2020年7月12日 健康診断の結果
2020年7月12日
衣玖「おはよう」
真凛「おはようございます、衣玖さん☆ 遅いですよぉ」
留音「お花」
変わらない朝、というか昼。果てしなく遅起きの衣玖が起床しての一コマである。
衣玖「なんだか静かね。ってうわ、何作ってんの真凛」
真凛「特大ケーキです♪ 今日はデコレーションケーキの日なんですよぉ。だから日めくりネタにと思って^^」
衣玖「大きすぎよ。誰が食べるの……」
真凛「大丈夫ですよ、留音さんもいっぱい食べてくれますしっ。ねっ? 留音さん?」
留音「ダビデ」
衣玖「……ふぁああ……」
衣玖は眠そうにテレビを付けると、毎日の日課にしているどうぶつたちの森のゲームを起動してルーティーンをしながらカレンダーや時計を見て考える。しかし今日の日めくりはどういう感じにしようか。
ケーキを使うと言っても、ただ食べるだけでは……うーんうーん、と考えながらゲーム内で花に水をやっている。
衣玖「あ、今日カブ高騰してる。ルー、売りに来る?」
留音「公安」
衣玖「ん? っていうかどうしたのルー、さっきからソファに横になりっぱなしで。ずいぶんだらけてるわね」
留音「龍」
と、そんなところでミニーズ登場。真凛が家に招くと巨大ケーキに聖美とアンジーが感動している。聖美はそんな事だろうとケーキのトッピングになりそうなフルーツなんかを買ってきており真凛を感動させていた。
イリスはソファで「毛糸」と言っている留音を見ながら首を傾げている。
イリス「なにこれ?」
衣玖「何が?」
イリス「留音の様子がおかしい気がする」
衣玖「暑いから?」
留音「ちょうちょ」
イリス「おかしいわね、いつもなら戦いを挑んでくるはずなのにこの無反応っぷり……」
衣玖「それはイリスでしょ」
イリス「まぁいい。さぁかかってきなさい留音!! 勝負勝負!」
留音「ガリ」
衣玖「それは生姜」
留音「ブフっ……あやっべ……」
留音は笑って少しだけ力の入った体を再びだらけさせ、口を半開きにして溶けるようにソファに身を預けた。
イリス「なんなの一体……」
―――――――――――――――
これはこの日の午前中のこと。今日は人間ドックの日で、健康診断がかなりお得に受けることが出来たらしい留音。
留音「(ありがてーなー、健康診断は……まぁあたしに限ってなにかあるってことはほぼほぼ無いんだけどな)」
「藤波さーん」
留音「あ、はい」
そうして呼ばれた部屋で、医者はカルテを見ながら神妙な面持ちで留音に言った。
「藤波さん。……どうか心を強くして聞いてください」
留音「えっ。……え、なんですか……こわ……」
「あなたは……少し筋肉を酷使しすぎているようです。筋肉爆発症候群にかかっています」
留音「き、筋肉爆発症候群!?」
「はい……このままだとあなたの筋肉が爆発して死にます。しかもあなたの筋肉ではこの国周辺地域一帯が吹き飛ぶほどに強い爆発が起きます。……これから数日間、極力筋肉を使わないで生活してください」
留音「お、重い病気なんですか……?」
「大丈夫、今は特効薬がありますから、ちゃんと安静にできれば1日2日で治りますよ」
留音「ほ、本当ですか……それは良かった……」
こうして留音は処方された薬を持って家に帰り、その薬を飲んで安静にする。
留音「しかしあたしがそんな大変な病気になっていたとは……歩くのもなるべくやめたほうがいいよな……転がっていくか」
留音は部屋の中を転がってリビングに出て過ごした。
真凛「あ、帰ってたんですね、留音さん。今からケーキの飾り付けするんですけど、つまみ食いとかしちゃダメですよぉ^^」
留音「わかっ……(はっ、待て待て。あたしは常日頃脳筋とか言われてるし……ひょっとして考えるのもダメか……? こうして思考してるのももしかして周辺地域一体を危険に晒しているんじゃ……)め」
真凛「わかめ? もーぅ、わかめなんて乗せませんよぉ」
留音「(受け答えはするな。考えるな……脊髄で会話しろ……みんなを守るために……ってこういうことも考えるな……!)筋肉」
真凛「はーい☆」
留音「鮭」
人知れず近所の平和を守る留音だった。
今日は健康診断の日。




