2019年12月12日 漢字の日 五人少女の今年の漢字
2019年12月12日
衣玖「さて……今日はいいじいちじの日。今年の漢字が発表される日、ってわけで……みんなには今年の漢字を考えてきてもらったんだけど……ちゃんと用意してきた?」
留音「おうよ」
五人の少女たちはみんなでスケッチブックを抱えている。
衣玖「じゃあ順番に発表して行きましょうか。それで誰のが一番しっくり来たか決めましょう」
真凛「はーい☆」
西香「誰から行きます?」
真凛「じゃあわたしから行きますよぉ~っ! 今年の漢字は~……楽しいの『楽』!いろんな事出来て楽しかったからです♪」
真凛はスケッチブックのページを捲り可愛い文字でカラフルに書かれた『楽』を提示する。ニコニコした小動物やハート、音符マークが周りに描かれている。
留音「無難なとこ行ったな。まぁわかるし、あたしもそういう感じなんだけど……はいこれ『喜』。まさかって事が何回もあったし……めっちゃ嬉しかったからなぁー」
留音は黒いマジックで書かれた『喜』を出した。!マークが添えられている。
真凛「あ! 絵やお人形さんを頂いた話ですかぁー! それわたしもそうですよぉー! そういうのも含めて楽しかったですし☆」
留音「そうそ。それにまぁ、みんなでこうしてそこそこ日めくり続いてるのも嬉しい話だし……喜びかなー、あたしは」
衣玖「うん、確かにね。そしてみんなしっかり決めてるわね。西香は?」
西香「わたくしは『金』……という文字を用意してきたのですが……ちょっと留音さんの話聞いてたら文字を変更したくなりました。というわけで……キュキュっと……はい。『求』ですわ」
一つ前のページにあった金文字の『金』を捲り、新たに極太マジックで書かれた『求』。脇には(アートやお金、名声など)と小さく書かれている。そしてその下に(もしくは『更』)とある。
真凛「ファンアートの話ですかぁ……?」
留音「更に求めるになっちゃってるけど」
西香「わたくしやこの子のように類稀なる美少女を形作ろうというのはとても恐れ多いという気持ちはわかりますが、わたくしは常にチャレンジャーを求めているのです。それにこの字であればお金も名声も含みますからね。そう思えばやはり『求』こそわたくしの今年の漢字ですわね」
衣玖「なるほど。で、あなたは? 漢字決まった?」
適当に西香の話しを切り上げた衣玖に話を振られたあの子はおずおずとスケッチブックを掲げた。そこには『幸』とあった。
それはあの子の直情が込められている。みんなといられて幸せ。みんなと新しい事ができて幸せ。みんなが元気で楽しくて喜んでいるのを見るのが幸せ。だから幸せいっぱいでこの字にしたよというようなことを話した。
その言葉をみんなは聴き入って、瞳をキラキラさせてしっかりと頷いている。
留音「お前がそういう風に言ってくれると……なんだかあたしたちまで幸せになっちゃうよ」
西香「ぐす、そうですわね。わたくしの幸せはあなたの幸せ……なんて幸せなことなんでしょう」
真凛「幸せのループですね。まさに愛の形です……」
衣玖「もう決まっちゃったかもしれないけど……じゃあ最後に私も発表するわね」
留音「お前の漢字はなんかちょっと予想出来るんだよなー……」
衣玖「あらそう? じゃあ出すけど……はい『一』」
スケッチブックに達筆さを微塵も感じさせない横一文字。留音が読めるように(いち)とふりがなも振られている。
真凛「えっ? 一ですか?」
留音「あれっ。もっとめちゃんこ難しい漢字が出てくると思ったんだけど。『うつ』みたいな」
留音にとって最も難しい漢字が『鬱』なのである。なお本人は書けない。
衣玖「まぁ最初は考えたのよ。セイとかね」
真凛「セイ?」
衣玖「表すのが難しいんだけど……『
興興
興興
』って文字。興って文字4つ」
ちなみに線が流れすぎていてあまり上手には見えない字だった。
留音「おえっ。なんだそれ……」
西香「どういう意味ですの?」
衣玖「しっかり決められた意味は無いのよね。でも文字が良いでしょ。興には面白い、楽しいって意味があるし、はじまるって意味もある。それが4つ合わさって、私、ルー、真凛にこの子。まるで私達を表しているようで。意味が決められてない漢字というだけあって新たに私達の漢字という意味を当てはめようとも思ったんだけどね」
真凛「良いですね~」
西香「良くないですわよ! わたくしが入ってないじゃありませんの!」
留音「普通に素敵じゃん、その漢字……」
衣玖「そうなんだけどね。でもそういうのにいかないで『一』にして裏切っていくのが私らしいかなって」
真凛「えーっ。素敵なのに、セイ……意外性のために捨てちゃうんですかぁー?」
西香「その漢字が『
興 興
興
興 興
』でしたらまさにわたくしとあなた達を表していて素敵でしたけどね。なお上の2つがわたくしとこの子を示していますわよ」
衣玖「まっ、『幸』でいいんじゃない。まいにちニコニコは幸せな事だし」
真凛「わたしたちを見てくれた人も幸せになってくれたらいいですよね☆」
なお、今年の五人少女の漢字は『幸』が四票、『一』が一票であったようだ。あの子は『一』を推した。
『一』
はじまり。ひとまとまり。最上であること。
―――――――――
と、そんな五人少女の家の窓から覗く影が三つ。
イリス「本家の連中は漢字で勝負しているみたいね……」
聖美「あ、今年の漢字かな……? 毎年この時期になるとやってるんだぁ。今年はどういう一年でしたかっていうのを漢字で表すの」
イリス「あら。じゃあ勝負をしてるわけじゃないのね。ちっ、仲間割れでもすれば付け入るチャンスが生まれると思ったのに。で、例えばどういう感じなの?」
アンジー「うーん。例えばボク達なら『始』とかじゃないかな?『日』とか?」
イリス「始まったばかりだから? まぁ妥当なところか……でもあたしなら『勝利』ね」
聖美「一文字……ま、いっか……イリスちゃんは勝ちたいんだもんね」
イリス「当然でしょ。今まで全ての魔法勝負に勝ってきたあたしはあいつらに負けるなんて許されないの。勝ちに行くって気持ちを込めてね」
聖美「私は……『友』とかかな……新しい友達が出来たし……(五人少女のみんなとも友達になれたら……)」
アンジー「あはっ♡みんな友達になれたもんね♡」
イリス「あら、いいわね。あたしもこっちの世界ですぐに友達が出来てホッとしたし、それにしましょ」
アンジー「(漢字考えてたら『嫐』が出てきちゃった)」