2019年12月2日 美人証明の日 【新キャラ登場?】
2019年12月2日
衣玖「はい、次の方どうぞー」
その日……五人少女たちは日頃のマンネリ感、それから話膨らませもたまに限界を感じることが出てきたことを節目に、そろそろ新キャラが必要だ、とオーディションを開催していた。
この五人少女シリーズに相応しい、特別な美人、美少女だと証明し、新たなメンバーとなるための登竜門である。
「はい! 今日はよろしくお願いいたしますっ! 聖美、17歳ですっ!」
最初に現れたのはとても清らかで、学年で一番人気というタイプの可愛らしい女の子がその学校の制服で現れた。清純さも感じられて印象は良い。
留音「あー、年齢言ってるタイプね~、はいはいはい。それじゃあ聖美ちゃん、自己PRなんかあれば訊いてもいい?」
聖美「はいっ、えっと、早稲高ミスコンで3年連続優勝しました! それにこの前は発掘アイドルプロジェクトで歌も歌わせてもらって……は、発表はまだなんですけどっ……だから皆さんみたいな美少女ユニットに入って、もっとかわいくなりたいです!」
真凛「わぁー☆(ぱちぱち)」
衣玖「ちなみに特技は? 何か最高峰の要素は持ってるのかしら」
聖美「あっ、はい! 子供の頃からにらめっこで負けたことはありません! だから一番の変顔が出来る自信がありますっ!」
留音「変顔か~……それってちょっとやってみてもらってもいいの?」
聖美「もちろんです! それじゃあせーの、あっぷっぷ!」
それはもう、通常時とのギャップも含めて最高の変顔だった。最早顔から目や口が離れてしまっているほどの変顔は、たしかに誰にも真似出来ない、一番の変顔であった。
衣玖「……ぶっはっ!!」
留音「ぶっは!!ぶはははははは!!」
西香「はブっ!ひゃー!!」
真凛「いっひぃー!あーっはっはっは!そんなっ!!えっへえぇ!あーはっは!」
聖美「……って感じですっ」
両手をぐっと握り、どうですかっ?と期待を込めた瞳でみんなを見回している。
衣玖「なるほどね……んふふ……んふぅ!!……ぷくく……すごいわ」
でも主戦場は文字の場なのよね。衣玖は落選ボタンを押した。
留音「いやぁすごかった。最強の変顔使いな。覚えておくよ」
留音もなんとなく落選ボタンを押した。
西香「ひぃ、ひぃ……でも失格ですわ、いっひひ、はいポチッと……ひっひぃ……」
西香も落選に一票を入れて、これで過半数が落選と入力したため聖美ちゃんは落選である。
聖美「あーれー!!」
聖美ちゃんは人間大砲によってどこか遠くに飛ばされ、お空の星となって消えた。
留音「はい次の方どうぞー」
次に現れたのは衣玖より少し背が高いくらいの白髪ショートカットの猫耳を付けたとても美少女だった。
「きゃーるるん♪ みなさんこんにちはっ! ボク、アンジー! よろしくにゃっ♡」
聞く人が聞けば嫌悪感を持ちそうな高音ボイス。そして顔を傾けてバッチリぶりっ子ポーズを決めている。ここで西香は黙って落選ボタンを三連打した。
留音「あー……」
衣玖「そういうのは求めてないのよね」
さらにその二人も落選に票を投じようとすると、それを察知した真凛が言った。
真凛「ちょっとみなさん!もっとちゃんとアピールとか聞かないと、せっかく来てくれたのに失礼ですよぉ!例え落ちると決まってても戦いになったと思わせる程度には努力させてあげましょうよぉ!」
真凛も押す気まんまんの落選ボタンを振り回している。
留音「まぁそうだな。それじゃあえっと、アンジーちゃん?ボクっこなんだね。なんかアピールとかあんの?」
アンジー「はいっ! ボク……実は正真正銘、男の子です☆ にゃははっ」
衣玖「ふむ、興味深いわね。そういえば男の娘、という人物はまだ出ていなかったはずよ」
真凛「あ、衣玖さんが食いつきましたよぉ~」
アンジー「やった~っ! ボクね、皆さんの需要を満たすのに必要だと思うんです! だってほら、西香さんは一番の美少女でしょっ?」
西香「わざわざ確認いりませんわよ」
アンジー「もう美少女の枠って埋まっちゃってるし……新しい可愛い子を出すんだったら、それはもう女の子には無理って思って! そうなるとほらっ! 見て下さい! 一番可愛い男の子のボクをっ! にゃーんにゃん♡」
留音「たしかに、男の娘というだけで今のにゃーんにゃんに対する嫌悪感は半分くらいに低減されるな」
真凛「感じてはいるんですねぇ」
アンジー「それにぃ……ほら、みてください、ボクの女の子みたいに細くて白い体……ボクは男の子だから、皆さんが普段やらないようなお色気だって担当できちゃうんです……ねっ?」
衣玖「はい、趣旨及び解釈違いよ。退場」
衣玖が強制排出ボタンを押す。
アンジー「あーれー!!」
アンジーくんも聖美ちゃんとおなじく、人間大砲によってどこか遠くへ飛ばされていった。
西香「ま、仕方ありませんわね。わたくしたちったら根っから真面目で健全ですから」
衣玖「困るのよね……ああいうことされると。レートあがっちゃうじゃないの」
留音「ちょっと可愛い気はするけどなぁ……」
真凛「あ、次の人控えてますよ☆ どうぞ~?」
「……やっとあたしの番ね。ここ数日あんたらを監視させてもらったけど、全然駄目ね。主人公共の割にしけてるあんたらに変わってヒロインをやりに来たわよ」
次に現れたのはややツリ目で金髪のツインテールを携えた、めちゃくちゃ短いミニスカートの美少女だった。
西香「ははぁ……またあからさまなのが来ましたわね。あなたお名前は?」
「いいわ、せっかくだから教えてあげる。あたしの名前はイリス・フォン・ルクレツィア・セーヌ・ラプソディ。イリスでいいわ」
そのイリスは腕を組みながらツンとした態度で言い放った。
衣玖「なるほど。そういう方向性のアプローチね。それで特技は?」
イリス「まっ、特技ってほどでもないんだけどね。ポッタリーハー魔法学校の主席よ。得意な魔法は閃光に連なる陽属性の魔法ね。私にかかれば過去に世界を統べた魔王ですら相手にもならないでしょう」
真凛「うわぁ~……世界観が違いますねぇ。あのぅ、ここは一応地球の日本っていう設定で、異世界モノではないんですよぉ?」
留音「それお前が言うんだ」
イリス「何よ。文句あるってわけ?あんた達、みんなそれぞれ最高の何かを持っているんでしょう?それだったら勝負してみる?まっ、相手になんてならないと思うけどね」
西香「留音さん」
留音「あーもう。戦闘員は間に合ってるんだよなぁ。こいつ妙にテンプレじみてるし……」
イリス「さ、いつでも来なさい。さっきも言ったけどあんた達のデータは揃えてるの。その超最強波の魔力換算も済んでるわ。もちろんその超最強波を防ぐ防護魔法だって既に紡ぎ出してるし。最強の魔法使いはあらゆる攻撃を受けてそれを――」
留音「じゃあ行きまーす超最強波!!!!!!!」
イリス「あああああれええええええええ……!」
アイリスは留音の速射型1000分の1倍非殺傷モード超最強波によってやっぱりお空の星となって消えた。超最強波は常に相手を一歩上回るのである。
真凛「あらー……だめでしたねぇ。次の候補者は……」
衣玖「もういないわ。何かマンネリ打破のきっかけになればと思ったんだけど」
留音「まぁあたしらに釣り合う、なんてのそうそう現れないよなぁ……」
うーん、と悩む五人の少女たち。その数分後。
西香「あら? 誰か入ってきましたわよ?」
聖美「ちょっと!ひどいじゃないですか!私だって美少女ユニットのメインヒロインをやりたいです!」
アンジー「みんなわかってないよ!新しい可愛いって概念はボクのような子にこそ生まれるんだよ!?ボクってば世間一般の美少女よりもこぉんなに可愛いのに!」
イリス「納得いかない!あたしの方がよっぽど主人公に相応しいのに!」
三人は徒党を組んで審査員に物申すつもりらしい。
聖美「だから私達……新たに五人少女ミニーズを結成します!!」
聖美ちゃんが地に四つん這いになり、その背中に二人が斜めから寄りかかるようにまっすぐ伸ばした手を置いて寄りかかっている。いわゆるスーパーカブトという三人組体操だ。
留音「何か怒涛の展開が起きているな」
衣玖「一人男だけどいいのかしら……。っていうかユニット名は私達に寄せてくれるのね」
真凛「(ぼやー)」
西香「まぁ勝手にしたら良いのでは?」
イリス「言っておくけどあたしら、あんた達を倒して乗っとる気満々で行くから、覚悟しておきなさいよね」
聖美「えっ、倒すの……?」
アンジー「ボクが一番人気になっても、カップリングさせてあげないんだからね!」
というわけで、一気に三人の美少女?が登場だ!!彼女達は今後の物語に関わってくるのか……乞うご期待!!
真凛「えっ?一話だけ登場の都合のいい人達じゃないんですか?」