2019年12月13日 大掃除の日 その後
2019年12月13日
衣玖「あー終わった……」
大魔神のような大真凛の監視下、それぞれみんなは部屋の掃除を終えた。留音は箱の奥深くから昔気に入って使っていたグリップ力を鍛えるためのボールが出てきたり、何故か同じトレーニング用品が2つ出てきたりしたのを綺麗にして、一つは衣玖に使えとプレゼントをした。衣玖はとりあえず受け取ったものの部屋の遠くに既に放り投げている。
そんな衣玖だったが、実は結構気合を入れて掃除に励んでいた。もちろん魔神の監視があったからというのもあるが、少し物を動かしたら配線が埃塗れでそれらを掃除したり、一つ不調になっていたモニターをいつでも取替できるように手前に配置したりとしているうちにテーブルを動かしたほうが効率的だという事に気付き、小さな模様替えも始めてしまったのである。
スペースを作るために窓から魔神に多少の物を預けられるのが良かった。
基本的にはテーブルの一をずらし、配線を組み替えただけであるのだが、朝から6時間をかけてその作業を終えたところである。途中で久しぶりの栄養ドリンクのレッドエナジーを飲んでなんとか形にした。
魔神「わぁっ☆すごくよくなりましたねぇ~!お部屋もすっきりしましたし、ゴミもたくさん片付きましたし、埃もいっぱい取れました!ほわわ~^ワ^」
気持ち、部屋が広くなったような気がしますね、なんて魔神も大満足といったところである。衣玖の部屋からゴミ袋2つ分の不要物を処分出来た。
衣玖「(なんだかんだで満足したわね……あとは小物類を元に戻してと)」
配置の為に外していたマウスやキーボードなんかを元に戻していき、やっとその作業も終えた頃、真凛が部屋を尋ねてくる。
真凛「……あれ……」
衣玖「あら真凛。大魔神化は終わったの?」
真凛「なんですかこれは……」
ちなみに真凛の巨大化だが、掃除も終わったし晩御飯の準備をしなきゃと頭が切り替わった時点で解けたようである。本人は解けたことに気付いていなかったが、それよりも今目の前の状況におびえている。
真凛「あんなに綺麗に片付けたのに……どうして……」
衣玖「あぁ、良いでしょ?より機能的な部屋になったわ。まぁ、今までとちょっと勝手が変わったところはあるけど、でももう殆ど使わなくなったPS3とサブモニターはこっちに出せたし、ちょっと整理出来たわね」
真凛「もうぐっちゃぐっちゃになってるじゃないですかぁ!」
衣玖「どこが?」
既に配線と小物地獄である。それもそのハズ、PC周りには通常マウス、ゲーミングマウス(+マウスパッド)、トラックボールマウス、キーボードも何故か2つあるし、整理していたら出てきたUSBケーブルを使えるかもしれないとPCの周りに投げ捨て、あとは奥深くから出てきたゲームパッドなんかも再び起き直し、衣玖の趣味地帯はより多くの物が再配置されている。ケーブルなどももうゴタゴタに絡み合ってどれが何に繋がっているのかわからない。
一言で言ってしまえば、致命的に綺麗に出来ていなかった。
それに衣玖は口寂しさに噛もうとあけた飴の包み紙をキーボードの上にぽいと投げてしまう。
真凛「なんでその辺に投げ捨てちゃうんですか?! 綺麗にしたのに!」
衣玖「えっ? あ、ゴミ箱もまだ置いてないわね」
何故投げるのかという質問に対してゴミ箱を置いてないことに気づくという流れが真凛にはわからない。
真凛「せっかく大掃除をしたのに……ほんの数分で状況がほとんど元に戻ってる……」
衣玖「そうでもないのよ? より洗練されたっていうか。ほら、だって部屋の中心から全て同じ間隔でアクセス出来るし」
真凛は呆然と電気周りの配線の壮絶さを見ているのだが、配線を巻き取って綺麗に収納できるグッズをいくつ買えばこれが綺麗になるのか、最早わからないほどごちゃごちゃになっている。
衣玖「まぁたまには良いわね、掃除するのも。使ってなかったゲームパッドを発掘できたし、でも失敗したわ、今右のお尻のあたりが痛くって……明日筋肉痛かも。ルーにプロテインもらって飲んどこっと……」
衣玖はそう言うと、はーご飯ご飯なんて言って部屋の明かりを消して出ていった。真凛もまぁ、衣玖が掃除をしたこと、それに満足している事に意義があると自分を言い聞かせることにした。