2020年5月4日 スターウォーズの日
2020年5月4日
今日も今日とてミニーズの襲撃。だが何やらいつもと様子が違うらしい。
イリス「もう終わりにしなさーい!!」
叫ぶイリスの前で言い争っているのが二人。
留音「でもさぁ!! こいつが独占しようとするのが悪くねー!?」
衣玖「私が作ったものなんだから私が一番最初に選んだっていいでしょ!! ちゃんと頑張って再現したんだから!」
留音「ちょっと触るくらいいいだろ!?」
衣玖「やだ!」
留音と衣玖がバトンくらいの筒状のものを奪い合って喧嘩をしている。
イリス「そんなのどっちでも良いじゃない! 子供なの!?」
留音「嫌だ!! 青が良い!」
衣玖「私も青が良い!!!」
一体何を奪い合っているのかというと、こんな事があったのだ。数分前の事。
衣玖「出来たわよ。ライトセーバー。ちゃんと光の粒子に反発作用を入れたから、打ち合いができるようになってるし音も完璧に再現した」
留音「うおーっ! 流石衣玖だ!! 今日という日にぴったりだなぁ! スターウォーズの日!」
五月四日ビー・ウィズ・ユー。フォースとともにあらんことをという言葉から制定された記念日である。
衣玖「私も好きなのに作って無くて。いいきっかけになったわね。それで光刃の色なんだけど、とりあえずノーマルに青と」
留音「おっ、いいじゃーん青! あとは緑か? 赤か?」
衣玖「紫になったのよ。青か赤を作ろうと思ったんだけど、色の調節しながらエピソード3見てたら止められなくて。まぁこれはこれでいいかなと思って」
留音「うんいいよいいよ! じゃああたし青~!」
衣玖「……え。ちょっとまって。青は私なんだけど」
というわけで、そこからずっと青いライトセーバーを巡って喧嘩中なのである。
留音「お前は紫でいいだろ! 二つのフォースの面を合わせた色だぞ! お前たまに悪くなるし!! 昨日だって完全に暗黒面だったからな!?」
衣玖「そういうことじゃない! こっちの青は柄のモデルそのものをオビワンのと同じに作ったの!! こだわってるのはこっちなんだから! 自分で使おうと思ってオビワンモデルにしたの!!」
留音「あたしだってオビワンだよ! オビワン一択!! お前ベイダーも好きなんだろ! 自分でベイダーの作れよ!」
衣玖「後で作るけどそれはそれとしてオビワンも好きなんだから今はこっちで遊ばせてよ!!」
留音「あたしもオビワンのがいい!!」
イリス「バカ達!! いい加減にしなさい!! そんなおもちゃで争わないの! あたしたちと争ってよ!!」
留音「そういうタイミングじゃねー! 今日はスター・ウォーズの日なんだぞ!! あたしが真のジェダイになる!」
衣玖「紫もジェダイですー! そっちを使ってくださいー!」
留音が衣玖からセーバーの柄をもぎ取り、スイッチをオンにした。独特の起動音と共に刀身が現れ、動かす度に「フォン」という小気味の良い重音が鳴り響く。
留音「やったー! あたしのー!」
衣玖「ずるいずるい! 私が作ったのに!!」
衣玖は光刃に向かって体当りし、留音から再度もぎ取ろうとする。衣玖の身体が光刃に当たりそうになり「うわばか!」と留音がセーバーを引いて衣玖に当たらないようにするのだが。
衣玖「へへん! 本当に切れるわけ無いでしょ! 構造を理解してるのは私なんだからやっぱり!! 青は! 私のッ!」
衣玖は怯んだ留音からセイバーを奪い取った。
留音「このやろおッ……絶対青をあたしのにする!!」
留音と衣玖はもみ合いになって一つのライトセーバーを取り合い始めたのである。
イリス「もう……いい加減にしろー!!」
イリスは手のひらをかざし、二人を吹き飛ばした。二人共突然押し出されたように壁まで追いやられて目を丸くしている。
イリス「こんなおもちゃで何争ってるの! あたしが日めくり奪いに来たって言ってんでしょ!! もう少し危機感をもってよ! こっちに失礼でしょうが! 大体刀身の色なんて……」
イリスが残っていた紫色のライトセーバーを手に持ち、そのスイッチをオンにする。「ピシュゥー!」と起動音、伸びていく光。
イリス「ほら、赤!? 緑!? 黄色もできるわよ! こんな事で争って!」
イリスが紫だった刀身を光の魔法で変化させ、見た目を別の色にぱっぱと赤、緑、黄色、黒、白と変更している。
留音「ちょ、ちょっとまって……い、衣玖、わかるよな? いったんあたしに貸してもらっていい?」
衣玖「う、うん」
衣玖がセーバーをぽんと放って留音の元へ。留音はそれを広い、興奮したように刀身スイッチオン。青の刀身がイリスの赤の刀身と対を成している。
イリス「そうそう。じゃあこれはあたしが預かるから、それを取り返す体で戦いを……」
留音「じゃなくてイリス、それ赤のままにしててくれ」
イリス「赤? 赤がいいの? ハイハイ……ほんとにガキなところが……うわぁっ!?」
イリスが赤にした瞬間、留音が切りかかったのだ。それを赤のセーバーで受け止めるイリス。
留音「おらおら! どうしたイリス!! 打ち込んでこい!!」
ピシュー! フォンフォン! 刃と刃が交わう度に独特な効果音が鳴り響き、衣玖の反発作用がうまく動作して派手な閃光と火花が散る。
イリス「なっ……剣術で勝負ってわけ……! これでも魔法以外の体術だってそれなりにやってきたんだから!」
イリスは少し嬉しくなって留音の相手をしている。何度か打ち合っているうちに、留音は少し隙を見せるようになっていた。
留音「ほら! イリス! ほら!」
イリス「何!?」
留音「さっきのフォース!! 吹き飛ばしたの使って!! ほれ!! 魔法でバーンと押し出しただろ! あれ!!」
イリス「はっ!?」
留音「どーんってやって! あたしのことどーんって!」
イリス「……!!」
イリスは言われるがまま留音を片手で押出し、留音は再び壁に吹っ飛んでいく。
衣玖「あーいいないいなー! イリス! 私も! 首を締めるみたいに持ち上げてほしいの! 首絞めて!」
衣玖が楽しそうに首を差し出している。
イリス「あたしは今一体何に巻き込まれているの……?」
スターウォーズごっこは魔法とともにあらんことを。




