2020年7月11日 あのコンビニいい気分
2020年7月11日
今日はあのコンビニの日。コンビニに関わる美少女たちのオムニバス。
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「それじゃあ、小鳥遊さん、今の説明でわかりました?」
西香「楽勝ですわね。バーコードピッピ。お金はここに入れて、後返すだけ、と」
「完璧です! じゃあよろしくー」
西香は先輩に教えられ、初めてのレジ店員をすることになった。
西香「(さて、この客の来ないコンビニ。後は携帯でも触ってればお金が貰えるなんてちょろいちょろい……椅子がほしいんですけど、なんでレジに椅子を置かないのでしょう)」
一人でスマホで遊ぶ時間をここで過ごすことで自動的に集金出来るシステムを考えたようだ。
ひとまずカウンターに腰を預けながらピコピコとスマホで遊びだす西香。やがて客が来たので、やる気なしに「しゃいなー」と言った(スマホはしまわない)。客は商品を選ぶと西香の前のカウンターに置く。
「カードで。あとポイント使います。それからイチュンカード3000円分。あと郵便出したいんですけど。それからコーヒーのアイスMサイズで」
西香「????」
早速来た客。レジでピッピとするだけでは終わらない。
「あぁあぁ、小鳥遊さんは後ろで見ててね、後で覚えてもらうから」
コンビニコーヒーの注文ボタン、淹れ方、ギフトカードの精算方法、郵便の受け付け方、ポイントカードの登録と使い方にクレジットカードの払い方……。
「大変だと思うけどやってればそのうち覚えるからね。あぁそうだ、今度フリマサイトの商品の発送とか匿名受付もあるし、ショッピングサイトの商品の受け取り方法や電子決済の処理方法もやらないとね」
西香「あの……時給1000円程度ですわよね……?」
「そうだよ? あ、そろそろ商品届くから陳列しないと。レジ見ててもらっていい? 人来たら呼んでね。あ、出来たらレジ周りの掃除よろしく。唐揚げの作り方わかる? 出来たら揚げといてほしいのと、あとスプーンとお箸少ないね、補充しておいてもらっていいかな。レジ袋なかったら事務所にあるからね。それと……」
西香「(全然チョロくないじゃありませんの……絶対時給割に合いませんわよ……やーめた)」
辛いバイトなのだ。
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真凛は留音と共にコンビニに買い物に来ていた。目的はアニメとコラボした商品を買ってきてと衣玖に頼まれたからだ。ちなみにふたりとも何故かコンビニバイト経験者ということになっている。
留音「しかし本当に色々コラボするよな……あった、これだ。あ、しかもキャンペーン中じゃん、お菓子3つ買うとクリアファイルもプレゼントだって」
真凛「おーっ、衣玖さんの好きなキャラのもらって帰ります?」
留音「そうしよ。お菓子3つ、どれにすっかねー」
そうして対象商品を選ぶ二人。ティロリローンと入店のチャイムが鳴る。ここはなかなか手の行き届いているコンビニで店員の教育もしっかりと出来ているらしい。
『いらっしゃいませーっ』
はっきりとした声で、店のあちこちに立つ店員が入り口に聞こえるように来店の挨拶をしている。それなりに繁盛しているし、留音と真凛はもうその声を数回聞いている。
『いらっしゃいませー』
『いらっしゃいませーっ』
留音「いらっしゃいませー」
棚はすべてしっかり陳列されており、客の取った商品で出来る穴ボコが内容に"前陳"と呼ばれる陳列が行き届いているのだが、客が多いとそれだけ穴も増えていく。
そこを通りかかるたび、真凛は無意識のうちに商品を前に引っ張り出していた。
留音「おい真凛、前陳はいいんだよ……もう店員じゃないんだから」
真凛「はっっ、無意識に……というか留音さんもさっきいらっしゃいませって言ってませんでした……?」
留音「えっ、マジっ……? 完全に無意識だったわ……」
元店員あるある。
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衣玖は買いたい商品をカウンターに置いた。この青いコンビニはとにかくアニメとのコラボを頻繁に行うので、衣玖がすごくお世話になっているコンビニの一つだ。今日という日のライバル会社の一つである。
ここに来ると衣玖は大抵、目当てのアニメグッズと、決まってからあげちゃんの新作を一つ買って帰るのである。
「いらっしゃいませー。こちら6点のお買い上げで……」
衣玖「あっ、あっ、あの……」
「あっ、からあげちゃんタルタルバジル味でよろしかったでしょうか?」
衣玖「んなっ、はい」
「いつもありがとうございまーす。それではお買い上げ7点で、1458円になりまーす。からあげちゃんタルタルお願いしまーす」
無事に会計を済ませ、からあげちゃんをつまみながら帰る衣玖だが、一つ心に決めた。
衣玖「(よし……次行くのは通りの向こうの店に変えよう……)」
顔を覚えられた気がすると店を変えるタイプの客だった。




