表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/414

2019年12月8日 太平洋戦争開戦記念日

2019年12月8日


イリス「ねぇアンジー、聖美(きよみ)。今日は太平洋戦争開戦記念日ってあるんだけど……この国の人はどうして戦争の始まりを記念日にしてるのよ。やったー、開戦した日だーお祝いだー! ってなるの?」


聖美(きよみ)「えぇ、ならないよ……! でも開戦記念日なんてあったんだ……終戦の日はニュースとかで毎年やってるの見るけど……」


アンジー「確かに変な話だね。少なくても記念日では無いような気がするけど……なんでだろうね?」


イリス「しかも見てよ。太平洋戦争開戦、『日本がアメリカへの攻撃通告が遅れたため、事実上の奇襲攻撃となった』だって。こんな事書かれてるけど」


聖美(きよみ)「う、うーん……」


アンジー「メメント・モリ、みたいなやつなんじゃない?」


イリス「メメント・モリ? 死を想え? あ、開戦の愚行を忘れるな、みたいなこと?」


聖美(きよみ)「あ、あー。それならちょっとわかるね。記念日の理由」


アンジー「今ある平和に感謝するために、昔の戦争が始まった日を思い出すための日なのかもね~」


イリス「ふーん。もっともらしいわね。じゃあ今日は開戦をお祝いするための記念日じゃないってことね」


聖美(きよみ)「わー、為になるねっ。日めくりしてる感ある……私達もしっかり出来てるね!」


イリス「そうね。あたしらが登場する前の日めくりはよくわからない方向性だったから、あたしたちがしっかり正してあげないと。ってあたま痛ァ!! 何!?」


アンジー「う、うぅっ! 痛いッ、痛いぃっ!」


聖美(きよみ)「ぐぐぐ……ぅぁああっ! 頭の中にっ……」



――――――――


真凛(まりん)「日めくりをやっていてわからないことがあるんですよね。例えば今日なんですけど……」


留音(るね)「今日?」


真凛(まりん)「開戦記念日って付いてるんです。なんで戦い始めた日を記念にしてるのかなーって」


留音(るね)「あぁ確かに……終戦記念日はわかりやすいけど、開戦記念日ってなんか印象悪いな」


衣玖(いく)「……マジレスすると、日本が始めた戦争の理由なんかを知ってもらうきっかけ、入り口としての記念日だからね。開戦した日だやっほーってわけじゃないわよ」


留音(るね)「へぁー、なるほどなぁー。思いがけずためになる、けど……開戦記念日ってあんまり知られてないよな? やっぱ第一印象悪いからか?」


衣玖(いく)「実際そうなのかもね。私もよく知らないわ。ただまぁ、その辺は私達のような日めくり大使が伝えていけばいい話で……」


真凛(まりん)「そうですよぉ。人はただでさえ愚かな生き物です。同胞との戦いを始めた日をしっかり覚えて、悔い改めて新しい火種を起こさないようにしなくちゃなりませんよね。……そうだ! いいこと考えました☆」


留音(るね)「嫌な予感がする」


真凛(まりん)「今日という記念日はあまり定着していないような気がします……ですから! 今日はわたしが日めくり大使として、皆さんの記憶の中に戦時下の人たち記憶を一時的な内在記憶としてフラッシュバックさせるというのはどうでしょう! 戦場での空襲を警戒する真夜中の恐怖や届かない薬や食料で飢えて衰弱していく恐怖を煽りに煽って人々の心を真っ暗闇に染めるんです! 今日の記念日にぴったりじゃありませんかっ?^^」


留音(るね)「お、おぉ……理に適った恐怖を提供しようとしてくる……」


真凛(まりん)「そうですよね! 日めくり大使としてそういうのってすごくいいと思います! やっぱり戦争は駄目な事ですから、人にはしっかり恐怖感を覚えてもらわなきゃいけませんからね!」


衣玖(いく)「待って待って。流石にエグすぎるわ。全員PTSD発症して大変なことになってしまうかもしれない。もう少し可愛いレベルにしておいた方が良いと思う」


真凛(まりん)「え~……まぁそうですよね……それを乗り越えて今があるわけで、今の人達が当時の恐怖を味わってしまったら当時戦っていた人たちの想いが悲しいですもんね……わかりました! じゃあ今日はアルバムセラピーの日みたいですから、かたしそこねた大判のアルバムが落下して、角のところが足に直撃する恐怖感を味わってもらうことにしましょう~!」


留音(るね)「急に地味になったけどそれめちゃくちゃいてぇよ!? っていうかセラピーだっつってんのに!?」


真凛(まりん)「テレパシ~!!!」


衣玖(いく)「あっ!!いッッダぁ……ッ!」


真凛(まりん)「大丈夫ですよ、実際に落ちたわけじゃありませんから。痛い気がするだけです☆」


――――――――


聖美(きよみ)「いったぁい……なんかすっごい足ヒリヒリするよぉ……」


アンジー「なんだったんだろ……ボクの可愛い可愛い5歳頃の写真を入れた青いビニール付きのアルバムが足元に降ってきた気がした……」


イリス「こんなの決まってるでしょ! あいつらの仕業よ! うぬぬぬ、やっぱり許せない! やはりあいつらはあたしたちが倒す! そして主役の座をもらってやるんだから!!」


 戦争は大判アルバム落っことすよりずっと怖い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  真凛ちゃん万能。恐怖テレパシーを駆使したディストピア世界なんかを作れちゃうわけですね。傷が残らない分、痛い気がするのは凶悪。 [気になる点]  開戦記念日よりアルバムセラピーの日のほうが…
[一言] えーと、アルバムセラピーの日って、アルバム見て癒される日ってのでいいのでしょうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ