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2020年1月4日 解放者ルネ ~仕事初めからの解放~

2020年1月4日


衣玖(いく)「参ったわ。逆にない。逆にないのよ年始。記念日」


西香(さいか)「はぁ」


衣玖(いく)「3ヶ日はまぁ共通認識があるでしょ、日めくりもまぁ出来るわ。でも見なさい4日目を。仕事初め程度だとかそういうのだけ……もっと記念日が分散していたらいいのに」


西香(さいか)「わたくしの信者たちも仕事初めだー、なんて言ってますわね。わたくしのためにしっかり働いてほしいものですが」


真凛(まりん)「お正月休みは終わるの早いですもんね~。初売りセールでお得なのをいっぱい買えて嬉しかったですけどぉ^^」


ルネ「いいだろうッ、お前たちの4日目への想い……しかと聞き入れた!」


 黒の外套を室内でたなびかせ……彼女は現れた。その名は解放者、ルネ。


衣玖(いく)「あ! あなたはルネ! 解放者ルネ!」


西香(さいか)「……そういうテンションで出迎える方でしたっけ? わたくしもう覚えてませんわ」


ルネ「届いている。数々の人の願いが。解放を願う気持ちが。だからあたしはそれに応えるため、今日ここに来たんだ」


真凛(まりん)「はぁ……願っているとはどういうことでしょう?」


ルネ「幸い今日は土曜日。だがこの『仕事始め』を迎えたことで、人は次に来る出勤日に悲しみ、絶望をいだき始めている。そうだ……今日あたしが解放するのはそう……記念日じゃない、人だ。仕事を始める人、仕事がもうじき始まる人……その人達をこの『仕事初め』という日から解放する」


衣玖(いく)「そんな事が可能なの……!?」


西香(さいか)衣玖(いく)さんはどうしてこんなにノリノリなんですの?」


ルネ「あたしはこれまで、数々の記念日を解放してきた。記念日の過労死を防ぐために。しかし考えてみてくれ。それが本当は、一体なんのためだったのかを……」


真凛(まりん)「お水の記念日が多い日には全部飲んでお腹タプタプにならないようにって言ってましたよね^^」


 衣玖(いく)は二秒ほど考え、そして息を呑んだ。


衣玖(いく)「……ハぁ! そうか……あなたの解放者としての活動を、私達は記念日に対してやっていると思っていた……でも今の真凛(まりん)の言葉で思い出したわ。あなたの解放者としての行動は、全て人間のためだった……?」


西香(さいか)「語弊がありますわ。『私達は思っていた』で巻き込まないでほしいですわね」


ルネ「そうだ。記念日や出来事はなるべくなら人を笑顔にすべきだ。しかし……今日この日、この仕事初めという日は違う。多くの人がこの日を迎えることを嫌がっている。だからあたしは解放者として、記念日ではなく、この記念日を迎える人間を解放するんだ」


衣玖(いく)「しかしルネ、解放者ルネ……どうやって? あなたは記念日へのカウンターとして新たな記念日の制定をするという、一見矛盾した方法でこれに対処してきた……でも今回は無理よっ! 仕事初めを消すなんて事出来るわけ……っ」


 ルネはみんなに背を向けると外套をなびかせて、そして口元を少し覆いながら決意するように言った。


ルネ「出来るさ。願えばなんだって出来る。見てろみんな。あたしがこの"仕事初め"を潰す。そして今日という日を嫌がる人たちのために、仕事を始めないでいいようにする」


衣玖(いく)「解放者……あなたは一体……」


ルネ「あたしは解放する者。待ってろよみんな、あたしが仕事初めをなくして、土日が終わっても好きなだけ寝てお正月特番を楽しめるようにしてやる……正月気分を無くす必要はないんだ!!」


西香(さいか)「それは困りますわね。わたくしの信者たちにはしっかり働いていただかないと」


真凛(まりん)「スーパーとか閉まっちゃうと困りますし……」


 ルネは天井を突き破り、舞空術で飛び立った。そして数秒後。


ルネ「やったぞ! みんなやったんだ! あたしは仕事初めを無くすことに成功した!」


真凛(まりん)「わ~早いな~」


衣玖(いく)「ほ、本当なの!? みんなを仕事初めから解放したってことっ?」


ルネ「あぁ……解放した。もう仕事初めは来ない。だからみんな、ずっと正月気分で良いんだ。終わらない正月を、あたしは作り出したんだ」


西香(さいか)「はぁ……それは困りましたわね。しかし随分あっさりと。嘘ついてません?」


ルネ「ふっ……あたしがこれまでの解放者業務において失敗したことがあったか?」


真凛(まりん)「それはわかりませんけどぉ、役に立ったことはなかった気がします^^」


ルネ「解放したさ。今日からみんなずっとお休みだ。なんたって仕事初めは来ないんだから。安心しろ、絶対だし嘘はつかない。本当にマジで1200%解放した。もう誰にも仕事初めは来ない。信じていい。絶対だから」


 こうして世界は平和になった。これを読むあなたももう仕事をしないで良いのだ。解放者ルネのおかげで仕事初めから解放されたのだから。


―――――――――


聖美(きよみ)「今日は石の日なんだけど……五人少女ちゃんたちはどんな日めくりをするんだろぉ……」


イリス「石の日ね。あたしの石化魔法(ペトリファイ)が強化されそう。(あ、アイツら石にする……?)」


アンジー「社会人の人とかは仕事初めになるのかなぁ。ボクたちはまだ休みだけど、大変だよねぇ」


聖美(きよみ)「うちのパパはまだもう少し休みだよ」


イリス「あたしのパパは年末も年始もお正月休みなかったのよ。その代わり来週からちょっと長めにお休みなんだって」


アンジー「そっかぁ。でも今ってあんまり年末年始関係ないって人多そうな感じっていうか、みんな頑張るよね~」


聖美(きよみ)「五人少女ちゃんたち、きっとみんな『お仕事大変だけど、始まる人頑張ってね~っ』って可愛く応援してるよね……」


アンジー「あっ、それいいー。可愛さアピール出来るねぇ。ボクたちもやっとこっか?」


聖美(きよみ)「そうだねっ、みんなに負けないように……っ」


イリス「当然よね。可愛さでもあいつらに勝つ。それがあたし達ミニーズってものなんだから」


アンジー「それじゃあ……今日からじゃないかもしれないけど……お仕事始まる人、大変だと思うけどボクたち応援してるからねっ♡」


聖美(きよみ)「疲れた日も私達や五人少女ちゃんたちは毎日ここにいるから会いに来てねーっ」


イリス「何を言えば……まぁ、あんまり頑張りすぎないようにね。あたしはそういうのよく知らないけど」


アンジー「疲れたらボクらに会いに来てほしいな♡」


聖美(きよみ)「……可愛く出来たかな?」


イリス「まぁいんじゃない?」


 解放されたということは自由になったということ。つまり行っても行かなくてもいいのである。その辺は自己責任なのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 石の日はすっかりどっかに行きましたが、 五人少女とミニーズの優しさが炸裂ですね。
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