表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
205/414

2020年1月22日 ラブラブサンドの日 真凛と聖美

2020年1月22日


 疲れて家に帰るあなた。あなたはただいまと声をあげる前だが、既にあなたは人ではないあるものから出迎えを受けていた。


 それはとても香ばしいカレーの香り。喉の奥からじゅわっと唾液が溢れそうになるほど、香辛料があなたの鼻孔をつついてくる。


 あなたは家の扉を開け、より濃いスパイスの香りを味わう。ただいまと言ったあなたを出迎えたのは、この家に住んでいる真凛(まりん)ではなく、最近真凛(まりん)が友達になったらしい聖美(きよみ)という女の子だった。聖美(きよみ)は制服を着ていて、普通の女子高生が家にいるというのはなんだか奇妙な気分だ。


聖美(きよみ)「あっ、おかえりなさい! ご飯用意できてるよっ」


 聖美(きよみ)真凛(まりん)同様に朗らかで明るい子だ。どこか垢抜けていないというか、素朴な可愛さも持っているのだが、その見た目はあなたが見てきた女の子の中でも間違いなくトップ10、いやベスト8を争うほどの美少女だった。トップアイドルグループの看板と言われても信じてしまう。


 リビングに入ったあなたの前には当然カレーが置かれていた。だがカレーライスではない。大きな白いパン……これはナンだ。それにカレーは2種類と、野菜が付け合せに置いてある。


真凛(まりん)「さっ、ご飯にしましょー☆」


 ちょうど晩御飯に良い時間だ。あなたは上着を脱いで手洗いうがいをしっかり済ませ、食卓についた。


 どうやら今日は聖美(きよみ)も一緒にご飯を食べるようだ。あなたは彼女たちの向かいに座り「いただきます」と手を合わせた。


真凛(まりん)「冷めないうちにどうぞー♪」


 あなたはまずは野菜から食べて、それからナンをちぎる。2種類あるカレーの、まずは左側からつけて食べた。これはいつも真凛(まりん)が作るカレーだ。家庭的で、でもスパイスがしっかり使われてこだわりも感じる。食べ慣れた安心の味。


真凛(まりん)「どうですか?^^」


 あなたがカレーをつけたナンを頬張るのを見て、楽しそうに真凛(まりん)が尋ねる。あなたは当然美味しいよと答えた。真凛(まりん)が作った料理に外れはない。


 次にあなたは、もう一つ、右側のカレーにナンをつけた。色合いはあまり見ないのだが、こっちも美味しそうだ。真凛(まりん)のいつもつくるのが黒~焦げ茶系の色なのだが、こっちは少しオレンジがかっているといえば良いのか、色が明るく赤みがある。


 つけて食べたそれは、いつものよりも少し辛い。それに具材の大きさが細やかでもある。味はかなりスパイシーで、でも手を止める理由にはならないという、あなたにとっては完璧な塩梅の辛口カレーだった。


聖美(きよみ)「ど、どうかな……口に合うといいなーって……私がつくったんだ」


 聖美(きよみ)が気合を入れて作ったカレーのようだ。あなたは大きく頷きとても美味しいと伝えた。真凛(まりん)の味がみんなに美味しい味なら、これはあなたに刺さる味というところだ。


 きっと西香(さいか)は辛いと言うだろうし、衣玖(いく)はソースやチョコを足したがり、留音(るね)はもっと大きな肉を入れて欲しいなんて言いそうだ。それを回避する完璧なカレーが真凛(まりん)のものなのだが、これはあなたにとって完璧なカレーの一つだ。


 あなたはもう一度味を確かめるべく、聖美(きよみ)のカレーに再びナンをつけた。普段は食べない味。香辛料が鼻を突き抜けて、じんわりと体の内側からあなたを温めていく辛味がある。


 そして続けざまにもう一度聖美(きよみ)のカレーにナンをつけて食べた時、それを見ていた真凛(まりん)がムっとしたのを感じとった。


真凛(まりん)「もーう! もうもうもうー!」


 牛になった真凛(まりん)はあなたの隣座り、あなたからナンを奪い取ったのだ。そして適度な大きさにちぎると、それを自分の取り分のカレーにつけて「あーん!」とあなたにナンを突き出した。


 あなたは苦笑いで真凛(まりん)の突き出したナンを食べた。もちろんこっちもすごく美味しいのだが、あなたに食べさせた真凛(まりん)を見て、聖美(きよみ)も立ち上がる。


聖美(きよみ)「あっ! ず……私もー!」


 なんと聖美(きよみ)もあなたの隣に座り始めたではないか。ナンをちぎり、自分が使っていたカレーにナンをつけてあなたの口元に持っていく。


 あなたは気が付かなかったが、二人共自分のナンを食べた時、一口で食べ切れないでカレーを付け足して食べていたのだから、これに気づいて熟考したら非常に食べにくかっただろう。


 あなたは急いで真凛(まりん)のナンを食べると、次に聖美(きよみ)のナンを食べなければならなくなった。両手に花の状態ではあるが、落ち着いて食べられない。


聖美(きよみ)「美味しいよねっ? あなたの嗜好に合わせたのを作ったんだぁ」


真凛(まりん)「た、確かに美味しいですけど、わたしのも美味しいですよね? あなたが好きないつもの味で……ねっ?」


 どうやら真凛(まりん)は不安がっているようだ。もちろん真凛(まりん)のも好きだし、聖美(きよみ)のも美味しいのは間違いない。


真凛(まりん)「はいっ! つぎはこっちですよ!」


聖美(きよみ)「あぁっ真凛(まりん)ちゃんずるい! まだこっち残ってるのにー!」


 二人共こっちを向いてとあなたを引っ張り合うようにしてカレーとナンを口に押し付けてくる。


 あなたはなんとか二人のを交互に食べて完食した。元々どちらも完食できるほどの量ではあったし、当然するつもりだったのだが、これでは無駄に気をつかうというものである。


 じっとりとした汗は辛味からか、それとも二人の圧からか。とにかくあなたは食事を終えて、今度は全然食べるのが進んでいなかった二人がゆっくり食べ始める。


 しかし、二人共あなたのナンにガッツリと自分の持っていたカレーを塗るものだから、二人共自分のカレーがほとんど無くなっていたのだ。


 その反対にあなたの取皿のカレーはどちらもほとんど残っていた。だからあなたは仕方ないなと真凛(まりん)のナンを取ると、それを適度にちぎって自分のカレーにつけて渡そうとした。すると。


真凛(まりん)「はむっ」


 真凛(まりん)は受け取らず、口で直接食べたのだ。


聖美(きよみ)「あーっ! 私も!」


 聖美(きよみ)もあなたにナンを渡してきた。あなたはため息交じりに、同じことをしてあげた。


聖美(きよみ)「はーんむっ」


 聖美(きよみ)も幸せそうにあなたからナンを食べている。


真凛(まりん)「んーっ、美味しいですね~」


聖美(きよみ)「ね~っ」


 もしかしたら味はなんでもいいのかもしれない。あなたから食べさせてもらうことで二人共幸せそうにしている。もはや二人共自分で食べようという気になっておらず、あなたを左右から挟んで食べる毎に口を開けて食べさせてもらう事を待っていた。


 ようやく仕事が終わって食器をキッチンに持っていくと、真凛(まりん)がシンクでお皿を洗い始めた。あなたは手伝うために横に立ち、真凛(まりん)が洗った皿を拭いていく。その隣に聖美(きよみ)が立つと、あなたから受け取った皿を、横のお皿用の棚に片していった。


 たまに指が触れて、カレー美味しかったね、なんて誤魔化して。


 あなたを挟んで二人の美少女。ラブラブサンドでお腹いっぱい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 二人で来ましたか? 全身が蕩けて、キュン死しますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ