2019年12月8日【FA(フェルトアート)特別回】夢のような気分
2019年12月8日
7日の夜のこと。
真凛「西香さん西香さん!!やりましたよ!!ついに……ついに西香さんにもファンアートが届きましたよー!!!」
西香「まぁっ。そうなんですの?あらあらっ、皆さんと同じフェルトアート……お人形さんではありませんの。ふふ、可愛いですわ。わたくしとっても嬉しいです」
留音「……えっ、あれ? 何こいつのこのテンション……ってあ! あたしのもあるじゃねぇか!!! いやった!!! ひゃああああっほぅ!」
衣玖「もっと狂喜乱舞するかと思ったけど……ルーも良かったわね。これでジオラマ遊びが捗るわ」
西香「ふふふ、やりましたわね、留音さん。わたくしも嬉しいですわ。では皆さんで遊ぶといたしましょう。ほら、ふふ、わたくしはこの可愛らしいお洋服を来て……ふふ、皆さんと一緒ですわ……これで皆さんと一緒……わたくしもフェルト人形をもらった……」
留音「えっ、なに? まじで何? 怖いんだけど……西香どうした……?」
真凛「なんか妙にポワポワしてますね……目の焦点が定まってませんよ……」
衣玖「ほんとだ、どこも見てない目で自分の人形見てる……」
西香「ふふ……ふふふ……ファンアートをもらうって……こういう気持ちになるんですのね……ふっ……こんな気持を皆さん味わって……わたくしだけもらえないで……こんな辛い夢を見せてきて……わたくしの脳内もどうなっているのか……いや違う……? まさか衣玖さんの新しい研究では……? わたくしにこんな悪夢を……わたくしがお人形をもらえないからってこんな最もらしいお人形さんをもらった世界という悪夢を見せつけて……酷すぎますわ……」
留音「なんかブツブツ言ってんぞあいつ……」
衣玖「もしかしてだけど、今が現実だと認識してない?」
真凛「完全に夢か何かだと思っちゃってるみたいですねぇ。……今までひたすらそういうの、一人だけなかったから……一人だけ」
西香「目が覚めたらきっと……このお人形さんも消えてしまっているのでしょうね……あぁ……ひどい……酷すぎます……夢の中で……せっかくもらえたのに……この夢が覚めたらわたくしはどうなってしまうのでしょう……どうか起きたら忘れていますように。どうか、どうか」
衣玖「個人的には面白いなって見てられるんだけど、ちょっと不憫に思えてきたわね」
留音「誰か教えてあげたら?」
真凛「それはそれで後々面倒になる気がして……絶対調子乗りますよ? なにかいい方法はないですかねぇ」
衣玖「じゃあ今度は私達のほうが見えてないふりをするということで」
留音「どゆこと?」
それから数時間後。一度眠った西香が目を覚まし、みんなのいるリビングに起きてきた。そこには四体の人形が飾られている。
西香「あら……? あらっ? こ、これは夢で見たわたくしのお人形さん……!? こ、これは現実!? みなさん!見て下さい!! わたくしにもフェルトアートが届いています! 届いていますわ!!!」
衣玖「は? なんのこと?」
西香「これです! 見て下さい! これですわ! わたくしのお人形さん! 届いていたんですの! 昨日!! 夢じゃなかったんですわ……!」
真凛「えー。西香さん、何をおかしなことを言っているんですかぁ?そこにはわたしと衣玖さんと留音さんの人形しかありませんよぉ?」
西香「なっ、何をおっしゃいますか! これを見て下さい! このお目々キラキラ美少女を!! わたくし! わたくしのお人形! ……いや、まさか……これ……」
西香はそっとその人形を元の場所に置く。
西香「取り乱しましたわ。ちょっとおかしなことを言いました。そうですわ。もらったわけがないのです。こうも連日お人形が届くなんてありえない話で……そうですわね。これはわたくしの深層意識が作った幻……でもね皆さん。わたくしには確かに視えるんですの。そこに、皆さんの隣に可愛らしいわたくしのお人形が立っているのを。赤い靴を履いたひらひらスカートのわたくし……ふふ、おかしく思うでしょうね」
留音「あの、まぁ……だったらあるんじゃないかな。お前が信じてるならあるんだよ、そこに」
衣玖「そうそう。信じればそこにある、それでいいじゃない」
西香「ふふ、たまには良いこと言いますわね。そうですわね……わたくしには視える。それでも……十分ですわね……いやどこが十分ですか。確かにここにあるんですのよォ!?」
留音「いや、無いッ」
真凛「あるっていうと調子に乗るから!」
衣玖「無いっ!」
西香「それあるって認めてますわよねぇ!?ぃやぁりましたわぁぁぁー!」