2019年12月8日 太平洋戦争開戦記念日
2019年12月8日
イリス「ねぇアンジー、聖美。今日は太平洋戦争開戦記念日ってあるんだけど……この国の人はどうして戦争の始まりを記念日にしてるのよ。やったー、開戦した日だーお祝いだー! ってなるの?」
聖美「えぇ、ならないよ……! でも開戦記念日なんてあったんだ……終戦の日はニュースとかで毎年やってるの見るけど……」
アンジー「確かに変な話だね。少なくても記念日では無いような気がするけど……なんでだろうね?」
イリス「しかも見てよ。太平洋戦争開戦、『日本がアメリカへの攻撃通告が遅れたため、事実上の奇襲攻撃となった』だって。こんな事書かれてるけど」
聖美「う、うーん……」
アンジー「メメント・モリ、みたいなやつなんじゃない?」
イリス「メメント・モリ? 死を想え? あ、開戦の愚行を忘れるな、みたいなこと?」
聖美「あ、あー。それならちょっとわかるね。記念日の理由」
アンジー「今ある平和に感謝するために、昔の戦争が始まった日を思い出すための日なのかもね~」
イリス「ふーん。もっともらしいわね。じゃあ今日は開戦をお祝いするための記念日じゃないってことね」
聖美「わー、為になるねっ。日めくりしてる感ある……私達もしっかり出来てるね!」
イリス「そうね。あたしらが登場する前の日めくりはよくわからない方向性だったから、あたしたちがしっかり正してあげないと。ってあたま痛ァ!! 何!?」
アンジー「う、うぅっ! 痛いッ、痛いぃっ!」
聖美「ぐぐぐ……ぅぁああっ! 頭の中にっ……」
――――――――
真凛「日めくりをやっていてわからないことがあるんですよね。例えば今日なんですけど……」
留音「今日?」
真凛「開戦記念日って付いてるんです。なんで戦い始めた日を記念にしてるのかなーって」
留音「あぁ確かに……終戦記念日はわかりやすいけど、開戦記念日ってなんか印象悪いな」
衣玖「……マジレスすると、日本が始めた戦争の理由なんかを知ってもらうきっかけ、入り口としての記念日だからね。開戦した日だやっほーってわけじゃないわよ」
留音「へぁー、なるほどなぁー。思いがけずためになる、けど……開戦記念日ってあんまり知られてないよな? やっぱ第一印象悪いからか?」
衣玖「実際そうなのかもね。私もよく知らないわ。ただまぁ、その辺は私達のような日めくり大使が伝えていけばいい話で……」
真凛「そうですよぉ。人はただでさえ愚かな生き物です。同胞との戦いを始めた日をしっかり覚えて、悔い改めて新しい火種を起こさないようにしなくちゃなりませんよね。……そうだ! いいこと考えました☆」
留音「嫌な予感がする」
真凛「今日という記念日はあまり定着していないような気がします……ですから! 今日はわたしが日めくり大使として、皆さんの記憶の中に戦時下の人たち記憶を一時的な内在記憶としてフラッシュバックさせるというのはどうでしょう! 戦場での空襲を警戒する真夜中の恐怖や届かない薬や食料で飢えて衰弱していく恐怖を煽りに煽って人々の心を真っ暗闇に染めるんです! 今日の記念日にぴったりじゃありませんかっ?^^」
留音「お、おぉ……理に適った恐怖を提供しようとしてくる……」
真凛「そうですよね! 日めくり大使としてそういうのってすごくいいと思います! やっぱり戦争は駄目な事ですから、人にはしっかり恐怖感を覚えてもらわなきゃいけませんからね!」
衣玖「待って待って。流石にエグすぎるわ。全員PTSD発症して大変なことになってしまうかもしれない。もう少し可愛いレベルにしておいた方が良いと思う」
真凛「え~……まぁそうですよね……それを乗り越えて今があるわけで、今の人達が当時の恐怖を味わってしまったら当時戦っていた人たちの想いが悲しいですもんね……わかりました! じゃあ今日はアルバムセラピーの日みたいですから、かたしそこねた大判のアルバムが落下して、角のところが足に直撃する恐怖感を味わってもらうことにしましょう~!」
留音「急に地味になったけどそれめちゃくちゃいてぇよ!? っていうかセラピーだっつってんのに!?」
真凛「テレパシ~!!!」
衣玖「あっ!!いッッダぁ……ッ!」
真凛「大丈夫ですよ、実際に落ちたわけじゃありませんから。痛い気がするだけです☆」
――――――――
聖美「いったぁい……なんかすっごい足ヒリヒリするよぉ……」
アンジー「なんだったんだろ……ボクの可愛い可愛い5歳頃の写真を入れた青いビニール付きのアルバムが足元に降ってきた気がした……」
イリス「こんなの決まってるでしょ! あいつらの仕業よ! うぬぬぬ、やっぱり許せない! やはりあいつらはあたしたちが倒す! そして主役の座をもらってやるんだから!!」
戦争は大判アルバム落っことすよりずっと怖い。