2020年3月16日 財務の日
2020年3月16日
今日はいつもの五人少女宅。タイトルから分かる通り、張り切っている守銭奴が約1名。
西香「さて皆さん。今日はわたくしと一緒に、お金をしっかりと確保するためにはどうしたらいいのかを勉強していきましょう」
当然、西香である。本当は教えたくないらしいが、記念日に妥協して教えるそうだ。
留音「あーぁー。財務って聞いた瞬間に出てくると思ったんだよな~……」
西香「出てきますわよ。財と聞けば出てきますわ」
真凛「えーなんだぁ、静かなのは1日だけかぁ……」
ちなみに昨日、西香が死んでいたから静かだった、という話である。
西香「あら真凛さん、その話も入れようと思いましたの。はいレッスン1。取れるところから取れ、ですわ」
真凛「(しまった)」
西香「いいですか、わたくしは昨日健康を害されましたね。誰に? ストーリー的にいえば真凛さんで間違いないでしょう」
留音「健康を害されたっていうか、死んでたけどな」
西香「そうです。そんな時はこれ、損害賠償というやつですわ」
はい、トン、とどこからか取り出した小型のホワイトボードに「そんがいばいしょう」と書かれていた。
西香「こちらが利益を被り、そして相手に非がある。そんな時にはこの損害賠償を求めることが出来ます。例えば昨日、わたくしはどうやら真凛さんに殺害されていましたね。であれば昨日わたくしが出すはずだった可愛さ利益を真凛さんに支払っていただくことになります」
真凛「で、でもあれは記念日をやる上で……」
西香「おだまりなさい真凛さん! なんであれ説得力を出してしまったあなたの負けですわ!」
留音「そもそも可愛さ利益って?」
西香「わたくしが発揮する可愛さによって増加したファンから受ける利益の事ですわ。昨日は丸一日分ファンが減りましたからね。当然損害賠償も……」
その発言に割り込むように衣玖が言う。
衣玖「でも西香は黙ってたほうが人気という説もあるわよ」
真凛「そうですよぉ。最近は不健康な子も人気が出たりするようですし……昨日みたいに肌が青白くてうなだれがちだった昨日の西香さんを好きになった方もいますよぉ……」
西香「なるほど。まぁ確かに出演はしましたし、わたくしったら黙ってても完璧に深窓の姫君になってしまいますからね。仕方がありませんわ、真凛さんへの損害賠償は求めずにいてあげましょう」
真凛「は~、めんどくさかった~」
西香「さて、本題に入りましょう。財をなすためにはどうすれば良いのかを。わたくしのように完全なる美少女であれば、すこしカメラを使うだけでインターネッツを通じてじゃんばり稼ぐことも出来ますが……今日制定された記念日から、とある方のエピソード交えて説明いたしましょう」
留音「とある方って?」
西香「皆さん、ビタミンというものはご存知ですわよね。栄養の」
留音「あぁもう超お世話になってる」
衣玖「割とちゃんと日めくりをするつもりみたいね」
西香「かつてこれを抽出したのは誰だったのかご存知ですか? ご存じないでしょう。わたくしもお名前は忘れました」
衣玖「鈴木梅太郎博士ね。脚気の治療方法を見つけるためにチアミンという栄養素を発見したの。今で言うビタミンB1の事ね」
留音「へぇー……」
西香「そんな話はどうでもいいんです。その博士とやらが何をしでかしたか。今日はそこに焦点を当てますわ」
真凛「何をしたんですかぁ?」
西香「その方はですね、なんとかという名前でその栄養素を発表しました。ですがいま現在、その名前は知られていませんわ。なぜなら今はビタミンと呼ばれているからです」
衣玖「ちなみになんとかっていうのはオリザニンね」
西香「そんな話はどうでもいいんですの! とにかく、何故今ビタミンと呼ばれているか……それはですね!! この博士は! 発表が後手後手になったからなのです!」
留音「はぁ」
西香「抽出の成功は早かったのに、発表にもたついて……それによって別の方がビタミンとして発表し、結果的にビタミンという呼び名が定着しているのです!」
西香はバンバンと机を叩いて主張している。
衣玖「発表はしていたんだけどね、でも訳文の関係で外国では注目されなかったみたいなの」
西香「そんな話はどうでもいいんですの!! 新しい物を作り上げ!! 何故それをもっと誇らず、そして然るべき機関に登録をしなかったのか!! もしもそれに成功していれば今ごろ留音さんの飲んでいる栄養ドリンクに入っているモノの名前はオリザニンA、オリザニンBなどになっていたかもしれませんのよ!」
留音「でも成分は同じなんだろ? 別に変わらなくね?」
西香「お馬鹿者ですか!! 誰に特許料、名前の使用料が入るかという話をしているのですわ! これは商業的に大きな失敗をした方のお話です!!」
真凛「西香さんには1円も入らないし、失敗もしてないと思いますけどぉ……」
西香「いいえ! 日本がオリザニン第一国として特許などで儲けていれば更なる経済の循環からわたくしに還元もあったかもしれません!! 稼げるところで稼ぐ! それが財をなすということ!」
留音「力強いな」
西香「そのとおり!! まさに今日、財務の日という記念日がある日にふさわしい教訓としての出来事ですわ。はかったように今日の事ですからね!」
衣玖「一応言っておくと、鈴木博士は難病の治療のためにオリザニンを発見して最終的に特効薬にしてるから……」
西香「はぁ。つまり何が言いたいんですの?」
衣玖「……多分、製薬の業界では利益も出てたんじゃないかしら」
よく知らないけど。と最後に呟いた声は西香に届いていない。
西香「ならばよし! ただし詰めがあまいとは言っておきましょう!」
留音「何目線で話をしてるんだお前は」
というわけで財務の日。そして今現在、ビタミンB1の生物が生存するための重要性は医学と食の文化の中で知れ渡り、インスタント食品にもしっかり入れられるようになったという。お金もビタミンB1も大事。




