2019年8月21日 噴水の日なので真凛ちゃんとデートするあなた
2019年8月21日
真凛「今日は付き合っていただいて、ありがとうございます^^」
真凛はあなたに対し、行儀の良い言葉でニッコリとそう言いました。
それに対してあなたは首を横に振り、真凛の言葉ににこやかに「とんでもない」というような事を答えます。
真凛「こうやって二人で歩くのは初めてですね。わたし、とっても楽しみだったんです、ここに来るの!」
真凛はキラキラとした瞳で、その場所に設置されたとあるオブジェクトを見ています。
ここは東京都内某所、有名な噴水公園です。目の前には大きな噴水から水が打ち上げられ、それをたくさんの方が見て、その光景だったり、風の流れで派手に飛んでくる冷たい水の飛沫に子供達がキャッキャと騒いでいるのが見受けられます。
あなたは少しだけ照れながら、「自分もそうだ」と話します。真凛は噴水にほど近いベンチに座り、ニコニコと横に座るように指示しました。あなたは少しだけ戸惑いつつ、真凛の隣に座ることにします。今日は夏の暑い日。さんさんと太陽の光が降り注ぎ、汗をかくあなたは自分がにおったりしないかな、なんて考えつつも、隣に座る真凛から漂うほのかな甘い香りに、また少しだけ流れる汗を増やしてしまいます。
そんな二人も知らない、公園の木陰にコソコソと隠れている人がいます。影は二つ、真凛とあなたを見ながら、何かを話しているようです。
留音「なぁおい……これは一体どういう状況なんだ?」
衣玖「それが……どうも昨日、真凛がはっちゃけすぎてたらしくて……今日はそのバランス取りにちょっとキュンと来るようなシチュで攻めてるらしいの」
真凛と同居している二人は、静かな声でそんな話をしています。それを知らない真凛とあなたはちょっとした談笑をして、それから真凛が言いました。
真凛「あっ、そろそろお昼ご飯の時間ですねっ。わたし、実はあなたのためにお弁当を作ってきたんです☆」
真凛は可愛らしくそう言うと、彼女は持っていたバッグを膝の上に置きました。それから取り出そうとするのですが、「うーん」と少しだけ悩み、再びバッグを背負って立ち上がりました。
真凛「こっちに来てください^^」
真凛の温かい手があなたの手を優しく引っ張りました。初めて手と手をつないだ瞬間に、あなたの心臓は驚きの声をあげます。先程よりもずっと照れたあなたは頬を赤く染めました。真凛は見た目だけなら王道の美少女なのですから無理もありません。
留音「お、おいっ!あいつら手ぇつないだぞ!」
衣玖「昨日の流れで言うなら、数々の蚊を葬ってきた手をね」
水を差す二人は置いておきましょう。
真凛は噴水を型取る石造りの塀に座りました。それでもう一度、隣に座るように朗らかにあなたを導きます。あなたは再び彼女の横に座り、背後に溜まっているたくさんの水に目をやります。噴水の澄んだ水は太陽の光をゆらゆらと反射させ、たまに感じる冷たい水の気配にとても心地の良い場所でした。
真凛「お昼にしましょうね^^今日はあなたのためにお弁当を作ってきて……はいっ!」
ゴソゴソとバッグを漁った真凛はあなたに可愛らしいお弁当と、お箸を手渡しました。あなたは「ありがとう」と受け取って、嬉しそうにその蓋を開けました。その中には……。
真凛「えへへ、お蕎麦弁当ですっ!噴水公園に来るから、ちょうど綺麗な水も近くにあっていいかなって思ったんです!」
お蕎麦でした。しかも水っけが無くて、だいぶカピカピしています。
真凛「えっとですね、ここの噴水のお水って、とーってもキレイなんですって!だからほら、この後ろにあるお水でさっと戻して……そうしたらとっても美味しいお蕎麦が食べられるんです!」
あなたは即座に言いました。「噴水の水がキレイって言うのはそういう意味じゃない」でも真凛は首を傾げます。
真凛「こんなに澄んでいますよ?……もしかして、わたしの作ったお弁当、嫌でしたか……?」
あなたは思いました。なんだか面倒くさくなってきたぞ、と。「そうじゃないよ」と伝えます。
真凛「でも、噴水のお水はこんなにキレイなのに食べてくれないって……ふぇ……;;」
あなたは言いました。「だからそうじゃないんだよ、だって見て、噴水の中にすっごい硬貨とか入ってるよ、雑菌だらけだよ」と。
真凛「でも、噴水のお水はキレイってみんなが言ってたんです;;」
あなたは言います。「そりゃキレイだけどそういうキレイじゃない」と。
真凛「食べたくないんですね;;わかりました、持って帰ります……くすん;;」
あなたは食べることにしました。噴水の水で戻して、真凛持参のめんつゆにかけて。「めんつゆあるなら最初からそれだけでも良かったんじゃないかな」なんて思いましたが、それでも噴水の水で戻しました。だって今日は噴水の日だからです。
真凛「美味しいですかぁ?^^」
味は普通でした。だって一度カピカピになったお蕎麦ですし、噴水の水で戻すとか雑菌が気になって仕方がないし、割と気が気でないまま食べたので、めんつゆの味でごまかして食べてた感じだったのです。でもあなたは言いました。「美味しかったよ」と。
その後、真凛は満足して帰っていきました。あなたはその晩、お腹にキューっとした違和感を抱えつつもピーにはならずに済みました。
留音「なぁ衣玖、これって真凛のイメージアップに繋がったのかな」
衣玖「わからないわ。キュンとさせたいじゃなくて、お腹キューってさせてるだけだし」
留音「どうしてあたしらって、割といい環境や状況でも可愛くなれないんだろうな」
衣玖「ロックだからよ」
噴水の水を食用に使うのはやめておきましょう。




