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2020年1月13日 子供になる日

2020年1月13日


 留音(るね)がジョギングを終えて帰ってきた時の事。家の玄関の前に小さな女の子が倒れていた。


留音(るね)「ぉっ、だ、大丈夫かっ?」


 留音(るね)は駆け寄って、その女の子を抱き起こす。どうやら眠っているのか返事はない。


 留音(るね)は急いで家に戻り、急いで真凛(まりん)衣玖(いく)とあの子を呼ぶ。西香(さいか)は呼ばない。


 部屋から出てきたのは衣玖(いく)とあの子だ。どうやら真凛(まりん)は出かけているらしい。


衣玖(いく)「女の子連れてきたの……?」


留音(るね)「すぐそこに落ちてた。気づかないんだけど大丈夫かな?」


衣玖(いく)「息はしてるけど……心配ね。見たところ何も持っていないし……」


 あの子も心配そうにして見守っている。留音(るね)衣玖(いく)は女の子のポケットなんかを探るのだが、素性がわかるものは何も持っていない。見た目からすれば小学校1年生というところだろうか。6歳程度の少女だ。


??「……んふふんっ……」


 体をまさぐられた少女は少し喜んだように笑った。


留音(るね)「あっ、気づいた。おーい、大丈夫か?」


 少女はゆっくり身を起こし、自分を見下ろす三人の顔を確認する。あの子が名前を訊ねた。女神の心配した表情に少女はびっくりしたようで、身を仰け反らせて答えようとした。


??「あっ私きよ……じゃなくて、あ、えっと……」


 名前を言いかけたように思えたが。


衣玖(いく)「どうしたの? 頭でも打った? 名前思い出せない?」


 少女は机に置いてあった漫画本を見て、咄嗟に思いついたかのようにこう名乗った。


??「あっ、地獄 魔夜……」


留音(るね)「地獄?」


衣玖(いく)「変わった名前ね。すごくロックでドクロが似合いそう。お姉さんのドクロのアクセあげよっか」


あの子「( ˊᵕˋ ٥)」


留音(るね)「で……魔夜ちゃんでいいのか? なんでうちの目の前に倒れてたんだ?」


地獄魔夜「それは……えっとね、あのね、みんななら助けてくれると思って……」


衣玖(いく)「助ける? 何かあったの? お姉さんに言ってみていいのよ?」


地獄「実はその……遊園地で……あっ、家族で遊園地で遊んでたら黒ずくめの連中の怪しげな取引現場を目撃したの。取引を見るのに夢中になっていた私たち家族は、背後から近づいてくるもうひとりの仲間に気付かなかったの……それで色々あって……でも毎日の日めくりで大活躍されてる皆さんだったら助けてくれると思ってここに来たのっ……」


留音(るね)「そんな……その年で大変だったな……大丈夫だ、あたしたちが守ってやるからな」


地獄「ありがとうお姉ちゃん!」


衣玖(いく)「察しがついたわ。黒ずくめの連中に生きているとバレたら周りの人間に危害が及ぶから、隠れながら黒ずくめを挙げたいってわけね」


地獄「さすが衣玖(いく)ちゃん! すごく察してくれる!」


留音(るね)「あそっか、日めくりファンの子なんだよな。名前知っててくれてるぞ、衣玖(いく)


衣玖(いく)「嬉しいわね。こんな少女にまで浸透してきているなんて。とにかくゆっくりしていってね地獄魔夜ちゃん。お姉さんになんでも言っていいから」


地獄「う、うん!」


留音(るね)「となりゃ……さっきまで外で横たわってたわけだし、汚れてるだろ。あたしも走ってきたばかりだし、よし、プロテイン飲んだら一緒にお風呂入ろっか」


地獄「え、ふええええええ!? いいのぉぉおおお!?」


衣玖(いく)「うちのお風呂ちょっと特殊なのよ。お姉さんが改良してるから。使い方わからないと思うからルーに教えてもらってね」


地獄「はぁはぁはぁはぁッ! うん!!」


 で、お風呂後。


留音(るね)衣玖(いく)ー、魔夜ちゃんの鼻血が止まらん。のぼせたかな?」


衣玖(いく)「おかしいわね。入る人が一番欲している温度に調節されるはずなんだけど……」


 そうしている間にも地獄の鼻からつつつと鼻血がたれていく。


留音(るね)「あぁっ、大丈夫か? まぁ疲れてるのかもな。せっかくお風呂入ったのに」


 じゃあ次はと、あの子が手を挙げる。疲れているだろうからと、しっかり顔を拭いて眠らせてあげるそうだ。


地獄「はぁっ、はぁっ、うん、寝るね、一回落ち着きたいから……」


 で、あの子の寝室。とても良い香りと整頓された室内。飾ってあるモノに統一性があまりないのは、きっとみんなからプレゼントされたものを大事に飾っているからだろう。しかし全て清潔感にあふれている。


地獄「ぜぇはぁぜぇはぁ……こ、ここで寝ていいのッ……?」


 あの子はニッコリ笑って頷き、魔夜を自分のベッドに横たわらせて、自分もその隣に寝転がる。それから魔夜の頭を撫で、大丈夫だよと元気づけながら優しく眠らせてあげた。


地獄「(死んじゃう……幸せすぎて死んじゃう……ごめんみんな、もう戻れないかも……)」


―――――――――


イリス「出来たわよ聖美(きよみ)、あなたに教えてもらった魔法薬」


 イリスが取り出したのはカプセル型の薬で910New1と書かれている。


聖美(きよみ)「これがあの高校生探偵が飲んだ薬を元に作り出した魔法薬……」


アンジー「子供になっちゃうなんて夢があるよねぇ。で、本当に聖美(きよみ)ちゃんが飲むの?」


聖美(きよみ)「うん! 私が潜入してしっかりみんなの情報を盗んでくるからね!」


アンジー「調査だよね」


イリス「全く、聖美(きよみ)が毒薬を作って欲しいなんていい出した時は驚いたわよ。今もあなたの熱意に驚かされるけどね。頼むわね」


―――――――――


 私は美少女高校生の聖美(きよみ)! 五人少女ミニーズとして活動中、ひょんなことから某有名探偵漫画の主人公が子供になった日を目撃した!


 その設定に夢中になっていた私は、背後から近づいてくる友人であるイリスちゃんに頼み、彼女の作った薬を飲み、目が覚めたら……。


 体が縮んでしまっていた!! 


 この状態が五人少女ちゃんたちにバレたら、五人少女ちゃんたちとの関係が気まずくなる。


 五人少女ちゃんのハイパー可愛いあの子に名前を聞かれた私は咄嗟に『地獄 魔夜』と名乗り、アンジーちゃんの助言で正体を隠すことにした私は、五人少女ちゃんたちの秘密を探るために、たまに殺人事件も起こる五人少女ちゃんたちの家に転がり込んだ。


 小さくなっても頭脳は同じ! 迷宮だらけの女子高生! 真実は、よくわかんない!


――――――――


魔夜「(はぁぁぁ……この子と添い寝出来るなんて幸せすぎて……抱きついてもばれないかな、怖がってるふりして……)」


 コンコンと部屋がノックされ、邪な聖美(きよみ)の考えが遮断された。


留音(るね)「ほら、あそこで寝てる子だよ」


 小声で留音(るね)聖美(きよみ)の事を誰かに教えているらしい。


真凛(まりん)「えっ? あれって聖美(きよみ)さんですよね?」


留音(るね)「どこがだ? だって小学生くらいだぞあの子」


真凛(まりん)「えぇっ? 聖美(きよみ)さんですよ? おーい、なんでそこで寝てるんですかー?」


魔夜「(そういえば昔、真凛(まりん)ちゃんは魂の色がどうとか言ってたっけ……わかるの?)」


真凛(まりん)「あーっ! まさかこの子と一緒に寝るためにそんな格好で潜り込んだんですかぁっ!?」


聖美(きよみ)「……さらば!」


 聖美(きよみ)の情報レポート

留音(るね)ちゃんの裸はすごい、女でも憧れしか抱けない

衣玖(いく)ちゃんは自分より身長がちょっと低い子にめちゃくちゃお姉さんぶろうとする

・あの子の部屋の位置、内部を確認。本人の包容力は溶けそうになる

・最近マンガ福袋を買ったらしく、机に『地獄のミ○ワ』の漫画と『魔夜○央』の漫画などが置いてあった

真凛(まりん)ちゃんを騙すには何かトリックが必要かもしれない

西香(さいか)ちゃんは見えなかった。お葬式の準備はまだの模様

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― 新着の感想 ―
[一言]  衣玖お姉さん、そういうところがあったのか……。メモメモ。
[一言] なるほど、真凛ちゃんを留守にしたのはそういう訳で。 聖美ちゃん、満喫したね。 それにしても偽名が「地獄魔夜」って(爆)。
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