2020年6月8日 あの掃除機の日
2020年6月8日
真凛「はぁぁっ、よく出来ましたねぇ~っ!」
わたしは真凛! 家事が大好きな普通の美少女! 最近新しいペットを飼い始めました! 名前はるんるんちゃん!
真凛「は~っ! よしよし、いい子ですね~♡」
抱き上げたるんるんちゃんを目一杯撫でてあげます。この子は本当にがんばりやさん。とっても頭も良くて丸っこくて可愛いんですっ。
真凛「頑張った後はお掃除しましょうね~っ」
きゅっきゅっきゅ! お顔をタオルで拭いてあげると、この子はくすぐったそうにしています。足も汚れちゃったね~っ、はーいきゅっきゅっきゅ!
うんうん、黒くて艷やかな体がとってもいい感じ! ぴろぴろのお手々もキレイキレイして、あっ、暴れないで~っ。お家に戻りたがってるみたいです。
真凛「はいはい、じゃあもういいですよぉ☆」
きれいになったるんるんちゃんを地面に置くと、るんるんちゃんはクルッと回って、自分のお家を目指して戻っていきました。でもちゃんとお家に戻れるかなぁ。まだこの子はこの家に来たばかり。自分のお家がどこかちゃんとわかってるのかな?
一応ついていってあげよう……るんるんちゃんはゆっくりゆっくり、お部屋をいくつか物色するように見て回っていきます。うんうん、そっちそっち!
そうしてるんるんちゃんは見事! 自分のお家にたどり着きました! 本当にこの子って偉いなぁ~!
いいこいいこ。わたしはるんるんちゃんをナデナデしてあげると、るんるんちゃんは安心したように眠っていきました。歩きまわって疲れたね。おやすみなさい。
次の日も次の日も、わたしはるんるんちゃんのお世話をします。なんだかだんだんこの子の言いたいことがわかってくるような気がしてきました。
真凛「えっ? もっと新しいところを歩いてみたいの? うーん……じゃあそろそろ2階にも行ってみよっか^^」
るんるんちゃんは好奇心旺盛です! わたしは次の日から、るんるんちゃんが2階も探検出来るようにしました。階段は降りられない子なので、お散歩が終わったらわたしが1階に下ろしてあげます。
今日もいっぱい歩いたね。とってもいい子! その日の晩ご飯の時。
衣玖「どう真凛、るんるんちゃんは可愛い?」
衣玖さんがそう尋ねてきました。わたしはリビングの隅で眠っているるんるんちゃんを見ながら「とっても!」と答えます。衣玖さんは満足そう。なんていったってこのるんるんちゃん用意してくれたのは衣玖さんですから。
衣玖「そうやって愛情を持ってくれると私も嬉しい。大事にしてあげてね」
真凛「もちろんです☆」
留音「でもあんまり構ってちゃしょうがないんじゃないか?」
真凛「だって可愛いですもんー!」
衣玖「まぁ確かに可愛いわよね。それは仕方がない」
でもそれからしばらくして事件は起こりました。
わたしは2階にるんるんちゃんを遊ばせて、その時ちょうど郵便の人が来たんです。何が届いたのかなって気になって中を見て、それから時間を見たときにふと晩御飯までに仕込んでおきたい料理があったのを思い出して、そっちにかかりきっていました。それで何分かして……。
真凛「あっ……るんるんちゃん……!」
冷や汗をかきました。るんるんちゃんを放ったままにしちゃった!!
でも大丈夫、大丈夫なはずです。るんるんちゃんはとても小さい子ですし、床を走り回るくらいなら全然……あの子は階段には近づかないので落ちる心配だってないし……! でもわたしはすごく心配になって階段を駆け上がりました。
真凛「るんるんちゃん! どこっ!?」
わたしは2階の廊下をくまなくみながら端から端まで歩きました。でもいません……どこだろう? 部屋に入っちゃったんでしょうか。階段から一番遠くにある部屋から順番に見ていきます。
物置にはなにもないですし、西香さんの部屋にもいない、留音さんの部屋もなにも……何処かに隠れているのかな? いちおうベッドの下なんかも見ましたが、やっぱりるんるんちゃんはいませんでした。
それで、最後の部屋……これが戦慄というものなんでしょうか。……衣玖さんの部屋です。
そこでわたしはついにるんるんちゃんを見つけました。……衣玖さんが床に放置している充電コード類を飲み込み、動かなくなっているるんるんちゃんを。
真凛「やだぁぁあ!!!」
るんるんちゃん!! わたしはるんるんちゃんを胸に抱いて背中をとんとんと叩きます。でも全然吐き出してくれません。コードは少し奥まで飲み込んじゃってるみたい、無理やり引き出していいんでしょうか……? こんな時どうすれば……うぅっ!
真凛「るんるんちゃんっ、るんるんちゃんっ!! 大丈夫だからね、きっとなおるからっ……」
でもどうすればいいのかわからなくて……そんな時でした。お出かけしていた衣玖さんが帰ってきたんです。
真凛「衣玖さん!!! るんるんちゃんが!!」
衣玖「ダーッ!! 私のコード食べてる!!!」
ダーッじゃありません。お部屋が汚いせいで……!! でも今はそんなことよりるんるんちゃんです!
真凛「どうやったらなおせるんですか!?」
衣玖「ま、大丈夫よ引き抜いて。中で絡まってるだけだから」
衣玖さんはあっさりそう言ってるんるんちゃんから無理やりコードを引き抜きました。それをポイと床に放って「おっけおっけ」と言っています。
真凛「もぉー! 衣玖さんがそういう風にするからるんるんちゃんが間違って食べちゃうんですよぉ!」
衣玖「そんな事言われても……そもそも2階にあげないでよ、この子は好奇心旺盛なんだから」
真凛「でもこの子が遊びたいって言ったんです! 小さい子の好奇心に答えないでどうするんですか!」
こうして、なおしてもらったことには感謝しますけど、ちょっと衣玖さんと喧嘩してしまいました。そこに西香さんが通りかかりました。
西香「あのですねお二人とも」
衣玖「何!」
西香「こんなこと言いたくないんですのよ? あまりにも愚かすぎて。でもですね、機械に好奇心とかありませんからね」
真凛「なんてことを!!! るんるんちゃんが傷ついたらどうするんですか!」
衣玖「ルンバはこんなにかわいいのに!! それがわからないなんてこのバカ!!」
真凛「その通りです!! 西香さんのばかー!」
西香「……はぁ。妖怪掃除機掃除妄想愛情女とそれに乗っかる変人の相手なんてしてられませんわね」
ゴミを食べてくれる小さな掃除機、ルンバのるんるんちゃん、明日は片付いてる1階で遊ぼうね。




