2019年12月7日 【FA(フェルトアート)特別回】お人形二人目【ショート】
2019年12月7日
クリスマスツリーの飾り付けを終えた五人少女たち。真凛は出来たツリーを見てニコニコしながらうんうんと満足そうに頷いている。
真凛「綺麗に飾れましたねぇ~!今年もきっとサンタさんが来てくれますねっ☆」
屈託の無い笑顔で、注文ばかりだった飾り方に疲れ切った表情の衣玖と留音に言う真凛。西香は逃亡してどこかに消えている。あの子にだけは飾り付けの注文をしていない。あの子が手を付けた場所はすべて黄金比のような美しさを持っていたためだ。
留音「あたしもどっかで逃げればよかった……」
衣玖「……(ぐで~ん)」
留音は完成した輝かしいツリーを横目に見ながら言う。衣玖の方は床でゴロンと転がってダラダラ状態だ。
真凛「逃げた西香さんにきっとサンタさん来ませんね」
そんな話をした時、ちょうどピンポンと呼び鈴がなった。はーい、とテコテコ歩いて玄関に向かった真凛は小さな袋を持ち、首を傾げながらリビングに戻る。
衣玖「何届いたの?」
真凛「さぁ。わたし宛だぁ」
留音「またなんか懸賞送ったのかぁ?」
真凛「わかんないですけど……サンタさんからかな?開けてみましょう」
真凛は丁寧に袋を開けると、中のものをひと目見て「えっ!?」と声をあげた。
真凛「こ、これ……わー!わー!」
衣玖「何?」
真凛「お人形だ―!衣玖さんのと同じー!」
袋の中には可愛らしい羊毛フェルトの真凛の人形が入っていたのだ。
留音「え、えー!連日!?まじでか!」
真凛「やー!すごーい!えっー!わたしだー!」
衣玖「ふあー……立ってる……ニコニコで……」
四人はきゃっきゃとその人形を眺め、撫でる。
留音「すげー……なぁ、並べてみ、衣玖のと……」
衣玖「そうねっ、ちょっとこれは写真に収めないと……」
真凛「はぁー、かわいいですねぇ……二人並んで……」
留音「これはコレクションしたくなるな……」
衣玖「わかる。並べておいときたいわね……」
留音が「ちょっと貸して」と、その二体を先程ツリーの飾り付けの際に出した卓上におけるサイズのミニツリーの近くに持っていき、衣玖をミニツリー前に座らせて、その少し後ろに真凛を立たせた。
留音「飾り付けサボってる衣玖をサイコパススマイルで見守る真凛の図」
衣玖「んブふぅッ」
真凛「えー。サイコパススマイルってなんですかぁ」
それから留音は続けて真凛を動かし、衣玖よりもミニツリーの近くに置く。衣玖は座らせた状態からツンと突いて横にする。
留音「ツリーが出来て満足気な真凛と疲れ切った衣玖」
衣玖「んっふ……再現度高……っ」
真凛「あはぁ☆これは遊べますねぇ~♪」
留音「……こういう遊び始めると沼だからな。おかげで何体プラモが増えたか」
四人は仲良くジオラマチックな遊び方をして、最終的にリビングでみんなが見えるところに飾られた。
家に帰ってきた西香はその人形を見て一度気絶すると、その後目を覚ましてからはその人形だけ認識できない目になったそうだ。