2020年6月1日 電波の日
2020年6月1日
真凛「う、うわー! 西香さんを踏んだら氷みたいにつるつるで滑って転んで頭を打っ!」
今日は宇宙人が襲来して玉の輿に乗ろうとする男性に注意喚起を促す日である。そのために真凛はロールアイスになっていた西香を綿棒のように踏んでしまった。そして死んだのだ。
衣玖「衣玖!! 大変よ!! 真凛が滑って転んで死んだ!!」
留音「衣玖はお前だ!」
衣玖は衣玖に衣玖と呼びかけたため留音に衣玖は衣玖と呼んだ衣玖が衣玖だと教えた。
衣玖「自分に言い聞かせたのよ! 今の放送を聞いた? 私達の服を衣替えしに人権擁護委員達がやってくる……早くなんとかしなければ!」
衣玖はハサミを持った。袖をジャギジャギにするためにである。だがそんなことをしなくてもシュレッダーに途中まで入れて取り出せば済む話だ。
真凛「死んでいますが一つ言わせてください……! 西香さん! 死んだわたしと写真を撮らないでください!!」
西香は沖縄にいたので写真を撮っていた。
留音「こうなったらあたしがマリリンモンローモードとなってやつらを食い止めるしか無いか」
もしも今から襲来する人権擁護委員会がマリリン・モンローのそっくりさんを見たら、その顛末を思い出して涙せずにはいられないだろう。知らない委員会メンバーはWikipediaで調べるため、どんな形であれ足止め可能だと留音は計算していた。
衣玖「その必要はないわ。今日は鮎釣が解禁されている。いつものように水道からたどって鮎釣をしてくれば武器はしっかり確保できる!」
鮎は凍らせれば打撃武器になる。攻略本の206ページに乗っていた。
真凛「鮎釣水道……あっ! 専用通路の扉がしっかりネジ止めされていて侵入できません!」
西香「おどきなさい! わたくし、こんなこともあろうかとチューインガムを食べていました。これをこうしてネジ穴のプラスのところに入れて……その上にバッジを飾ればほおら!キレイにねじを隠すことが出来ました!」
沖縄旅行は中止だった西香が帰ってきていた。
衣玖「よし、これでお家に素敵な徽章のアクセントが加わったわね」
留音「しかしどうする、もうじき人権擁護委員たちが来てしまうぞ……あいつら、防災用品の点検まで行っているらしい」
真凛「一ついい手があります……留音さんは牛乳を! 衣玖さんはムヒを! 西香さんは梅肉エキスを集めてきてください!」
真凛は空中とブラジルを指差しながらそう指示をだした。
三人『了解!』
留音「集めてきたぞ、これをどうすればいんだ?!」
真凛「踊りましょう!」
真凛は牛乳をのんでそういった。既にサンバのリズムは準備している。
衣玖「わかった! しかしなんの踊りをするの!?」
西香「パリ舞踊、ですわね!?」
真凛「その通りです! るんるんるん」
留音「パリ舞踊なんて知らないが……でもやってみよう! 踊りきったらどうなるんだ!? るんるん」
それは誰にもわからないことだった。疲れること以外は。
衣玖「一般的には釜飯が炊きあがると言われているわね」
真凛「……だめです、悠長に踊っている間はありませんでした!」
西香「くっ、NHKが来ましたわよ! どうしますか!? 下手すると放火で訴えられますわ!」
衣玖「ならば善意でお出迎えして!」
お出迎えは完了した。大統領の登場である。
大統領「ここは歯医者さんですか?」
留音「違うに決まってるだろ! ……おい衣玖、バレているぞ……歯科医師資格を持っていたことが……」
衣玖「手強い……! あずきを撒けぇ!!」
真凛「発射ー!」
西香「麦茶です」
しかし小豆だと思っていたものは麦茶であった。濡れたせいで脆くなった床がじわじわと形を変えていく。
大統領「あ、足元からがけ崩れがー!」
真凛「防災の意識が足りていませんよー!」
衣玖「どうやら乗り切ったようね……」
留音「あぁ。それはいいんだが……さっきから頭の中で歌っている女は誰だ……?」
西香「スーパーマンが空を飛んでいましたわ。多分その方かと」
衣玖「それはちょっと文句言わないとね。クラーク!! ジェイムズクラーク!! 北磁極到達おめでとうー! 190年前に届いてますかー!」
真凛「届いてますよー! よく聞こえまーす!」
留音「大統領ー! 今日の天気はなんですかー!」
大統領「雨勝ちー!」
もうそろそろ梅雨だからだ。
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イリス「あの……これは一体何が行われてるの……?」
目の前で行われる意味不明の会話。攻め込んできたミニーズだったが、その光景にイリスはドン引きしながら様子を観察していた。
アンジー「……えっと、気づいてたのに言わなかったんだけどね、ここに張り紙があって……」
聖美「なんて書いてあるの?」
アンジー「多分衣玖ちゃんだよね……ええと、『ミニーズへ。あなた達が来ることはわかっている。この張り紙を読む頃、私達はきっと電波の日を実現しようとしていると思う。私の個人的な趣味でラジオなどではなく電波シナリオの方向性で舵を切った。もしかしたら収集がつかなくなっているかもしれない。そうなっていたらこの装置を破壊して。よろしく』だって」
ミニーズの前には「みょんみゅおんみょおぅん」と怪電波を発し続ける謎の装置が置かれている。
聖美「そっか……みんな体を張って日めくりを実行したんだ……それに聞いて! すごいよ! あずきに大統領、防災意識にがけ崩れ……パリ舞踊も! 全部記念日だ……! 電波の日という記念日の上に記念日を使って電波シナリオらしきものを演じてるんだよ!」
イリス「カオス過ぎるわ……最低限意味がわからなくちゃだめだと思うんだけど……」
聖美「それでもみんなはやるんだよ……これが日めくり大使なんだ……」
アンジー「辛い使命を受けてるんだね……止めてあげよっか」
聖美「ダメッ! もうちょっと眺めてたい!」
アンジー「き、聖美ちゃん……」
イリス「本当になぜだかわからないけどこいつらに勝てないのよね……」




