2020年5月28日 いつつばのクローバー
2020年5月28日
聖美「ねぇねぇ、今日は五つ葉の語呂合わせから制定された記念日があるよっ!」
聖美宅にて。ミニーズの三人が集まり、聖美が楽しそうに記念日の本を見ながら言った。
アンジー「五つ葉?」
聖美「クローバーだよ! 五つ葉のクローバー。それでね、五つ葉のクローバーって五人少女ちゃんたちみたいなの!」
イリス「どういうこと?」
聖美「クローバーの葉っぱにはそれぞれ意味があるの。その意味が五人少女ちゃんたちにぴったりなんだぁ!」
アンジー「あ~、あるよねっ、なんだっけ? 健康とか知恵とかだよね」
アンジーの頷きに、聖美は本に書いてある情報を参照しながらそのことを伝える。
聖美「そう! 留音ちゃんが健康でしょ、知恵は衣玖ちゃん。それから財運が西香ちゃんで、真凛ちゃんは希望かな。それからあの子が愛で……ほらっ、葉っぱの意味が五人少女ちゃんみたい!」
その言葉に対してイリスは興味深そうにこう訊いた。
イリス「なるほど……ねぇ、それはどこかで入手出来る?」
アンジー「五つ葉のクローバーなんて相当難しいと思うけど……どうして?」
その質問にイリスは少しの思いつきからやや攻撃的な目をして考えを伝える。
イリス「ふふん……私は呪法についてはあまり明るくないんだけど、そういった共通点のあるものというのは呪いに使えるのよ。意味が込められている植物というのは特におまじないに使われたりするでしょ? 基本的に同じものなの」
聖美「呪い……ちょっと怖いね」
イリス「呪いと言ってもそんなに物騒なことじゃないわ。呪殺方法試そうってわけじゃないし。普通のお呪いを魔力で強化して効果をより強めるだけ」
天使や悪魔、妖怪に頼るのがこの世界のおまじないだが、イリスの魔法界ではマナを使うので、方法によってははっきりと効果が現れるのだ。
アンジー「どういうお呪いがあるの?」
イリス「まぁよくあるのは思考のコントロールとか」
イリスは得意げに効果を指折りながら説明しようとしたが、その1つ目の効果を言った時点で聖美が食い気味に
聖美「探し行こっ」
と、手を叩いて言った。
イリス「調子を悪くさせ……行く?」
アンジー「でも……レア中のレアだよ? クローバーは河原にあったけど……」
イリス「それでいいのよ。私達が倒したいという願いを込めるとして、あれだけ手強い相手よ。見つけるのに苦労した方が私の魔力と効果へのシナジーが高まってより強い効果が見込めるようになる」
聖美「へぇ……じゃあその存在の希少性とかもリンクしてるから……もし五つ葉のクローバーを見つけられたらみんなに好き放題おまじないを掛けられるのかなぁ?」
イリス「まぁ簡単なものなら行けるでしょうね。あたしが知っているお呪いには不運の回避や健康維持の類ならあるから、この辺を反転して与えれば、走ってる留音の靴紐が解ける、衣玖の機械が壊れる、真凛がセールに出会えないなどの現象を与えることが出来るはず」
アンジー「そっかぁ……なんかホッとしたぁ……」
イリス「ふふ、そうしてイライラが積もりまくったアイツらが勝手にぎくしゃくしたらその隙に付け入るわけよ……呪いというのはじわじわ効果を表すものだからね……」
聖美「恋愛関係はないの? さっき言ってた思考のコントロールっていうのはどういうものなの?」
イリス「あ、えっとね、一応相手が自分を好きになりやすくする、というのがあるのよ。恋愛とは少し違うか……」
聖美「そこ詳しく教えて?」
アンジー「(聖美ちゃん?)」
イリス「でも聖美、敵よ? 好きになられても……はっ、そうか。一人をこっちに引き入れてスパイ行為をさせて内側から崩壊させるという手もあるわね……」
聖美「うんそうだよ、そのお呪いはすごく使えるでしょ? それを使うとどれくらいまで好きになってくれるの? 一緒にお風呂入れるくらい?」
イリス「使ったこと無いからわからないけど、まぁ相手が嫌だと思わなければってところじゃないかしら。ごめん、詳しくはわからない」
聖美「そっか……でもやってみなくちゃわからないよねっ。探しに行こうー!」
イリス「うん、それだけあいつらとリンクした植物があるなんて知らなかったわ。でかしたわよ、聖美。五つ葉のクローバーを制することは奴らを制することも同じということよ」
アンジー「……見つかるかなぁ……」
見つからなかった。ちなみに四葉から五つ葉に増えた時に追加される言葉は「財運」だそうだ。




