2020年6月21日 キャンドルナイトの日
2020年6月21日
今日はキャンドルナイトの日。運動として、夜の8時から2時間ほど、電気を消してキャンドルで過ごそう、という日になっている。
そんなわけで五人少女たちもしっとりと小さな火を囲んで過ごしているようだ。
真凛「火……ボーッと見てるとどうしてこんなに落ち着くんでしょうね……」
衣玖「わかるわ……小さな揺れとか、先端のぼやぼや加減とかずっと見てられるのよね……」
西香「危険人物ですわ」
留音「いや、でもあたしもなんとなく落ち着くのはわからないでもないよ」
ろうそくの火は僅かな空気の流れに反応してゆらゆら揺れている。
衣玖「たまにはいいわね。文明から離れて、こうしてぼんやりするのも」
西香「エアコンはしっかり動いてますわよ」
真凛「火事には気をつけないとですね~っ」
留音「浸透はしてないけどさ、でももしこの記念日が浸透して、全国で電気が消えてろうそくがつく、って時間が出来たらすごい素敵だろうなぁ……」
あの子もニコニコ頷いている。
西香「で、これだけですの? 電気消してろうそく眺めるだけ? これで2時間? わたくしもう飽きたんですけど」
留音「風情がねぇなぁ」
真凛「記念日的には、キャンドルの火に照らされながら食事をしたり、本を読んだりするんだそうですよぉ。でもうちはご飯済ませちゃってるし、暗い中で本を読んでも目が悪くなっちゃいますよね……」
衣玖「あとはまぁ、お話って手もあるんじゃない? 夏の日にこうやってろうそくの火って、夏本番はまだだけど、百物語とかのイメージがあるわね。誰か怖い話ない?」
真凛「怖いことなんてありましたかぁ?」
西香「真凛さん、この前お庭に何故かホコリまみれのカエルが出たって怯えていたじゃありませんか」
真凛「あぁ……あれは確かに怖かったですねぇ。お庭で真っ黒な何かが弱々しくぴょんこ飛んでて……よく見たらカエルさんだったんですよぉ」
留音「黒いカエルだったんじゃないの?」
衣玖「それはそれで怖いわよ」
真凛「でもどうしてホコリまみれだったのかなぁー……綿埃を纏って真っ黒だったんですよ」
西香「わたくしも見たんですけど、謎でしたわね」
衣玖「ネットで検索すると少なからずそういうことがあるらしいわね。ホコリまみれのカエル」
留音「へぇー……あんま怖くないけど」
真凛「ホコリまみれのカエルが飛んでくるなんて怖いじゃないですかぁ……その辺飛び回ってるなんて……」
衣玖「……他にはない?」
留音「あたしの話聞く?」
真凛「何かあるんですか?」
留音「うん。この前すごい怖いことがあってさ……トイレでなんだけど」
衣玖「トイレ?」
留音「うん……あの、ほら……最後に拭くだろ? ……それが青緑色っぽくてさ……」
西香「……ちょっと留音さん?」
留音「いや本当に……ほら、痰とかも緑だと細胞がどうこうって言ってたの聞いたことあるからさ……」
衣玖「そうね……でもあの、まさかここでそういう話しするとは思わなかったわよ……」
留音「だって、拭いたら青緑なんだぜ……? 肝が冷えるだろそんなの……んで、体調も別に悪くないし、なんでだなんでだって考えてたらさ……ほら、前に遙華が来て……その時にギトギト色のカレー、置いていったじゃん……真っ青なやつ、とんでもなく青いの」
真凛「はぃい……」
留音「あれだ、って思って……すごいホッとしたんだけどさ……でもそのまま出てくんだなーって……ホント怖くてさ、内臓系の病気になったのかなって……」
衣玖「ずっと前に怖い話って名目で似たような話してるのよね……」
留音「口から真っ黒な血をはいたって話な……」
衣玖「チョコでしょ」
西香「そんなことより!! 一番怖いのはそういう話を平然とする留音さんですわよ。後1ヶ月というところでなんて話してるんですの!?」
留音「でも着色料って怖いなーって……みんなも食べたじゃん! 同じことにならなかったか!?」
衣玖「やめて……巻き込まないで……」
留音「遙華だって同じ思いしてたかも……みんなよく平然と出来たよなー……あたしは病院予約しなきゃだめなのかとか、もしウィルスだとしたらアレなのかーとか、すげぇ心配したんだよ……」
西香「ちなみに明言しておきますが、わたくしはおトイレに入っても使うことは一切ありません、完璧な美少女ですので。はーやだやだ、臭いので退散」
真凛「……で、でも、確認は健康にも良いことっていいますよね……」
衣玖「にしたって話すこっちゃないわよ……流石に真凛も苦笑いだわ……」
留音「マジで怖かったんだよぉ……」
真凛「あと1ヶ月で1年の記念だって言うのに~……」
フッ、とキャンドルを消し、百物語の気分を進める美少女たちだった。
蛇足としてもう一つだけ。
あと1ヶ月で連載1年だが、このタイミングで地味にブクマ剥がしをされている作品があるらしい。怖い。




