2020年1月28日 逸話の日
2020年1月28日
逸話の日……今日はあまり知られていない、彼女たち、五人少女とミニーズ、何人かの逸話を紹介しよう。
西香のゲームプレイについてからだ。
デモンズボーンソウルというハードコアなアクションRPGがある。並のプレイヤーではクリアも難しいゲームであるが、その話題性と衣玖や留音がやっているのを見て挑戦した事がある。
もちろん通常プレイでは西香一人ではクリアすることもちろん、最初のボスの突破も出来ないだろう。だが西香はそのタイトルの攻略サイトでアイテム無限増殖のバグ技を発見し、それを何のためらいもなく使ってプレイしていた。
西香「(難しいとか言ってましたけど簡単じゃありませんか。ほらザコ敵なんて一撃ですわよ)」
アイテムが無限に増殖していくそのバグ技によって、経験値とお金の要素をまとめて入手するアイテムを無限に増やしていく。西香のキャラのレベルは最序盤にも関わらず筋力、技量、体力、理力、持久力、すべての成長要素レベルが99、店売りアイテムも制覇状態である。
この状態だとゲームのシステム的に他のプレイヤーとマッチングしないのでオンラインでも完全にソロプレイとなっているのが西香らしいのだが。
とはいえそれなりに苦戦させられつつ、このゲームの持つ達成感を少しずつ覚えながらなんとかクリアしていた。
西香「(流石わたくしですわ……ゲームセンスも超一流……こうなると2周目で極めて衣玖さんや留音さんに自慢したくなりますわね……)」
そうして攻略サイトを覗いて知ったのは、多くのNPCが固有のアイテムを持っているということだった。
つまり全てのアイテムをコンプリートしたいのなら、今まで頼ってきた商人キャラ、手助けしてくれた戦士キャラ、プレイヤーを癒やす聖女、ちょっと小憎く、でも恨めないあのキャラ、全てを殺害してドロップアイテムを入手する必要があるのだ。
それらのアイテムは性能の隙間を埋めるものもあるし、終盤装備の下位互換のものもある。どれも大抵は固有のモノであり、殺さない限り絶対に手に入らないのだ。『殺してでもうばいとる』それを地で行くシステムが導入されていた。
だがNPCはセーブ&ロードでは復活しない。攻略サイトによると、最も効率が良いのは、クリア後の周回プレイの直前に全てのNPCを殺害し、アイテムを全部回収した上でその次の周回を始める事、とあった。そうすればそこは新しい世界であり、NPCには全員死んでいないことになる。
西香「(む……)」
それを読んだ西香は、そこでそのゲームをやめた。一応クリアしたということもあるし、別にコンプリートする必要は無いし、マルチエンディングにも興味はないと。NPCを殺害してまで集めるアイテムも無いと判断したようだ。
西香「(ま、流石ダークなファンタジーというところですわね。面白かったですわ)」
このゲームではザコ敵ではないNPCの殺害時、なにか一言喋って消えていく。この世の未練であったり、誰かを想う言葉であったり。ストーリー進行の中でやむを得ず敵対したNPCの殺害だけでも心に残ったりする。
西香「(でもやっぱりアイテムはお宝として入手するかお金で買えるほうがいいですわね)」
だから西香は、ゲームを通して生存させてきたNPCの断末魔を聞くよりも、中途半端な状態でもゲームを終わらせる方を選んだ。たとえ新たな周回を始めれば復活するNPCだとしても、殺さずにそのゲームを終わらせた。そんなこともあるようだ。
続いては留音。彼女はメッセージアプリを使って定期的に話す相手がいる。
留音『そんで衣玖がバカでさ、あいつったら変な装置使ってマラカスシャンシャンし始めてんの!』
??『楽しそうだねー。そういえばルー、新しい友だちも増えたんでしょ? ミニーズだっけ?』
留音『そうそう。変な連中だけど、まぁ悪い奴らではないかな、今の所!』
??『いいねー。今度近くに行ったら寄ろうかな。久しぶりに衣玖ちゃんにも会いたいし』
その人は小学校の時までほとんど一緒に住んでいたお姉さんだ。何のきっかけか、小さかった留音の相手をしてくれていた人で、今でも繋がりは切れていない。幼馴染の衣玖もその人のことはよく知っている。
留音『うん、あいつ変わってないよ。背全然伸びないし。ふてぶてしさだけはどんどん大きくなってってるけど』
??『ホント仲良いよね。じゃあ明日早いからもう寝るね』
留音『おつかれ、お姉ちゃん。またね』
??『(おやすみスタンプ)』
留音は本当の姉のように慕っており、その人のことをお姉ちゃんと呼んでいた。実は当時べったりで、昔はかなり甘えていたようだ。
姉といえばであるが。
アンジー「ただいまー」
シスターアンジー「おかえりアンジーちゃん!」
ミニーズのアンジーには実姉がいるのである。
アンジー「もう、家では本名でいいでしょ、姉ちゃん」
シスジー「だぁって~っ! アンジーちゃんの方が可愛いんだもーん! 今日も似合ってるねぇ似合ってるねぇ」
アンジー「ん~。まぁねー……ねぇ姉ちゃん、このコート、さっき見かけて買ってきたんだけど……これ、グレーのパンツに合わせたら可愛いよね?」
シスターブラコンジー「あー! 絶対かわいいー!! アンジーちゃんはもう!! センスも抜群でお姉ちゃん誇りまみれー!」
アンジー「ホコリまみれ?」
シスブラコンジー「ねぇねぇ、夕食前に早速試着してみてよ!」
アンジー「え~。ボクもうお風呂入りたいの。姉ちゃんが着てみてよ」
シスジー「えっ! いいの? 明日着てってもいい?」
アンジー「それはダメー。友達に見せるんだから。それが終わったらいいよ。」
シスジー「ぶーぶー。今度お姉ちゃんにもそのお友達紹介してよ~っ」
アンジー「今度ね。きっと混乱させちゃうし。はい、姉ちゃんこれね」
シスジー「おっけー☆ アンジーちゃんのお洋服も借りるね~! あ、お風呂場にお姉ちゃんのセーターあるから出たらそれ着なねー」
アンジー「はーい」
体型は大体同じ、いやちょっと違うか。でも顔はほぼ同じ。謎多きブラコン姉の指南によって男の娘としての命を吹き込まれたアンジー。今では姉を超えて可愛さを追求しているという。
これらが、彼女たちの知られざる逸話の一部である。いずれ機会があれば、他の子達の逸話も公開されるだろう。




