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2019年12月9日 地球感謝の日

2019年12月9日


イリス「くっくっく、今日はろくな記念日がない日だわ。本家のアイツらはあまりのネタのなさにテンションを下げに下げ、ネタが見つからないと疲れ果てているに違いない……攻め落とすなら今が好機よ! というわけで聖美(きよみ)! アンジー! 今日で奴らを下す!! 行くわよ!」


アンジー「おーっ!」


聖美(きよみ)「好機なのかな……?」


イリス「そりゃ好機よ! しっかりアイツらに名前を覚えてもらって、正々堂々勝負してまいったと言わせる!そしてあたしたちが本家として新たに日めくりを担当するのよ!」


 というわけでミニーズは本家の住む家にやってきた。


アンジー「たのもー! たのもー!」


イリス「看板を頂きに来たわよ!! 五人少女共!!」


聖美(きよみ)「道場破りだね」


 家の前で騒がしくしていたミニーズを窓の向こうから確認した衣玖(いく)が玄関の扉を開けた。


衣玖(いく)「何?」


イリス「あ! お前は衣玖(いく)! あたしたちの名前をいち早く覚えた天才の! お前に聞きたいことがある!」


衣玖(いく)「とりあえず上がる? 寒い、私が」


聖美(きよみ)「えぇっ!? いいのぉ?! あの五人少女の家に……!?」


アンジー「やったーっ、招待された~」


イリス「……これは思わぬ好機ね」


 そうして家に入り込んだミニーズ。五人少女たちは厚手の羽織を着てリビングに置いてある大きめのこたつに入って寝転がったりゲームをしたりしている。


衣玖(いく)「ミニーズが訪ねてきたから招待した」


留音(るね)「んー……お前の友達?」


西香(さいか)「あら。わたくしのフェルトで出来たファンアートを見に来た一般の方かしら」


衣玖(いく)「いや、数日前に来たでしょ。新メンバーオーディション。その頃からミニーズとして活動してる三人よ」


真凛(まりん)「あっ! 先日もお会いしましたねぇ~。変顔の人~☆」


聖美(きよみ)「あ、どど、どうも真凛(まりん)ちゃん……」


イリス「……み、見つけたわよ留音(るね)! 今日こそ決着をつける! あたしの魔法であんたの格闘術を完全に破って……」


留音(るね)「あ? なんだか知らんけど……そんなミニのスカートで寒くないのか? こたつ入ったら?」


イリス「……いいでしょう。こたつには入るわ。でも勘違いしないで、あんたの間合いに自然に入る口実よ」


西香(さいか)「それよりもほら、あそこに置いてあるお人形を見て何か一言ありませんの?」


聖美(きよみ)「か、可愛いですねっ」


西香(さいか)「もっと何かあるでしょう? わたくしのファンアートですわよ? 恐れ慄き讃えなさいな」


真凛(まりん)「あっ、お客さんにはお茶出さないと……」


 真凛(まりん)はキッチンに向かい、手際よく温かいお茶を用意した。あの子もキッチンで手伝いをして、真凛(まりん)はそれぞれにお茶を。あの子はお菓子をテーブルに出した。


真凛(まりん)「これどうぞぉ」


聖美(きよみ)「あっ! ありがとうございます、お、お構いしてもらっちゃって……」


真凛(まりん)「飲んでる時に変顔しないでくださブフッ……すいません思い出しブッフ……」


聖美(きよみ)「いただきま~す!」


 あの子もアンジーの近くにお菓子を置き、遠慮しないで食べてね、とニッコリと言った。アンジーはもじもじしながら顔を赤く染めて、ひょこひょこ頭を小さく動かして頷いている。


イリス「ちょっとふたりとも! 今日はこいつらを倒しに来たのよ! いくらこたつが温くて幸せでも本懐を遂げるまで気を抜かないでよ!」


西香(さいか)「本懐というのはわたくしのフェルトファンアートを見に来たって話ですの?」


留音(るね)「倒すとかどうとかさぁ。今日はそんなのいいじゃん。今日がなんの日だか知ってっか?」


西香(さいか)「昨日だったらわたくしがファンアートをもらった日ですけどね」


イリス「知ってるわよ。ろくな記念日の無いあんたたち日めくり大使のテンションをだだ下がり状態にする日よ!」


西香(さいか)「昨日だったらわたくしがファンアートをもらってテンション爆上がりになった日ですけどね」


真凛(まりん)「今日はぁ、地球感謝の日ですよぉ」


聖美(きよみ)「地球感謝の日……?」


衣玖(いく)「そうよ。青木稚華って人が制定したそうなんだけど、ほぼ謎の人なのよ。ネットで検索しても『この人誰?』って言ってるサイトしか出てこないの」


アンジー「へぇー……それはなんだか奇妙な日だね~」


留音(るね)「まぁそれはそれとしてさ、地球感謝の日ってのは良い日だと思うんだ。こうしてこたつでぬくぬく出来るのも地球あってこそってもんでさぁ」


西香(さいか)「あそこにあるわたくしのファンアートがあるのもそもそも地球あってこそですからね」


イリス「(確かに……っていうかさっきからこの西香(さいか)ってのは何を言ってるの?スルーしてるけど、ウ……)」


衣玖(いく)「私達の感じる全ての瞬間は何もかも地球誕生にこそ起因してるからね。だからまぁ、ちっぽけなりに感謝してだらけてるのよ」


聖美(きよみ)「そうなんだぁ……私達も感謝しないとね。五人少女のみんなにもだけど、イリスちゃんやアンジーちゃんに会えたのもすごく嬉しい出来事だし……」


アンジー「いやぁ、照れちゃうよぉ。でもボクもそうだよっ、こんなに可愛く生まれたボクを生かしてくれてる地球さんに感謝しなきゃ☆」


西香(さいか)「ファンアートをもらうともっと感謝する相手が増えるのですよ。これ以上増えちゃったらもう大変、大変ですわよほんと。あなたたち一般の方にはわからないでしょうけど」


イリス「……仕方ないわ。今日は地球感謝の日に免じてあんた達との敵対を保留にしておいてあげる。その代わり、今日はあたし達の名前を覚えてもらうわよ!」


留音(るね)「魔法使いにボクっ娘に変顔ちゃんね……覚えてる覚えてる」


聖美(きよみ)聖美(きよみ)です……」


真凛(まりん)「(地球がなかったらみんなと会えなかったのかー)」


 漠然としすぎているけど、たしかに感謝の気持ちは持っていたくなる、そんな地球感謝の日。でも制定者の謎は尽きないのである。

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― 新着の感想 ―
[一言]  個人的には常識人キャラが意外と狙い目か。変顔ちゃん。  それにしても、謎の記念日制定者。イザヤ・ベンダサンって謎のベストセラー作家がいましたが、そういうことなんでしょうか。それとも、本当に…
[一言] 何か敵味方がズルズルと仲良くなっていく黄金パターンかな? イリスが「こんなんじゃ駄目」と言いながら、流されていくような(笑)
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