2020年1月31日 今日の日めくり何にしよう
2020年1月31日
留音「えー、それでは今日の日めくり会議始めまーす。気をつけ、礼」
日めくり……それは日々の会議によって念入りに記念日を吟味され、しっかりとした制作過程を経て世に出される企画なのである。決してその日の記念日を見て「うーん、これ面白くなりそう、じゃあこれで」と、ぽぽぽんと出しているわけではないのである。
しかも全員パリッとしたスーツを着用している。記念日という話題にとても真摯で真面目な作品として当然の事なのだ。
西香「それで、今日取り扱う記念日、出来事は何になさいます? いくつかあるようですが」
西香はツリ目三角メガネをくいっとしながら資料に目を通している。
真凛「あっ! 五つ子記念日! これ可愛くないですかぁっ?」
真凛は五つ子記念日の資料が書かれたページを掲げてはしゃぐように言った。
留音「おぉ、五つ子記念日。確かにそれはあたし達五人少女にとって一番しっくり来る感じがするな。問題はどういうネタにするのかだな」
衣玖「待って。五つ子は安直かもしれないわ。そもそも少し前に四つ子ネタをやってるし、ネタがかぶる恐れがある。どういうアプローチでいくつもり?」
留音はタイトなスカートから伸びる長い足を組み直し、衣玖は資料を並べている。
留音「確かに……そうか、あたしたちが五つ子になるというのは厳しいものがあるな。子供になって暴れるというような話はもうやっているし。成長記録は四つ子のときにやってるもんな……」
衣玖「姉妹設定も先日考えたわね」
西香「そういえば最近、五つ子の家庭教師をするようなアニメがやっていましたわね、内容はよく知りませんが」
衣玖「あれか……なるほど、ミニーズにお願いして私達の面倒を見てもらう、という路線が考えられるわね……しかし些か狙いすぎよ。設定にオリジナリティも無いわ」
真凛「五つ子はわたしたちにとって魅力的な題材なんだけどなぁ……」
留音「まぁでも衣玖の言う通りだ。もっと良いネタに落とし込めるまで、五つ子記念日は一端保留にしておこう。ところでだが、今日はこんな日もある。なんとみんな大好きFF7、オリジナル版の発売日だ。ここであたしや衣玖がFF7の魅力について大いに語り明かすというのはどうだろうか」
衣玖「それは良いわね、超ロング日めくりになってしまう可能性があるけど」
西香「そんなの駄目に決まってるでしょう。あれでしょう? 今度リメイクが出る作品の……というか、もう何度か取り上げてますわよね?」
真凛「私達はあんまりわかんないですし……それよりもこっちはどうですかっ? 愛妻の日ですよ!」
衣玖「FF7の日は不評ね……面白いのにな」
留音「まぁ仕方ない。で、愛妻の日って?」
真凛「愛妻と愛菜、二つあるみたいなんですけど、一つは妻を大事にしようという日で、もう一つは野菜への愛みたいです。わたしが野菜料理をするというのもいいですよねっ?」
西香「えー、わたくし野菜きらーい。じゃがいもとかならいいですけど」
真凛「はぁ……じゃあー……妻の日にしますかぁ? わたしたちが読者さんの奥さんという設定のシチュエーションからストーリーを展開するような」
衣玖「この前求婚の日をやったからね……タイミング的にはありっちゃありかしら。また二日くらいに分けて、私達との結婚生活というIFを楽しんでもらう、と」
留音「いいかもな。結構可愛くなりそうじゃないか?」
西香「えー、わたくしあの設定きらーい。だってわたくし40歳とかになってるんですもの。わたくし皆さんと違って年はとりませんので」
真凛「もう、さっきから文句ばっかり。じゃあ西香さんには何か良い記念日があるんですかぁっ」
西香「わたくしとっても良い記念日を見つけていますの。生命保険の日。これとってもすごいんですのよ。今日が初めての生命保険の受取者が出たそうでして。12万円が4000万円に化けた日だそうですわ。というわけでですね、皆さんに高額の生命保険をかけさせていただいて、それでわたくしの関わらないところで心臓発作など起こしていただきます。わたくしそれでいいですわ」
留音「いいですわじゃねぇよ」
真凛「あっ、今日は日本で最後の女囚斬首刑の執行日だそうです☆ ぴったりかもー♪」
西香「なぜわたくしを見ながら言うのです?」
衣玖「はいはい。どっちもしないわよ。健全な日めくりで人死なんて出すわけ無いでしょ」
留音「まぁそうだな。んじゃあどうっすかねぇ、今日の日めくり……」
こうした日々の真剣で綿密な会議、そして時には人死が出るほど壮絶な議論の末に日めくりは生まれるのである。(嘘)
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ミニーズ劇場
聖美「あの、二人とも、これ……」
イリス「ん? 何この花? もらっていいの?」
聖美「うん。一輪ずつだけど」
アンジー「かわいいー! でも突然どうしたの?」
聖美「うん、今日は愛妻の日なんだって。でも本当に制定されてるのは愛妻の日だから奥さんにチューリップを贈りましょうっていう、"チューリップを贈る日"なの。だから大事な二人にチューリップを贈るっていう日めくりならできるかなって」
イリス「そうなんだ。ありがとう。聖美は本当に日めくりに熱心ね」
アンジー「暴走しちゃうときもあるけど、記念日によるもんね。嬉しいよ聖美ちゃん、大事に飾るね」
送られたのはアンジーに黄色いチューリップ。チューリップという花には全て愛に関連した花言葉が添えられているのだが、ここでは愛ではなく、明るさや日光という意味を参照して送っている。
そしてイリスには紫のチューリップだ。花言葉は気高さ、王者という意味を参照している。
聖美「1月も終わるね……二人共、これからもよろしくねっ」
二人共『こちらこそ!』




