2020年5月12日 みんなが風邪を引く話 ミニーズ編
2020年5月12日
アンジーが風邪ひいた編
イリス「ただいま。お菓子買ってきたわよ」
今日はミニーズ、入念な作戦会議を行う予定だ。聖美宅で行われる秘密会合の準備のためにイリスは買い出しに行って、今帰ってきた。
聖美「おかえりー。イリスちゃん、イリスちゃんは風邪を治す魔法って使える?」
イリス「残念だけどそれは無理ね。怪我の治癒や毒抜きなら出来るけど、ウィルス、特に風邪みたいに変化するものは難しいわね。下手したら悪化させてしまうかも」
聖美「そうなんだ……実はたった今アンジーちゃんから電話があってね、風邪ひいちゃったから来れないって。それで治せないかなって」
イリス「えっ。電話いつ? あたしさっき街でアンジーみたけど……大人の男の人と一緒に歩いてたから声はかけなかったんだけどさ……」
聖美「えぇっ? お、大人の男の人……?」
イリス「うん、随分親しげだったっていうか……普通に買い物してたような……」
聖美「え、ま、まさかっ……い、いやでもアンジーちゃんがそんな事するわけないし……」
イリス「そうよね、アンジーが仮病なんてしないと思うけど……」
ここでの聖美とイリスとの危機感には大きな溝がある。
聖美「……でも……あの湿った苦しそうなハァハァという声……そして中年男性……ままま、まさかぁ……っ」
イリス「どうしたの?」
聖美「い、一応アンジーちゃんのところに行こっ!」
イリス「そうね。今日はお見舞いの日に変更よ」
そうして魔法で瞬時にアンジー宅へついたイリスたち。
聖美「アンジーちゃん!!」
アンジー「……ぅ。ゎ、みんな……お見舞い、来てくれたのぉ……」
アンジー、お化粧をしていないし無防備であるが、火照った様子と辛そうな表情で美少女感は保たれているどころか、庇護欲を掻き立てる度合いが増していた。
イリス「辛そうね。おでこ出して、冷ましてあげるから」
イリスはアンジーの隣につくと、人差し指をヒョイと振って氷を作り出し、アンジーのおでこに近づけた。ギリギリ当たらない程度の距離感で固定された氷は優しくアンジーの頭の熱を冷ましている。
聖美「アンジーちゃん、良かったぁ……」
イリス「ほらね。素直でいい子のアンジーが嘘をつくわけないわよ」
聖美「アンジーちゃん、もしお金の相談には乗れないけど、何かあったらなんでも私達に相談してね……?」
アンジー「ぅん、ぁりがとぅ……?」
イリス「(となると……さっき見たのは何だったんだろう。ドッペル現象……? いや、魔法界じゃないし……まぁ他人の空似か)」
ちなみに、やはり聖美とイリスの心配は食い違っている。
そうして一通り看病をした聖美とイリスは帰宅し、その直ぐ後にクスリや水分補給に適したもの、アンジーが食べられそうな食べ物を買い出しに出ていた父親と姉が帰ってきたのだった。
聖美が風邪ひいた編
アンジー「ごめんね、聖美ちゃん、うつしちゃって……」
すっかり完治したアンジー。だが今度は聖美が罹患していた。
聖美「こほっこほっ。うぅん、平気平気……っ」
イリス「私もいるしね。アンジーはもういいの?」
アンジー「うん、ボクはもうすっかり元気。何か欲しい物ある? 買ってきてあげるし……あ、冷たいの美味しいかなと思ってアイスもあるし、あと栄養ドリンクとかもあるから……」
聖美「ぁりがとぉ……こほっ。でも本当に、そこまで辛くないからっ……えへへ……」
イリスの魔法によって四肢や筋肉にくる痛みなどは和らいでおり、普通の状態よりは幾分楽に過ごせている聖美。氷の魔法によって頭を冷やすのも非常に気持ちよく、聖美は一流の病院で過ごすよりも体への負担は少なかった。
しかしそんな時に。
真凛「こんにちはー^^」
イリス「むっ、真凛が来た……まさか襲撃っ……!?」
アンジー「違うと思うよぉ」
聖美「(ピクッ)」
玄関で朗らかに立っていた真凛。袋を抱えている。イリスとアンジーが玄関に向かった。
アンジー「真凛ちゃん、どうしたの?」
真凛「それが、実は何故かアセロラをたくさんもらちゃって……おすそ分けに来ましたぁ」
イリス「近所のおばさんみたいね」
真凛「今日はアセロラの日なんですって^^ 聖美さんはいないんですかぁ?」
アンジー「へぇー、記念日ネタかぁ。うんと、聖美ちゃんはね、今風邪ひいちゃってて……」
イリス「しっ! アンジー! 弱みに付け込まれるわ!」
真凛「えっ! 風邪引いちゃったんですか! 大丈夫ですかぁ?」
アンジー「い、一応……」
その時、聖美の寝ている二階の部屋の窓から。
聖美「ゴッホ!!!ゴッ歩五歩! ゴッフォ!!」
と、とてつもなく激しい咳が聞こえてきたのである。
真凛「わっ、辛そ~。そうだっ、ちょっとキッチン貸してください。アセロラでスムージーくらいだったら簡単に作れますからーっ」
イリス「くっ、そんな気遣い無用と言いたいところだけど……あたしには出来ないことだし……」
アンジー「ありがとう真凛ちゃん! ボクたちも手伝うよ!」
なんて、真凛は聖美の家キッチンで作ったスムージーを持って聖美の元へ向かった。
聖美「ありがとう真凛ちゃんゴッホ! 辛くてゴッホ!!」
イリス「大丈夫? 聖美。悪化してるような気がするけど……」
真凛「これ飲んでください。アセロラはビタミンC豊富ですから、元気になりますよぉ☆」
聖美「ぅーん、真凛ちゃんのましぇて~……」
真凛「仕方ないですねぇ。はい、ストローを……」
ごくごくとアセロラスムージーをとても良い飲みっぷりで飲み干した聖美。
真凛「うんうん、看病も行き届いてますし、邪魔にならないうちに帰りますね。それじゃあお大事n……」
聖美「待っでぇ!! ごホォ!!! うぅっ……真凛ちゅあん……まだいてよぉ……帰っちゃやだぁ……」
真凛「えぇ……イリスさんもアンジーさんもいますし……」
聖美「風邪で心が弱くなって心細さが増してるの……イリスちゃんとアンジーちゃんだけだとちょっとさみしいだけだけど真凛ちゃんがいてくれるとほんのちょっとさみしいだけになるから……」
妙な話をしているものだが、病人の言うことは聞いてあげたほうが良いかな、と真凛は再び聖美の横に座った。
アンジー「(聖美ちゃん……)」
イリス「仕方ない。聖美のためよ」
聖美「ゲェっホォ!!! ゲッホッゲッホぉ!!!」
真凛「はーヨシヨシ。何かしてほしいことありますかぁ?」
聖美「体に塗るお薬があるのぉ……真凛ちゃんに塗ってもらいたいなぁ……」
アンジー「(聖美ちゃん……!)」
アンジーは何か察している。
イリスが風邪ひいた編
留音「なんだよ、聖美が風邪ひいたって言うから来てやったのに、元気じゃん」
聖美「い、いやっ、まだ実は治って無くてっ!! る、留音ちゃん、体に塗るお薬塗ってくれる!?」
留音「いや、元気じゃん。塗らねーよ。っていうか……あたしはそっちのほうが気になるんだけど」
様子を見に来た留音。だが思っていた感じではなく。
イリス「ぜぇ……! 何がよ……ゲホッ……る、留音……今日こそ勝つわ……勝負しろ……」
留音「完全に風邪うつってるじゃん。寝てな?」
イリス「違う……あたしは超元気よ……この感じは……ちょっと眠いだけ……」
イリスはつけこまれてたまるかと、蒸気した顔で壁に寄り添ってギリギリ立っている。厚着をしないと寒くてたまらず震えている。
留音「お前変なところで衣玖と似てるのやめろ。寝てろってば。ほら、部屋どっちだっけ?」
留音はイリスの方に近づいて肩を持ち、おでこに手を当てて「あっつー」と驚いている。
聖美からうつったものなので、聖美とアンジーは謝るし、悪いと思わせたくないイリスは強がっていたわけだが。
イリス「うぅっ……平気なのに……今ならこの熱を魔法に込めてお前をやっつけて……」
朦朧とするイリスは手の前でポンッと空砲を鳴らした。魔法を使ったつもりらしいが小さな紙吹雪がひらひら舞っている。
留音「なんだその魔法。風邪ひくと隠し芸マシーンになるのかお前は」
そうして案内されたベッドに寝かされたイリス。留音に布団を被せられる。
イリス「うぅー……寒い……寒い……」
辛そうに布団をキュッと握るイリス。こっちの世界のウィルスに対しての抵抗力が低いのかもしれない。
留音「可哀想だな……」
聖美「い、一緒にイリスちゃんと布団に入る……? 四人で入れば暖かくなるかも……っ」
アンジー「き、聖美ちゃん……」
留音「いや、その必要はない。眠れ、イリスっ」
そうして留音は目にも留まらぬ早業でイリスの体の3点を布団の上から突いた。秘孔だ。
留音「一時的に苦しみを解放する秘孔とぐっすり眠れる秘孔を突いた。しばらくイリスは死んだように眠るけど、その間は苦しくないし、少しでも回復して楽になると思う。んじゃ、後は看病してやりな」
そう言ってひょいひょいと帰っていく留音。結局イリスはすぐに良くなった。
今日はナイチンゲールを由来に、看護の日。
みんなが風邪を引く話は過去に五人少女たちもシリーズ内でやっていたりします。




