2020年3月13日 ペヤングソースやきそばの日
2020年3月13日
衣玖「本当にやるのね、ルー……」
留音「あぁ、任せろ……大丈夫だ、これくらいあたしにも出来る」
なんだか空気感が昨日のデジャブであるが別の話である。そこへ登場するのがミニーズ。
イリス「おらおらー! 今日はお昼時に参上してやったわよ!! 勝負! いざ勝負!」
聖美「待って! イリスちゃん! すこしシリアスな雰囲気だよ……?」
衣玖「ミニーズ達が来たわね。ルー、早く用意して戦ってあげないと」
留音「わかってる。そのためには早くこいつを完成させないとな……」
アンジーは留音たちの手元に視線を下げ、それを見て言う。
アンジー「……ソースやきそば」
留音の手にはカップ焼きそば。今まさに封を開け、沸かしたお湯を入れようとしているところである。
イリス「何? カップラーメンなの? 結構美味しいわよね」
留音「カップ焼きそばだ。……今日は真凛がいないからな。あたしと衣玖は自分たちで飯を作る必要がある……だが今日は白飯が炊かれていなかった……卵かけご飯は作れない」
聖美「卵かけご飯」
作る……? 聖美は聞き直しているのか、自分への理解を促しているのか、自分でその呟きの意図がわかっていない。
衣玖「そして私も一瞬でカップラーメンを完成させる便利レーザーを失くしてしまったの。だからこのカップ焼きそばを完全手動で完成させる必要がある」
アンジー「カップ麺について『完全手動で完成させる』なんて表現初めて聞いたよ……」
留音は今、一つのカップ焼きそばを開けて、かやくやソースなどの説明を慎重に読んでいる。それからかやくを開け、麺の上に出してからお湯を注いだ。
留音「よし、これであとは3分待つだけだ……衣玖、タイマーを頼む」
衣玖「わかったわ。この間に3秒過ぎたから2分57秒でスタートした」
留音「流石だな......!」
聖美やアンジーはそのやり取りに苦笑いをしている。留音たちが作りたいカップ焼きそばは二つ。まだ衣玖の分を作っていない。留音はそちらの封も開けて準備を始めた。
イリス「まったく。早く戦いたいんだからさっさと作りなさいよね。手伝ってあげるから」
イリスは留音の隣に立ち、お湯を入れたカップ焼きそばを眺めている。その上には後入れソースが置かれている。
留音と衣玖は再び別のカップ焼きそばの蓋や袋を見て、それがどのタイミングで入れるものなのかを慎重に調べていた。なんせカップ焼きそばはボーッとしていると大事故につながるからだ。
イリスは先に置かれたソースを持ち上げ、何故入れないんだろう? と気を利かせてそのソースを開けた。
聖美&アンジー「あっ……」
イリスはそれからまだお湯でひたひたのカップ焼きそばの中にソースをでろでろと投入したのだった。本人の表情は「全く仕方ないわね」的なドヤ顔である。
そんなこととは知らずにもう一方のカップ焼きそばにかまける留音と衣玖。そちらのカップ焼きそばは手順が一つ多い上に内容物も先入れ一つ、後入れが二つとやや複雑なのだ。
だがIQ3億のパワーもあり、なんとかお湯を注ぐところまでいった二人。その間に過ぎた3分。留音は先程イリスがソースを入れてしまったカップ焼きそばを手にし、湯切りの準備を始める。
衣玖「気をつけなさい……熱い上にその蓋の形状。油断したら全てが終わってしまうわ」
留音「わかってる……」
湯切り口が固定されていないタイプのカップ焼きそば。湯切りの際の内容物デロン事件は数え切れない件数を記録している。とはいえ本商品は既に湯切り=ソース捨ての焼きそばである。そんなこととは知らず、留音はしっかりと蓋を持ち、容器を傾けてお湯を捨てようと……。
留音「アッツぁ!!!」
ぐちゃあ! デロン! 蓋から滲み出た熱湯に留音の指は焼かれ、その衝撃で蓋が開き、中身がでろでろと外へ出る。息を呑む留音、衣玖、聖美、アンジー。だが固唾を呑んで見守っていたイリスだけが即座に反応した。
イリス「"浮遊魔法"!」
魔法を使い、シンクに触れる寸前で空中に停止する焼きそばと具。イリスはカップ焼きそばを瀕死にさせておきながら、同時にこうして命を救ったのである。
留音「あ、ありがとうイリス……おかげで助かったぞ……でもなんでお湯がソース……あたし入れたっけ……?」
イリス「それはあたしが入れたの。入れ忘れてたでしょ?」
留音「……」
複雑な気持ちになる留音だった。
衣玖「薄味のカップ焼きそばになりそうね……そうだ、何か味を改良すればいいんじゃない……? 例えば……そうだ、昨日真凛が使っていたきゅうりの旨だれ! あれを混ぜてみましょう!」
留音「えっ……このほんのりソースみのあるカップ焼きそばにきゅうりの旨だれ風味を加えると言っているのか……?」
留音はイリスに浮遊してもらっている焼きそばを容器に戻しながら、ワクワクした表情でいる衣玖にそう言った。
衣玖「これは挑戦になるわね」
留音「挑戦しなくていいんだけど……」
そこに聖美。
聖美「あの、ソースがあるなら味付けでもう一回焼きそばにすればいいんじゃないかな……」
留音「で、出来るのか……?」
アンジー「多分ソースとちょっと胡椒振ったりするくらいで美味しく出来ると思うけど……」
留音「なら頼む……美味しいカップ焼きそばにしてやってくれ」
イリス「ふふん、さすが二人ね! 仕方のない留音に見せつけてやって!」
ペヤングのあの箱の形状はコスト的な意味があるのか、悲しいハプニングを狙ったものなのか。今日はそんな罪深くて美味しいペヤングソースやきそばの記念日。




