2020年3月21日 催眠術の日
2020年3月21日
イリス「この手はあまり使いたくなかった。なんせなんだか卑怯な感じがするから……でも作ったわ!」
今日も今日とてミニーズは元気のようだ。
アンジー「わぁ、今日も新しい魔法が出来たの?」
聖美「どんな魔法~?」
イリス「ふっふっふ、聞いて驚きなさい。今日は催眠術の日。そこで催眠術による洗脳を魔法にしたのよ! これにかけることで相手の心を奪い、完全に服従させることが出来る……くくく、禁じ手ねこれは……」
聖美「わぁ素敵!! なんでも言うこと聞くようになるの!? どんなことでも!?」
アンジー「聖美ちゃんっ?」
イリス「なるわよ。例えばあたしたちの仲間に……」
聖美「ママになって甘えさせてって言っても聞いてくれる!?」
イリス「もちろん。……ママ?」
聖美「じゃあ他にも一緒にお風呂に入ったり一緒のお布団で寝たりも!?」
イリス「可能でしょうね。本人が込めた魔力を超える強固な意思で否定したらわからないけど……でもそんな事する必要ある?」
聖美「ううん、聞いただけぇ……」
アンジー「と、とにかく……その催眠術でするのはやっぱり仲間にすること?」
イリス「そうね……あたしたちに貢献してもらうためにまずは何人か従順な下僕として洗脳しましょうか」
聖美「ひゃああっ!! イリスちゃんすごい! 私の言うことも聞く!?」
イリス「もちろん。催眠術が効けばミニーズには絶対服従になるわ」
聖美「早速五人少女ちゃん誰でもいいからかけよう!!!」
イリス「すごい気合ね。いいわよ、手当り次第にやりましょうか」
アンジーは不安そうな表情でついていくことにした。そこで最初に見つけたのは…
西香「あら皆さんごきげんよう」
西香である。それに対してアンジーとイリスがやや眉をひそめた。
イリス「ねぇ、ノーカウントにしない?」
何かと得にならなそうだ、とイリス。アンジーはぼんやり「でも可愛いからなぁ」と考えていたのだが、聖美は首を大きく横に振って言った。
聖美「いいよ! 西香ちゃんもいい! お人形にしたい!!」
裏の声をだだ漏れにする聖美に、西香は流石にぎょっとしている。
イリス「まぁいいか。ちゃんと効くか試してみたいし。喰らえ西香! "催眠洗脳魔法"!」
派手な光は飛ぶこと無く、一瞬だけ西香の頭に蜃気楼でも纏ったような残像感が出たのみ。しかしイリスにはそれが成功の証だとわかった。
西香「え? なんですの? 光が……」
イリス「さぁ西香。これであんたはあたしたちの下僕となったのよ」
西香「はぁ? 下僕? わたくしが? そんなの嫌ですわよ。でも仕方がありませんわね。下僕になって差し上げましょう」
アンジー「あ、なったんだ……駄目なんだと思った……」
聖美「やった……(うちに住んでもらって一緒にお風呂に入って一緒に寝るまでずっと動画で撮影して……)」
イリス「さぁ! まずはお前達五人少女の恥ずかしい秘密や弱点などを心内にあるものをドンと言ってしまうがいいわ!」
西香「めんどくさいから嫌ですわ。でも秘密ですか……そうですわね……」
アンジー「なんか、西香ちゃんワンクッション置くね……一回否定してくるのはなんだろう……」
イリス「それだけ捻くれてるって事よ」
聖美「(触っても怒られないってことだよね……そうだ、性格を矯正してもっとアイドルみたいにして……でも裏では私にデレデレしてもらって……)」
西香「これは秘密と言いますか……わたくし、珍しく心に引っかかってた事があるんですの」
イリス「くくく。良いわね、なんであれ聞きましょう。お前たちを辱める切り札になるなら……心にあるものを素直に吐き出しなさい、西香!」
聖美「(辱める……!!!!)」
西香「実はその……わたくし、少しだけ気にしていたんですの。いつだったかアンジーさんの事を男の子だと言ってしまったことを」
アンジー「うん……はっ? えっ?!」
実際にアンジーはあまりにもできすぎた男の娘である。仲間のイリスと聖美だけが知らないのだ。それを指摘した3月6日、弟の日の事を思い出して、西香は話していた。
イリス「あぁ、そんな事あったわね。流石にどうかと思ったわよ。あんたでも失礼すぎるっていうか」
西香「わたくしね、普段でしたら人を傷つけたりしませんからネガティブな感情でお話を覚えておくことって無いんですの。でもアンジーさんの事だけは何故だか心に残っていまして」
アンジー「そうなんだ……よくもまぁ15日間も律儀に覚えてたね……」
こんな日に蒸し返さなくても良いことを……西香は洗脳されても西香なのだ。彼女のあり方は特に理由なく何かしらの方法で誰かを傷つけることに特化している。
西香「わたくし……何処で聞いたのかは覚えていないんですけど、アンジーさんの事は絶対男の子だと思ってたんですの。絶対も絶対、完全に男の子だと思って接していました。もしアンジーさんと二人きりで話しているところがファンの方に見つかったら起こるであろう炎上にどう対処しようかと常日頃考えていたんですの」
ちなみに出会いの日、12月2日にアンジーが自ら男であると言っているので、誰から聞いたかの答えは「本人から聞いた」が正しい。
アンジー「あの……西香ちゃん……」
声を震わせるアンジー。
西香「だからあの日、聖美さんとイリスさんに言われて少し自分の中で小さなショックを感じました。それまで気をつけていた自分の気持ちなんかが崩れ去ったような……努力が水泡に帰したというものですわ。わたくしそれでつらい思いをしました。皆さんには謝っていただきたいと思います」
イリス「は?」
西香「ですから、アンジーさんを男の子だと思っていたわたくしにぐさりと指摘したことについて謝っていただきたいと思ってるんですの。はい、心にあるものを素直に吐き出しました。流石に謝罪まではわたくしでも高い要求かなと思ったのですが、どうしても言えとおっしゃるので」
イリス「ちょっとまって、流れがわからない」
聖美「(あっ、ちゃんと話を聞いてなかった……)」
西香「ですから、謝罪してください。わたくし、アンジーさんが女の子だと知ってそれまでの努力を失ったんですの。あなた方があの時指摘しなければこんな風に2週間以上ふとした時に思い出してしまう、なんて事もありませんでした」
イリス「言ってることめちゃく……」
アンジー「ごめんなさい」
アンジー、割と心からの謝罪である。
イリス「ちょっとアンジー!? 謝る必要無いわよこんなふざけた話に!」
聖美「(なんでもいいや)西香ちゃ~ん! 私の事ぎゅぎゅーってして~! 写真も撮りたーい!」
西香「はぁ? なんなんですの急に。絶対イヤですわよ。撮る時はやたら目が大きくなるアプリは使わないでくださいね、わたくしの美しさが損なわれますので。はいヨシヨシ」
イリス「くっ……意味がわからないわ。おのれ西香、五人少女は洗脳しても手強いということか……」




