2020年7月5日 聖美ちゃん誕生日 水着ハーレム完成!
2020年7月5日
五人少女宅。今はまだ午前中でイリスとアンジーだけが尋ねてきており、話を聞く留音に手紙を手渡している。
イリス「これ、聖美から。理想のバースデープランが書いてあるんだって。実行してくれなくても大丈夫とは言ってたけど、あんたたちにお願いしたいらしいの」
留音「ふーん。何が書いてあんの?」
イリス「読んでないわ。あたしらには読まないでほしいって言ってたから」
アンジー「うん……なんとなくはわかるけど……」
イリス「そうなの? 欲しい物とか書いてあるのかしらね。じゃあ、ひとまず頼んだわよ、夕方にまた来るから」
そう言ってイリスは不安そうに微笑んだアンジーと一緒に転送魔法で帰っていった。
誕生日のお祝いをしたがる真凛が予め聖美の誕生日も聞いており、誕生日会の予定はそもそも入っていたのだ。聖美もみんなにお祝いしてほしいと思っていたし、衣玖や留音もとりあえず欲しい物なんかを言ってみろ、なんて気持ちであったことを聖美に伝えている。
そんなこんなで聖美が本当にいいのかなぁと思いつつもかきあげたのがこの手紙である。
留音「どれどれ」
ひとまず留音は一人でその手紙を開けて、読みながらリビングへ戻っていく。
リビングのソファに座る頃にはやや難しい表情だ。
衣玖「どうしたの?」
留音「いやほら、聖美にしてほしい事あるかって聞いてさ、今日の誕生日……で、してほしいことってのが……うーん……何言ってんだこいつって感じで……」
衣玖「見せて」
留音がほい、と手紙を渡すと、衣玖は速読で手紙を読みきる。
衣玖「なるほど。ちょっと嫌ねこれは。聖美的には私達のことも考えてくれているんでしょうけど」
留音「うーん……」
西香「さっきから何読んでるんですの? 不幸の手紙でも届きましたか?」
留音「そんなんじゃないけどさ」
今度は西香に渡る手紙。それをふむふむと読んだ西香が「げぇっ!」と声をあげた。
西香「イヤですわよこんなの! なんですの『ビキニでお出迎えしてくれたら嬉しいな』って!!」
衣玖「確かに今日はビキニスタイルの日。聖美の手紙にも書いてあるでしょう。『こうすればみんなの日めくりも達成出来て私も嬉しいし、着てお祝いしてくれたら一石二鳥でいいんじゃないかな』って」
留音「善意なのはわかるけどさ、ビキニで誕生日会は無いだろー……」
衣玖「私水着、ビキニなんて持ってない」
西香「誰に見せるでもなくお金になるわけでもないのにビキニなんてわたくし着たくありませんけど!」
衣玖「私も、仮に持っててもイヤよ……あっ」
留音「何かいい方法あるのか?」
衣玖「うん、ある。日めくり的解決方法が」
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その後、誕生日会が中盤に差し掛かり、お祝いのケーキをみんなで分け合い、それを食べ終えて。
聖美「はぁー美味しかったぁ。ありがとうみんなぁ」
聖美は満足そうにケーキを平らげた。嬉しそうではあるのだが、多分心のどこかではみんなが普通の格好をして、手紙を読んでいないかのように普通の誕生日パーティをしてくれていることに若干引っかかりがあるというような、心から100%を嬉しがっていないような、どこか寂しそうな雰囲気も見て取れる。
衣玖「じゃあそろそろいいわね」
留音「……だぁっ、やっぱりちょっと恥ずかしいぞ!」
聖美「えっ? ……えっ?」
西香「あら、本当に着替えるんですの?」
衣玖「まぁそんなものよ。恥ずかしいからこの先は聖美だけね。イリスとアンジーはここにいてもらうわ」
聖美「えっっ!?」
聖美は何かを察して声が裏返り始めている。そこに衣玖が地下室の入り口に案内し「この先の部屋で座って待ってて」と送り出す。聖美はドキドキしながら教えられた部屋の中央にある椅子に座り、足と膝をしっかり閉じて背筋をピンと伸ばしてお行儀よく手を膝に置いて待っている。
その奥の扉から現れた留音、衣玖、真凛、西香。みんなしっかりビキニを着用している。
聖美「ひゃあああああああああああああ゛!!!」
奇声を上げる聖美。流石にあの子は着なかったらしい……?
留音「お誕生日おめでとう」
衣玖「おめでとう」
やや素っ気ない声音で聖美の隣に座る五人少女たち。何かのお店なのだろうか。聖美は瞳孔を全開にして鼻血が漏れ出ていかないようになんとか気を保っている。
真凛「何か言ってほしい言葉とかありますか」
西香「なんでもどうぞ」
とても味気ない。だが聖美は限界だ。泣きそうになりながらありがとうございますありがとうございますと体を縮めており、まともに周りを見ることが出来ていない。
という頃に。
衣玖「送ってきた」
留音「ういー。でもあんなんで満足するのかね」
衣玖「まぁいいんじゃない。そもそもやらなくていいって書いてあったし、日めくり的には十分よ、多分」
西香「何をやってるんですの?」
イリス「聖美のしてほしいことって何だったの?」
衣玖「恥ずかしいから秘密」
というわけで、衣玖がクローンで作り上げた模型たちが聖美の相手をしている。今日はクローン羊、ドリーの生まれた日であるのだが、生体クローンとして人間を、それもただ水着を着させて人を祝うためだけに、というのはあまりにも忍びないため、意思を保たないプログラムした機械として、素体だけを自分たちのクローンとして作り上げていた。
なので聖美の前には本物の五人少女達と寸分たがわぬ見た目をしたクローンたちが、プログラムされた言語を話して素っ気なく相手をしているようだ。
聖美は限界なのでそこに違和感は持たず、最高の誕生日を経験し、同時に鼻血による失血死によって亡くなった。
ちなみにあの子だけは細胞やサンプル採取を行うべきでないと判断したため、聖美の前に現れてはいない。
今日はビキニの日、クローン羊の誕生日。




