2020年6月26日 露天風呂と雷の日
2020年6月26日
今日は露天風呂の日。というわけでなんと少し良い感じの露天風呂のある、山中の浴場に来ている五人少女たち。眼前には青々とした木々と、遠くを流れる荘厳な滝の音がBGMとなっている。
真凛「わぁーっ、開放的ですね~!」
真凛は開けた浴場に感動している。ちなみに全員タオル一枚だ。
留音「いやーいいもんだな~、久しぶりの温泉!」
衣玖「まぁ確かに悪くないわね」
西香「それにしても突然こんな……わたくしでもちょっといいなって思ってしまうようなところへ……何があったんですの?」
実はこの日帰り露天風呂ツアーは招待されたものである。特別なチケットが五人少女たち宛に送られて来たのだ。
真凛「さぁ?^^」
留音「さぁって。え、わかんないのに来たの?」
衣玖「突然届いたのよね。ファンからだって。五人でたまにはゆっくり温泉に浸かって休んでくださいって。ちょうど露天風呂の日だから入りに行くだけでも日めくりになります、とまで書いてあってね」
真凛「理解のあるファンの方が贈ってくださったんですよぉ^^」
西香「なんか引っかかりますわね……他には特に無し? 全員を家から留守にさせて物を撮ろうなんて人の仕業じゃありませんわよね?」
衣玖「私が住んでる家に盗みに入れると思う? 抜かり無いわよ、なんなら衛星から今の様子だってモニターできるけど」
真凛「そうですよぉ。文字が何故か新聞の切り抜きで書かれてること以外は普通のお手紙でしたよぉ」
留音「新聞なんて今どき古風だな~」
西香「……えっ、怪しさしかないじゃありませんの……捜査撹乱か筆跡を知られてる方の犯行では……?」
衣玖「ま、なんであれ心配ないわよ。今日はおとなしく露天風呂を楽しみましょう。夏に入る温泉ってどうなんだろうって思ったけど……意外と悪くないのね」
留音「中に水風呂もあったぞ。体締めたくなったらそっち行こうな」
真凛「わぁ……温泉に入りながら風を感じて鳥が飛んでるのを見てって……なんだか奇妙で楽しいですねぇ~……」
西香「絶対なんかある。なんかありますわ」
衣玖「……気がかりなのは……」
西香「なんですの?」
衣玖「遠くの雲がちょっと荒れ気味なのよね。落雷を伴ったゲリラ豪雨って可能性があるかも……」
留音「えぇ……露天風呂楽しめないじゃん!」
真凛「もしこっち来たら消しちゃいましょぉ☆」
衣玖「なら問題ないわね」
西香「……はぁ。マイペースですわね……まぁ考えすぎですわね。ラッキーガールのわたくしの危機察知能力にも困ったものですわ」
というわけで今日は露天風呂の日……。
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イリス「というわけでね、今日は一人で用事があるんだって。だから聖美いないのよ」
アンジー「そうなんだ。それにしてもどこに行ってるんだろうね?」
イリス「さぁ。すごく大きなカメラと軍用レーションって物を持って、迷彩柄の服を着てたことしかわからないわ」
アンジー「聖美ちゃん……?」
というわけで。
聖美「ターゲット確認、射程圏内、捉えた……」
谷を隔てた山の上。そこには巨大レンズをスナイパーライフルのように構え、腹ばいになってスコープを覗き込む美少女狙撃手がいた。
聖美「ターゲット・ロックオン……くっ、レンズの光が……みんなの姿が写せない」
というわけで、スコープの中には先程の露天風呂が映っている。もちろんそこにはタオルを体に巻いてはしゃいでいる五人少女たちの姿があるのだ。
聖美「ステイ……ステぇい……衣玖ちゃんそこ……もう少し右にずれて……Shot!!!」
ぽやーっと湯に浸かる衣玖。しかし体は謎の光が遮り、撮影することは出来なかった。
聖美「えぇいっ!! せっかくお小遣いをはたいてみんなに温泉チケットを渡したんだから、絶対に全員分撮影して……よぉし西香ちゃん、あぁっ、入らないでっ……まだ湯に浸かってないのに……露天風呂が醍醐味なのにぃ……っ」
そんな聖美の頭上をゴロゴロと暗い雲が覆っている。
聖美「はぁはぁ……留音ちゃぁんいいよぉ……そのままタオル取っちゃおうかぁ……だぁっ!! 真凛ちゃんも……」
ゴロゴロ。そして雷は天罰を与えるかのように光り、鳴く。
聖美「ぎゃー!」
雷は聖美に落ち、聖美は絶命した。
今日は雷記念日でもある。菅原道真が怨念に依って雷神を使役し、自分を貶めた藤原清貫などを雷で焼いた、という伝説にちなんでいるそうだ。




