2020年4月28日 渋谷ギャルの日 ひめしょ語を考えよう
2020年4月28日
衣玖「ちょりーっす! とりま日めくり案件なんだけどマヂあげみざわぁー!」
留音「どうした衣玖……どうしたんだ衣玖ぅ!!」
衣玖「今日は渋谷ギャルの日だから、私も渋谷ギャルになってみようと思って」
真凛「体壊しますよ^^」
留音「慣れないことはするもんじゃないぞ」
衣玖「でもね、ちょっと考えてみたのよ。ギャル語ってものがあるでしょ? あれってもしかして新しい言語系として実は優秀なんじゃないかって」
西香「ギャル語……仲のいい、キャッキャした女子達の間で使われるあの……わたくしには関わりのないあの……」
留音「優秀って言われてもピンと来ないんだが……」
衣玖「例えばほら、JKって言葉もギャル語でしょ? 女子高生、JK」
真凛「あー、今だと普通に浸透してますよねぇ」
衣玖「言葉っていうのは単純になるほど情緒とか論理が失われるという側面があるけど、でも宇宙規模で考えたときには?」
留音「ギャル語を題材に宇宙規模で考えたときにどうかを聞くのは多分お前だけだ」
衣玖「未知なる生命体とコミュニケーションを取ることになった時、コミュニケーションはよりシンプルである方が優れているし、早い段階で意志疎通を図ることができる。でしょ?」
西香「ここに宇宙人説が濃厚な方がいらっしゃいますが、真凛さん的にはどうなんですの?」
真凛「えっ? うーん、でも渋谷ギャルの生態系には興味あります!」
衣玖「私はギャル語を解析して、まずはこのひめしょ常用語やあるあるについてギャル語化をしていくことにしたの」
真凛「ひめしょ……?」
衣玖「日常的によく使う言葉は特に短縮されやすいの。"渋谷センター街のマクドナルド"はシブセンマックとか。だからまず、タイトルはひめしょでしょ」
留音「あぁ、『日めくれ!』からひめ、『五人少女』のしょか」
衣玖「ひめご、でも良かったんだけど、濁音よりも半濁音や小文字の方が可愛い雰囲気で採用されやすいのよね。で、ルーの必殺技はちょっぱね」
留音「超パネぇってことか?」
西香「超最強波のことでは?」
衣玖「ギャル語にチョッパズというのがあったの。超恥ずかしいという意味。これを参考にしてちょっぱ」
留音「あたしこれからチョッパ! って言って攻撃するの?」
西香「チョッパズですわ」
衣玖「それから真凛が世界(World)破壊(Hakai)を|引き起こした時(Occasion)の事をWHOとする。これはTBS、つまり『テンションバリ下がり』を参考にしたわ」
真凛「他の3文字がいいですー……」
衣玖「あとは何かあったかしら……私達の中で共通認識があって普段遣いする事……」
西香「衣玖さんのIQとか、今後は3で良いのでは?」
衣玖「なるほど。確かに既に億以降の変動が共通認識となればIQ3でもいいわね」
留音「お前が良いならいいけど……」
衣玖「よし……ならば現地へ行くわよ」
留音「現地って……渋谷に?」
衣玖「違うわ、ブーヤよ。ブヤって私達のひめしょ語を浸透させる」
西香「あの、でも一般の方はチョッパもWHOも目にすることがないのでは?」
衣玖「そこは実演していくのよ。ルー、ブヤギャルやって。私もブヤギャルに擬態して話しかけるから」
留音「え~……うぇ~い」
衣玖「うぇ~い。おつかれぇ。ねぇちょっと聞いてよー、あーしの連れがまじWHO系っていうかぁ」
留音「えー? いみわかんなーい。どっかテドロってんのー?」
真凛「なんかやだ~」
衣玖「違くてぇ、世界破壊的な決めちゃうとマヂで手ぇつけらんなくてぇ。WHOマジ勘弁、みたいなぁ」
留音「えーやゔぁーい……これで本当にいいのか……?」
衣玖「上出来よルー。よくとっさに挨拶をうぇーいにしたわね。私も一気に雰囲気を掴むことが出来たわ。よし、それじゃあ行きましょう、ブヤへ!」
そして渋谷へ転送したごにしょたち。多くの渋谷系ギャルが目の前を行き交っている。
真凛「衣玖さんっ、頑張ってー」
留音「あたしたち浮いてないか……?」
西香「堂々としてればいいんですのよ」
衣玖「よし……行ってくる」
果敢に攻めの姿勢を見せる衣玖。
衣玖「あ、あの……」
留音「おぉすごいぞ! 衣玖が知らない人に自分から話しかけてる! それだけ真面目に渋谷ギャルを研究したいんだな!」
普段の賑やかな渋谷であれば衣玖の小さな声は喧噪に塗れて消えてしまった事だろう。だがなぜだか静かな今の渋谷では、衣玖の小さな声でも相手に届く。
衣玖「あ、あの……」
「え、なにこの子」
「えーやだかわいーんだけどー」
二人組のド派手な格好をしたギャル二人に話しかけた二人。
衣玖「シブ、シブセンの……」
「しぶせんー?」
「芋ってんのうけるwww」
「今行っても全然面白くないしー、慣れてないならマヂ帰宅安定だから」
衣玖「あ、安定……?」
「ウチらも店早くおわっちゃってー、こっからGHQなんだわ」
衣玖「GHQ……? WHO?」
「ウケるwwでもまじテドロってるからwww惨状ww」
そこに大きなヘッドフォンをして近づいていくチャラ男登場。
「おねーさんたちちょ今いいっすかwマヂ暇なんで遊びませんかww」
「うわ……ナンパとか」
「行こ。駅まで送ってあげるし」
ギャルに連れて行かれる衣玖。「シャカ男何アピってんだし」「今渋谷で遊んでんのやばいの多いからさぁ、あんまやめといたほうがいいよー」なんてまともなことを言われて別れていった。衣玖はほとんど口を開くこと無く、ギャルに手を振られて、それに黙って振り返す。様子を見ながらついてきていた他のみんなが合流した。
留音「大丈夫だったか、衣玖……」
衣玖「……なんか、お姉さんたち優しかった……飴もらった。のど飴……」
もしかして何か勘違いしていたのかもしれない。言葉を学ぼうとも、その本質は多種多様。衣玖のギャル研究はまだまだ始まったばかりなのである。




