めるために勇者をやる感じで」
真凛「うーん、まぁそうかもしれませんねぇ」
衣玖「ゲームって物語をすすめるうちに感情移入してきて、勇者の目的とプレイヤーの目的がシンクロしてくるじゃない。能動的に魔王を倒しに行きたくなる。
でもラストオブアス2は完全に違うのよね。あくまで私の感じ方だけど、最初の主人公とプレイヤーの目的はかなり強くシンクロするはずなの。前作プレイヤーならなおさら主人公と心を共にすると思う。
ただここで面白いのはさっきも言った『ゲームのキャラが本当に生きてるかも』って感覚なのよ。プレイヤーは主人公を取り巻く環境を神の目線で見てるから、だんだん裏の状況がわかってくる。そうするとプレイヤーは主人公と気持ちを共有できなくなってくるのよ。だってキャラの考え方はそのキャラのもので、私とは違うから。当たり前のことなんだけど、他のゲームとはやっぱりぜんぜん違う。
そうなってくると一般的なゲームのストーリーと反転する現象が起こるのよね。理解は出来るけど、多分多くのプレイヤーはこれ以上見たくない、進みたくないという感情を覚えるはず。でもそこに到達させたのは間違いなくプレイヤーだし、見届けたいとも思うのよ。ここにはゲームという媒体にあるプレイヤーが外側からプレイしないといけない、という要素が肝ね。映画や本じゃ絶対にあの見たくないという気持ちと見届けたいという複雑な心境には至れない。
そのストーリーのつなぎ方とかキャラの描き方とか、プレイヤーに大きな負担を強いる設計になってるんだけど……コンテンツとしてとにかくすごく良かった。全編通して苦しい展開が続くんだけど、ずっと冷たい雨にさらされた後にほんの一滴だけ、涙のような温もりのあるひとしずくが波紋するようなラストも良かった。
普段ゲームをプレイしない人にも最初から最後まで遊んでもらいたいシリーズの一つよ、ラストオブアスは。こればかりは自分でプレイして欲しいわね」
真凛「ははぁー。ちょっとおもしろそうかも……」
留音「ファミコンの日だっつってんのにプレステの話してるな……ファミコンの話は?」
衣玖「……まぁ、最近はアーカイブとして色々遊べるわよね」
真凛「あ、もしかして遊んだこと無いんですかぁ?」
衣玖「実は語れるほどには当時のゲームを遊んでないのよ」
留音「衣玖のパパさんはやってたよな? 家に置いてあったし」
衣玖「でも自分から遊ばなかったし。まぁいくつかはアーカイブなんかで遊んだことはあるのよ、今もスイッチで遊べるしね。ただまぁ、語れるほど思い出は無いわね。今になって発売されるファミコンレトロ風ゲームなんかは素敵だなって思うけど……結局ファミコンの移植みたいな作品しか遊んだこと無いし、ドラクエとかFF、任天堂系ね。だから話せること全然無いのよ」
真凛「じゃあ、また次はそのラストオブアスっていうゲームの動画でも作りますか?」
衣玖「あれは流石に切り抜いて紹介する場所が見つからないし、もう少しわかりやすいタイトルにするわ」
留音「うーん、語ったなぁ。読んでる人ついてこれてんのかこれ」
衣玖「知らないけど私は満足した。いやまだね、もっと語れる」
真凛「後はミニーズさんにお任せしましょう^^」
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アンジー「まさか聖美ちゃんの家にファミコンがあるとはねぇ」
聖美「うん、パパが持ってたの引っ張り出してきた。これでみんなで遊べるね! 今日にもぴったり!」
イリス「ずいぶん古いわね……動くの?」
聖美「うん、動くはず……ためしになにかやってみよっか。一緒に遊べるのがいいよね……」
アンジー「あっ、くにおくんだ! これはたしかみんなで出来るやつ!」
聖美「じゃあつけてみよっか……パチッと」
イリス「あ、ついた。見た目古いけどちゃんと動くのね。どんなゲームなの?」
アンジー「対戦出来るんだよ。これはドッジボールだね。たしかなんかコマンドがあったりしていろんな投げ方が出来るんだよ」
聖美「へぇー、アンジーちゃん詳しいねぇ」
イリス「音がピコピコしてる……ん? ドッチボールってスポーツなのね」
アンジー「うん。ちょっと遊んでみよっか。動画で見たことはあるんだぁ」
イリス「ボールを投げて当てればいいのか……ん、チョット待って……? スポーツのゲームってことは現実の魔力も筋力も関係ない……これって留音と対等に勝負出来るということでは……?」
聖美「あ、そうかもね」
イリス「……良いことを考えた。あいつはスポーツ得意だから、スポーツのゲームで負かしてやったらすごく悔しがるわよねきっと……よし、このゲームを鍛えてあいつをボッコボコにするわよ!」
ドッジボールゲームを結構楽しんだ3人だった。昔のゲームは大味で即席的な対戦ゲームとしてかなり盛り上がるものだ。
今日は名作揃いのファミコンの日。ゲームのお陰で今の自分がいます。




