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2020年2月17日 天使の囁きの日

2020年2月17日


イリス「んっふっふ、天使の囁きの日とあるけど、今日は魔法的に強い日よ。なんたってこれはダイヤモンドダストが記念日に祭り上げられている日なんだから! 奴らを氷漬けにして倒すチャンスということよ!」


 天使の囁き、それは空気中の水蒸気が凍ってできるダイヤモンドダストの現象を神秘的に表した言葉である。


 大気の氷結という現象を記念日にした今日は、イリスにとって氷のマナが充足し、より強力な氷結魔法を行使可能な準備が整っていたのだ、が。


聖美(きよみ)「でも美少女の事を天使って言うよね……私は【天使の囁きの日】にしたい。天使が囁く日がいい。というわけで二人共っ! ささやき声の練習しよっ?」


 聖美(きよみ)はそんな事を言い始めたのだ。アンジーは静かに様子を見守っている。


イリス「ちょっとよくわからないんだけど。ささやき声の練習? 何の意味があるの? あたしが氷結魔法を使うよりも重要?」


聖美(きよみ)「うーん、でもささやき声って武器なんだって……それも、可愛さ部門での強い武器になるって話だから……囁いてみよう!!」


 イリスは意味がわからずに首を傾げているが、アンジーはなんとなく意味がわかるのか、やっぱり目を閉じて静かにしていた。


 すると聖美(きよみ)が小声で喋り始めた。


聖美(きよみ)「(こうやって小声でしゃべるのがいいのかな!?)」


イリス「(意味がわからないわよ! 単にひそひそ話してる感じね! 本当にダイヤモンドダストよりも武器になるのっ?)」 


 二人は授業中に先生が見ていないところで小声で喋ってるようなかしましい雰囲気だ。そこにアンジーがようやく口を開いた。


アンジー「あのー……二人共、囁き声っていうのはそうじゃなくて……」


聖美(きよみ)「(えっ! アンジーちゃん、わかるのっ?)」


イリス「(知識があるならいいじゃない! あたしたちにその武器ってのを教えてよ)」


 アンジーは複雑そうな表情を浮かべる。


アンジー「えっと、可愛くて武器っていう意味での囁き声だったら……多分こういうことだよね……」


 そう言うと、まず近くにいたイリスのところに行き、「ちょっと失礼」とアンジーがイリスの耳元に口を近づけた。そしてイリスの耳元に手をかざして、声がまっすぐ届くように少し丸め、イリスの耳に直接囁く。


アンジー「(こうやって……そよそよした感じでね、音に緩急を)つけて(話すとね)……気持ちよくなるんだよ」


 アンジーは声に吐息にのせて話すのと、喉を鳴らして話す普通の喋り方による小声を織り交ぜるようにゆっくりとした速度で話した。それを耳元でされたイリスはびっくりしながら顔を話し、少し頬を赤らめて今アンジーが囁いてくれた方の耳を抑えながら肩をぶるっと震わせた。言葉にならず目をまんまるにしている。


聖美(きよみ)「えーっ! 何その反応! 私にもやってー!」


 アンジーはしょうがないなと聖美(きよみ)にも同じように手をかざして。


アンジー「(耳元で囁かれると……背中がゾクゾクってなって)不思議な気持ちにぃ……(なるんだよね……)」


 トドメにアンジーは聖美(きよみ)に口から息を吹きかけた。「ふー」と。聖美(きよみ)も聞いている時にぽやっとしていたが、アンジーの息が吹きかけられたところで「あっ」と耳を抑えて体をビクつかせ、アンジーの囁き圏から離れるのだった。


アンジー「……どうだった?」


 問いかけられた二人は両方ともぼんやりしながらアンジーを見ている。若干だが頬が赤い。


聖美(きよみ)「つ、強い……」


イリス「これが天使の囁き……」


アンジー「それとね、リップノイズって言って……」


 アンジーはイリスの耳元に再び口を持っていき、口内に少しだけ溜めた唾液と舌の接触で奏でる粘着質なクチュクチュ、チュパというウェットな音を聞かせる。所謂ディープなキス音というか、かなり艷やかな音である。


イリス「……っ」


 イリスは耳元で聞こえてくるアンジーのツバの音に肩を震わせて、目をきゅっと閉じている。興が乗ったアンジーは音のある吐息混じりにそれをして、聖美(きよみ)も少しドキドキしながらそれを見ていた。


アンジー「ってこんな感じかな。すっかりASMRになっちゃったけど……」


 ちなみにASMRとは耳が気持ちいい音という意味だ。


イリス「うぅっ……これはなかなか、照れるわね……」


聖美(きよみ)「ねぇ……これを五人少女ちゃんたちにやったらメロメロにして籠絡出来ないかな?」


イリス「天使の囁きの日だしね、なんらかの補正効果を発揮する可能性はあるわ」


アンジー「(どういう状況になるんだろう……)」


聖美(きよみ)「じゃあさ、私達も天使の囁きをマスターしようよ!」


イリス「そうね。今日という日に戦力がアンジーだけになるのは良くないわ。あたし達だって美少女なんだから、天使の囁きくらい使えるようにならないと」


聖美(きよみ)「じゃあアンジーちゃん! いや先生! 私達も天使の囁きしたいです!」


アンジー「え?」


 聖美(きよみ)はアンジーの右隣に。


イリス「よろしくね先生」


アンジー「えっ?」


 イリスはアンジーの左隣につくと、アンジーの肩に片手を添えて、もう片手をアンジーの耳元にかざして。


イリス「(こんな感じ……?)」


聖美(きよみ)「ん……ちゅぱ」


アンジー「ぁっはんっ!」


 美少女二人の囁きASMRはアンジーにクリティカルヒットした。


 今日は天使の囁きの日。ASMRとは何の関係もない。

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― 新着の感想 ―
[一言] アンジー凄いっ! そして、良かったね~。 だけど、五人少女には通用しない気が・・・
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