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2020年3月4日 三姉妹の日

2020年3月4日


 姉妹関係の中でも、三姉妹というのはひときわ絆が強いのだそうだ。


ロリス「というわけで、あたしたちも三姉妹になってみるわ!」


聖美(きよみ)「わっ、イリスちゃんちっちゃくなったねぇ。可愛い~」


ロリス「配役の条件は潜在意識とか空気とか色々入り混じって決定されてるの。あたしが決定したわけじゃないわよ」


 今日はイリスの魔法で三姉妹になったミニーズのお話。でも本当になれるのか。なんせ一人は男の娘である。


ロリス「ちなみに年の差もすこし離れることになるわ。あたしは多分11歳くらいでしょ?」


聖美(きよみ)「うん。ちっちゃくて可愛い~。でも私はあんまり変わらないね?」


ロリス「私が三女になって、聖美(きよみ)は1歳位変わったかも。とにかく次女のはずよ。となればアンジーが長女になってるわね」


 はず、というのは、まだこの場にアンジーが到着していないからである。魔法は朝からかけており、イリスは聖美(きよみ)の実家で一緒に暮らしているすぐにその変化がわかるが、男の娘であるアンジーは自宅で暮らしている。だから本人がここに来ないとその結果がわからないのだ。


 朝の魔法をかけた時点で、アンジーには「体の変化があっても戸惑わないでね、あたしの魔法だから」とメッセージを送っている。


 多分アンジーは成人したくらいのお姉さんになっているのではないか、と期待をふくらませる二人。やがて時間が経ち、呼び鈴が鳴らされた。きっとアンジーだ、とワクワクしながら出迎えた。


アンジー「あー! いたぁー! 二人共~! 聖美(きよみ)ちゃん! ……と、イリスちゃんだよね……? ちっちゃーーい! 可愛いー!」


 アンジーはいつも以上にきゃぴきゃぴしながら家に入り込むと、いつもはしないようなスキンシップで二人に接し始めたのである。


ロリス「やっぱりアンジーはお姉ちゃんになったみたいね。……ってちょっと、撫ですぎなんだけど……」


アンジー「だって可愛いんだも~ん! ひゃ~っ。ちっちゃいのは魔法なんでしょぉ? 不思議だね~、可愛い~! お人形さんみたーい!」


 アンジーはイリスのツインテールをシュルシュルと指に梳きながら存分に撫で回している。


聖美(きよみ)「な、なんだか今日のアンジーちゃんは積極的だねっ」


ロリス「どうしたのかしら。性格まで変わったのかな……いや、でもアンジー……逆にそんなに変わってないわよね……?」


 アンジーは「んっ?」と楽しそうな顔を向けている。背が伸びたわけでもないし、何かが変わったような感じはしない。だが。


聖美(きよみ)「でもお化粧はちょっと違うね。なんか綺麗っていうか……」


 いつもはナチュラルメイクというか、アンジーのメイクはとても薄く、ほんのりと可愛い系にする程度のメイクだ。でも今日のアンジーは違う、どこかお姉さんというか、大人っぽいキレイ系なメイクをしているのである。


アンジー「ありがと~! 聖美(きよみ)ちゃんもとっても可愛いよ! もうみんな大好き~!」


 アンジーは聖美(きよみ)とイリスをむぎゅむぎゅ体に押し付けて、聖美(きよみ)が苦笑いしながら部屋へ連れて行く。


 イリスなどはその小さくなった背丈からアンジーの胸元に頭が入っていたのだが。


ロリス「(……あっ。アンジー、成長してる……)」


 なんて思うのだった。もちろんカラクリはある。


―――――――――――――


すこし前の時間。


アンジー「い、いやぁぁぁぁあっぁあああああ!」


シスジー「ど、どうしたのアンジーちゃん!!」


 12月8日、逸話の日ぶりのアンジーの姉、ブラコンシスターことシスジー再登場である。アンジー大好き。アンジー男の娘化の英雄(はんにん)でもある。見た目も声もほとんど変わらない、正真正銘アンジーの姉だった。


アンジー「お、お洋服の……サイズがちょっと合わなくなってる!!」


 魔法的に数年分の成長をされたアンジー。ひげも生えず、声は半音程度だけ声が低くなり、でもすこしだけ背が伸びた夢の男の娘。目元はすこしだけキリッとして、美少女からお姉さん方向にシフトした男の娘になっていた。


シスジー「キャーッ!! アンジーちゃんがかっこよくなってるぅーー!」


アンジー「ぃいいやあああああああああ!!!」


 両名大混乱である。そこにぴろりんと、スマホにメッセージが届く音がした。アンジーがちらっと見ると、どうやら魔法で姿が変わったことが説明され、ほっと一安心というところだった。


シスジー「話には聞いてたけどすごいねぇ……でもアンジーちゃんが三女になってたら……あぁっ!! なんて惜しいの!! 昔のアンジーちゃんもとっても可愛かったのに!! 今も可愛いけど……でもでも大人アンジーちゃんはかっこよくなるんだぁ~……あぁっ!」


アンジー「姉ちゃん一人で興奮しないでよ……でもどうしよう、今のままで皆に会うのはちょっと気が引けるなぁ……でもみんな長女のボクを楽しみにしてるみたいだし……うぅっ……」


 アンジーが不安そうにしていると、隣で音高めの同じ声から「ふっふっふ」という不敵な笑いが発せられた。


シスジー「アンジーちゃん。お姉ちゃん」


アンジー「うん。お姉ちゃんになっちゃったみたいなんだけど……」


シスジー「そうじゃなくて、ここにお姉ちゃん!」


アンジー「ま、まさか……」


シスジー「お姉ちゃんなら元からお姉ちゃんだからみんなのお姉ちゃんになってもちゃんとお姉ちゃんだよぉ!」


アンジー「で、でも初対面でしょぉ? バレちゃったら……」


シスジー「大丈夫! アンジーちゃんから話は聞いてるし、アンジーちゃんの大切なお友達に変なことしないよ! それに今日はみんなの様子がちょっと変わった日なんでしょう? ちょっとくらいおかしくたって平気平気!」


 というわけなのであった。


アンジー「(心配だぁ……大丈夫かなぁ姉ちゃん……)」


 というわけで。


イリス「ちょっと! どうしたのアンジー、今日はやけにベタつくわね」


シスジー「だって、妹達が可愛いんだもん~」


聖美(きよみ)「やだーっ、くすぐったい~!」


 アンジーの心配は的中し、案件発生中である。

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― 新着の感想 ―
[一言] シスジーちゃんの可愛い妹たくさんほしいという、その執念。感服いたしましたーm(__)m
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