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2020年4月25日 DNAの日 ターニングオーバー! イケメンファイブ!第302話

2020年4月25日


 KP-おおふじさん先生による「五人少女シリーズ」のDNAを受け継いだ新たな作品。「ターニングオーバー! イケメンファイブ!!」は毎日更新中!


―――――――――――――


イクス「ついにDNAの構造と意味、その検索と置換が可能になった……これで僕は……」


 IQ3億302の大天才、イクス。彼は密かに開発したDNA改ざん装置の完成を噛み締めていた。


イクス「興奮が止まらない。使う前にコーヒーでも飲んでくるか……」


 イクスは学校に備え付けられた専用の研究室を出て学園食堂でコーヒーを淹れる。熱いと飲めないので少し混ぜながら空気を送り込んで冷まし、とびきり甘くして口へ運ぶ。


イクス「あつっ……」


 猫舌なのだ。学校であるため遠くからは他の生徒の目もある。女子生徒は「きゃー! かわいいー!」と小声で騒いでいた。


イクス「(しかし……完成したものの照射装置だ。誰か照射してくれる人を探さなければな。……ルネリオに頼むか)」


 というわけでルネリオに連絡をとったイクス。ルネリオはカーリング部の次回大会に備えて強化特訓を施していた。その名も氷牙衝裂断。ストーンを投げた時、氷を磨く際に起こす波紋を相手のチームのストーンに伝えて全てを破壊することで自然に自分のチームのストーンだけが点数を得られるようになる技である。


 食堂でルネリオを待ち、合流した二人。イクスはコーヒーの残りを口にしつつ何をしてほしいのかを伝えた。


ルネリオ「特訓を切り上げて来てやったけどよ、ボタンを押すだけかよ? ったく、くだらねぇな」


イクス「そう言うな。お前には数々のサンプル採取に協力してもらったからな。僕の発明したこのDNA再構築装置の最初の実験をお前に頼みたいと思ったんだ」


ルネリオ「ま、いいけどよ。何が起こるんだ?」


イクス「……僕の背が伸びる」


ルネリオ「あっ?」


イクス「DNA情報に高身長を取り入れるんだ。たちまち僕の身長は170センチくらいにはなるはずだ」


ルネリオ「……ハハハッ、くだらねー! お前はそのままで可愛いじゃね―か」


 気持ちのいい笑いでルネリオはポンポンとイクスの頭を軽く叩いた。遠巻きに見ている女子生徒が「きゃー!」と騒いでいる。イクスがルネリオの手を払った。


イクス「やめろ。飲み終えた。研究室に行くぞ」


 多数の生徒に見守られて二人は消えていった。学園内の片隅では彼らのカップリング談義が盛り上がっている。


 そして研究室にて。ちょうど懐中電灯のような装置がハイエンドPCに接続されていた。どうやらそれが件の装置らしい。


イクス「ルネリオ、あとはもうトリガーを押すだけだ。僕に向けて照射してくれ」


ルネリオ「あいよ」


 そう言って装置のトリガーに手をかけながら、PC画面に表示されている文字を読んだ。身長設定、体重設定、性別など項目が多数ある。


ルネリオ「なぁ。これって照射に回数は決まってるのか?」


イクス「いや、既にノーリスク化してある。違和感があったら次の照射で元の状態に戻れる」


ルネリオ「ふーん(……性別、女……? できんのか?)」


 ルネリオは面白がって、イクスが上着を脱いでいる内にちゃちゃっと端末のボタンを押す。性別・女。それを押したところで身長設定が初期化されていた。


イクス「さぁルネリオ、やってくれ。世紀の瞬間だ。これでなりたい自分になれる」


 その時、入り口の方からマリオンが顔をのぞかせた。


マリオン「あ、二人共やっぱりここだったんだね。次の学園のPR活動の撮影の話がしたいって言っただろう? 何をやってるんだい?」


ルネリオ「おぉマリオン。イクスがまた面白いものを開発したんだよ。なりたい自分の見た目になれる装置だ。そこで見てろよ、きっとすげーぞ」


イクス「世紀の発明だ。身体と心の乖離は一切なくなるだろう。さぁルネリオ、頼む」


マリオン「ふーん、確かに面白そうだね。じゃあ見物させてもらおうかな」


ルネリオ「よし、照射!」


 指向性のライトのような光がイクスの身体を包んだ。


イクス「うっ」


 衝撃と変調にイクスが呻く。


ルネリオ「大丈夫か?」


イクス「あぁっ……問題ない……痛みがあるわけじゃないんだ。身体の作りが変わる感覚にモゾッと妙な感覚があっただけで……」


 喋りながら少しずつ声が高くなっている。


マリオン「わぁっ! イクス! すごい発明じゃないか!」


イクス「……おかしいな。背丈が変わってないんだが……」


ルネリオ「おぉー! 成功だぞイクス! いや、イクスちゃん!」


イクス「!?」


 イクスはバッと自分の手を見る。変化は見受けられないが、かすかに胸部が浮いているように見えた。


イクス「なっ、なっ……まさか……」


ルネリオ「女の子にしてみたぜ」


マリオン「イクス、君は女の子になりたかったのか。ははは、とっても可愛いよ」


イクス「な、何をやっているー! 僕は身長をッ……」


ルネリオ「いやいや、女の子だしもういいだろ~?」


 ルネリオはケラケラと笑ってイクスに近づき、どうなってるんだ? とイクスの服を引っ張って中を確認して「へぇ~!」と興味深そうにしたのを、イクスは顔を赤くしながら女の子のように胸をかばっている。


イクス「や、やめろぉっ! バカルネリオー!」


 イクスはルネリオの置いた装置を取ると、それをそのままルネリオに向けて照射した。


ルネリオ「うわっ!まじかよ!?」


 不意を疲れたルネリオはみるみるうちに女体化していった。栄養度の違いからなのか体つきにはイクスと全く違う反応が現れている。


ルネリオ「おいおい……こいつぁ……」


 自分の視界の下方に現れたモノにゴクリとつばを飲むルネリオ。


マリオン「うわぁ……立派だなぁ……すごいよイクス、こんなものまで作れるなんて」


 そんなところで、再び入り口から影が現れた。サイ・カーロンだ。


サイ「おい、てめぇらこんなところにいたのか。オレ様のPR企画の会議はどうしたんだよ? 会議室で待ってたんだぞ……っておいおい、なんだマリオン、お前まさかこんなところで女二人も侍らせてたのか?」


マリオン「あはは。サイ、違うよ、この二人は……」


 マリオンの説明も聞かず、サイはルネリオとイクスに近づき肩を力強く引いて自分に密着させる。


サイ「おい女ども。オレ様を差し置いてマリオンなんかと遊んでんじゃねぇよ」


イクス「チッ……勘違いしてるんじゃない。僕だ」


ルネリオ「おいサイ、人の身体触ってんじゃねぇ」


サイ「あぁ?」


マリオン「それ、イクスとルネリオ」


 サイはその言葉に驚いて二人を押し出して離れた。


サイ「う、嘘だろ!? 何があったんだよ!」


マリオン「イクスの発明だよ。びっくりだよね。こんなにかわいくなるなんて」


サイ「へぇ……にしても大した上玉じゃねぇか。この装置か?」


 サイは照射装置をマリオンに向けてボタンを押した。


マリオン「わー! な、何をするんだよー!」


サイ「おー、いいじゃんいいじゃん。これで学園出てみようぜ! オレ様の取り巻きとしてさぁ! お前たち学園中の女子から嫉妬されるんだろうなぁ」


イクス「バカ言ってんじゃない。取り返せ、ルネリオ」


ルネリオ「おうよ」


 するとルネリオは一瞬でサイから装置を奪い取り、それをサイに照射した。


サイ「うわっ! 何しやが……うぉ!? オレも超絶可愛いじゃねぇの……!」


イクス「撃てとは言ってないんだが……まぁいいか。言っとくがこの装置、一度使ったら1日はもとに戻らないからな」


ルネリオ「えっ……マジか?」


イクス「やってくれたよな。まぁ仕方ない。女の子の身体で1日過ごすしか無い」


サイ「おいおいおい!! どうしてくれんだよ!?」


マリオン「でもイクスの発明はただでさえ表に出すのに国の審議がいるのに、ぼくたちがこんな状態になってるなんてバレたらまずいよ?」


イクス「……じゃあ本当に女の子になるしか無いわね。……私は衣玖(いく)、ルネリオは留音(るね)、マリオンは真凛(まりん)、サイは……西香(さいか)、とでもしましょうか」


ルネリオ「ぶはっ! イクス、女の子口調にあってんじゃねーか!」


衣玖(イクス)「笑い事じゃないわよ。こんな状態バレたら退学かも」


西香(サイ)「おいおい、そりゃまずいぜ……じゃねぇ。まずいですわ……これぜってぇバレねぇだろ……オレの理想の女だぜ……」


 サイは自分の声と容姿に恍惚としながら言った。


留音(ルネリオ)「おいおい! 俺は女口調なんて嫌だからな!?」


真凛(マリオン)「こらこら、留音(るね)さん。俺、じゃないでしょぉ?」


留音(ルネリオ)「……あ、あたし……これでいいか?」


真凛(マリオン)「よろしい☆」


衣玖(イクス)「楽しんでるわね……みんな、とにかくこれで乗り切るしか無い。元が男だと絶対ばれないようにね」


――――――――


イケメンファイブ、どうなってしまうのか!? 怒涛の美少女編始まる!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 読んでいてすごく楽しいです。 怒涛の美少女編。楽しみです。
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