2019年11月28日 きゃわわ要素に恵まれているいいツヤ、ニーハイの日
2019年11月28日
ひょんなことから僕、日捲り太郎は同じ学校の女の子と出かけることになったんだ。その子達は僕の学校の中でもとびきりの美少女だって話題の子達なんだ。そんな子達とどうして僕が?僕にもよくわからないけど……
留音「おーい」
あ、僕を呼ぶこの声は……留音さんだ。とびきりかっこいい女の子で、男からはもちろんだけど、女の子からも人気の子なんだ。スポーツ万能で学校では動きやすいからって大抵ジャージ姿なんだけど……。
留音「またせた。ってあれ、まだあたしだけか」
「あっ……」
急いで損したな。なんていいながら小さなハンドバッグを持ち上げて頭をポリポリと人差し指でかいてから、呆気にとられてる僕の顔を訝しむような感じで見てこう言った。
留音「……なんだよ?どっかおかしいか?」
「あっ、いや、私服、初めて見たなって……」
留音「まぁそりゃそうだろうな、学校の外じゃ会わねーし……別におかしくないよな?」
「ぜ、全然……」
留音さんは首を傾げているけど、僕が呆気にとられたのは彼女の私服がとてもかわいらしかったからだ。
彼女の長い金髪にピッタリ合う暗めの色のキャスケットの帽子、少し大人っぽい黒のコートのポケットには手をつっこんで、中にはコートに溶け込むようなココア色を少し赤に染めたような暖かそうなニット地の服。それからショートのジーパンに……すぐ下には黒のニーハイソックス。ブーツから伸びる黒の生地は彼女の長い足を細く主張させて、でもジーパンとの間にある肌色の領域に目を奪われてしまいそうになってしまう。
というか、もう遅い、奪われてしまっている。僕はそんなふうに見ちゃいけないと思って努めて視線を逸した。でも……本当に1128だ
留音「あっ、おい衣玖ー、おせーぞ」
衣玖「ごめん。あの子が今日くらいちゃんとしろって。別に何も変わらないのに」
留音さんが呼びかけた方向から女の子が一人、小さく手を挙げて来た。僕は一瞬、その子が誰だかわからなかった。口調や顔を見ればわかるんだけど……シルエットがいつもと大きく変わっていたからだ。
衣玖さん。とっても頭の良い子で、全教科のテストを30分、1問あたり2秒の計算で解いていく天才。もちろん全問正解で、先生が頼るほどに頭がいい。そんな子が僕たちと同じ学校にいる理由がわからないけど、聞けば「歩いてすぐで近いし、学校はどこにいても同じだから」だそうだ。自宅に研究施設があるから家に近い場所ほど良かったとか……そんな衣玖さんなんだけど……いつもと印象がぜんぜん違う。
いつもはなんていうか、髪の毛先がぴょんぴょんしていて、ただ流しているだけのような髪型で、ちょっとボサッとしてるような感じがあるんだけど……今日は全体的に髪がまっすぐ降りてて、光沢すら見えるほどしっかり整えられていた。
ただ格好は制服だ。セーターとブレザーをあわせて、チェックのスカート。留音さんと違ってブーツは履いていなかいけど、衣玖さんも厚手のニーハイを履いている。ただ今日は学校がないから、可愛らしいリボンを襟元に付けて、ニーハイはガーターベルトで留めているようだ。それに学校じゃないからか、腰や上着にシルバーアクセサリーで個性も出していてかっこいい。
衣玖さんはここに来るまでに体力を使ったのか、すぐそこのベンチにちょこんと座った時にスカートの奥にちらりと覗いたガーターの留め具部分は目の毒だった。
留音「……なんで制服?」
衣玖「冬服、まだ出してなかったのよ。夏物だと寒いし」
留音「もう12月なるってのに、どんだけ外でないんだよ……」
雑談をしてくれて助かった。でも衣玖さんの性質はなんとなくわかる気がする。この前学校の机の中をちらっと見たんだけど、パンパンのぐちゃぐちゃだった。教科書を見る必要がないから家に持ってかえる必要も出す必要もなくて、本人曰く封印されているそうなんだけど……。
「そ、そうだ。真凛さんも来るって言ってなかった?一緒じゃなかったんだね」
衣玖「うん。真凛は別の用事思い出したって、今日は来ないみたい」
留音「別の?何があるんだ?」
衣玖「さぁ。1128を見つけた、とか言ってたけど」
留音「不穏な事言ってんなぁ……まぁ……じゃあ行くか」
留音さんは首をくいっと、顎で僕たちの進む方向を指示して、それからハンドバッグを持つ手を肩の方にあげた。衣玖さんも「ふぅ」と立ち上がって、三人で目的地に向かった。
はぁ、今日はなんて幸せな日なんだろう。こんなに綺麗な二人と一緒に歩けるなんて。つやつやな髪の毛に、ニーハイはいつも綺麗で可愛い二人をもっと引き立たせる。記念日に乾杯。