2019年12月24日(後編) 【ショート】妹たちとのクリスマスのあと
2019年12月24日
あなたと妹たちとのクリスマスが終わった頃、家に呼び鈴の音が響く。手の空いていたあなたは玄関から出て様子を窺うと、そこには見知った三つの姿があった。
アンジー「やっほやっほー」
イリス「……こんばんは」
聖美「こ、こんばんは」
ミニーズの三人だ。イリスも聖美もコート、マフラーと暖かそうな格好をしているのだが、アンジーだけはサンタクロースのようなコスプレをしている。しかもミニスカートでえらく寒そうな格好をしているが、本人を見るにあまり寒くは無さそうだ。足を覆う純白のハイソックスなんかで工夫して地肌を晒してはいなかった。
アンジー「えへへ、可愛いかなぁっ? どうどう?♡」
あなたの視線に気付いたアンジーがいたずらな表情を向けている。寒そうだと単純な感想を言うと「あっ、照れてるなぁー?」とニヤニヤ勝ち誇ったように言った。これだけ華奢で可愛いとこの子が男だという認識も飛ぶというものだ。
実は今日、あなたはこの三人からクリスマスパーティに誘われていたのだ。だが妹達とのパーティを優先し断っていた。だから今ここにいる彼女たちには少し驚いている。どうしたのか訊ねたあなたにイリスが言った。
イリス「別に。たまたま近くに来たから寄っただけよ。ほら、聖美」
聖美「あっ、あのこれ……私達からのクリスマスプレゼントで……」
聖美はおずおずとあなたに袋を手渡した。中に何が入っているかはわからないが、どうやら三人が選んだくれたもののようだ。しかしわざわざ悪いなという気持ちになる。あなたはお返しを用意していないのだから。
アンジー「別に気にすることないよぉ。ポッと出てきたボク達を受け入れてくれただけでも、ねぇ?」
聖美「そうだね。でも来年は私達も五人少女ちゃんたちのパーティにお呼ばれしたいなぁー」
イリス「違うでしょ、聖美。あいつらがこっちにお願いしてくる立場にしなきゃ」
あなたはこのミニーズと妹たちが対立のような状況にあることを知っている。同時になんだかんだで息は合いそうな気はしているのだが、今はまだその領域ではない。それでも一応、上がっていくか訊ねた。
イリス「別にいいわ。いつかあんたが自発的にこっちに来るように仕向けてやるんだからねっ」
聖美「……そうだね、今日は帰ろっか」
アンジー「ボクはこの格好見せられたから満足♡」
イリス「じゃ、今日は帰るわ」
アンジー「みんなにもよろしくね~っ☆」
聖美「それじゃあまたっ」
イリスはただあなたが妹たちを選んだという結果をただ受け入れるだけのクールな表情でリベンジを思いながら立ち去っていく。凛とした背中が格好良いと思えたが、マフラーの下から伸びる金髪のツインテールが揺れているのが可愛らしいとも思えた。
後ろ姿を見れば聖美も普通の女子高生だし、ミニスカサンタ(男)も寒さを紛らわすようになのか無駄にぴょんぴょん跳ねながら遠ざかっていく。
あなたは彼女たちにも心の中でエールを送った後、最後に少し大きな声で「メリークリスマス!」と言うと、振り返った三人は揃ってあなたに手を振って応える。イリスはスッと軽めに。聖美はばいばいと可愛く、アンジーは元気に大きく両手を振って帰っていくのだった。