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2019年11月26日 いい風呂の日

2019年11月26日


 大抵、この家で最初にお風呂に入るのは留音(るね)である。夕方のトレーニングを終えるとお風呂に入り、晩御飯の前には上がってのんびりしているということがほとんどだ。夏場は夜になってから走ったりしていたのだが、この時期はわざわざ暗くて寒い時間に走る事はやめている。


 さて留音(るね)だが。鍛え終えてしっとりと汗に濡れた服を脱いでいき、雑にポイポイと洗濯機に服を投げ込むと、いつも近くに置いてあるゴムで長めの髪を束ねてから浴室に入る。この時期には少し寒い浴室も、しっかりポカポカした状態で入る留音(るね)には丁度いいようだ。


 浴室には小さな椅子が一つ置いてあり、留音(るね)はそれに座るとジャジャっと水を流し、ひとまず簡単に汗を流すと、それからゆっくり湯船に浸かる。「ぷぁー……」なんて気の抜けた声をあげたりして、すっかり堪能している。


 背の高い彼女は湯船には足を曲げるか、外に出さないと体が入らない。最初はつま先まであたためるために体の全体で入っているが、やがて足を外に放り出して深い体勢を作ってお湯に浸かる。そうして体の芯からあたたまると、簡単に浴槽でストレッチをしてから湯を上がり、髪を束ねたままでまずは体から清めていく。


 使うボディソープに特にこだわりはなく、誰かが使ったものを自分専用の柔らかいスポンジタオルを使ってゴシゴシと、使った筋肉を労るようにマッサージのごとく左腕からスポンジを滑らせていく。上半身を終えると今度は軽く足を伸ばして、長くて綺麗な腿からつま先まで、丁寧に洗っていくのだ。


 それが済むといよいよ髪を留めたゴムを外して洗髪する。水に濡れていつものふわっとしたロブの髪がストレートのようになって、それをまとめて右肩の手前に持ってくるとこちらも大事にシャンプー、リンスとしっかり洗い、そうしてお風呂を上がる。出た後はさっくりドライヤーで髪が冷えてしまう前に手入れを行って、意外としっかり女の子らしい手入れをしているのであった。


 その次に入るのは大抵の場合あの子か西香(さいか)のどちらかである。どちらも留音(るね)と同じく丁寧に体を洗う方で、西香(さいか)の場合はゴムではなくタオルをターバンのようにして入浴する。使うボディソープなども最高品質の物を使い、出た後はあの子にドライヤーで乾かしてもらうのを日課にしている。逆に乾かしてあげることももちろんあるが、頻度で言ったら8対2ほどで西香(さいか)のほうがお世話になっているようだ。


 それから晩御飯を挟んだ後にお風呂に入る組が、真凛(まりん)衣玖(いく)だ。真凛(まりん)は日課を全て終わらせて、食器なども全部洗いきったとなった後でお風呂に入るのが好きだった。そこでゆっくり湯船に浸かって、のんびりぼんやり体がホクホクしていく感覚を楽しんでいる。湯船に浮かんでいるアヒルの人形を水の底に沈めて、ギュッギュと潰して泡を吐かせるのは最早日常に組み込まれていると言っても過言ではないだろう。


 ただ真凛(まりん)にとって心穏やかでないお風呂のパターンもある。それは衣玖(いく)の後に入ったときである。


 衣玖(いく)は大抵、自分がやりたいことを済ませた後でお風呂に入る性質で、入るタイミングは深夜になることもあるのだが、稀に真凛(まりん)よりも早く入ることがある。


 衣玖(いく)がお風呂に入る時、自ら進んでゴムやタオルで髪を留めたりしない。その日の気分でお風呂に入りたいとなれば留めることもあるのだが、日によっては湯船には入らずシャワーだけで済ましてしまおうというタイプでもあるので、そういう日には髪はそのまま下ろしっぱなしというのが衣玖(いく)である。


 しかも衣玖(いく)は防水仕様のスマホと一緒にお風呂に入る。好きな動画を流しながらお風呂に入り、浴槽に浸かるとうつ伏せのような体勢で水にふわふわ浮遊しながら、頭と腕だけ湯船の(へり)に乗っけてのんびりと動画を見るのが好きだった。髪がお風呂に広がったり、冷えたりしても特に気にしないのである。


 そんな衣玖(いく)の後に入ることになってしまうと、真凛(まりん)は少し憂鬱だ。湯船の中に抜けた髪が漂ってることが多くなるから、見つける度にすくい上げてまとめることになるからだ。とは言えお風呂に入りながら同時に掃除をしている気分にもなるので、「しょうがないなぁ……」という程度で、あまりイライラはしてはいないようだ。


 そして衣玖(いく)のお風呂事情には続きがある。とは言えお風呂を出た後の事だが、彼女は髪をほとんど手入れしない。だから毛先があっちこっちに跳ねてしまうもので、衣玖(いく)があの子の起きている時間にお風呂に入ればあの子は自然と手入れをしようとするし、衣玖(いく)も黙って頭をいじらせるものだが、深夜に一人で入った場合だと熱心な手入れはまずしない。


 お風呂から出てすぐに寝たい時にはドライヤーでしっかり乾かしたりはするのだが、まだまだ起きてるぞというときには基本的に水分を取ったらあとは自然乾燥、という日も多いのだ。それでもちゃんと美少女であり、化粧の心得もある辺り、しっかり手入れをするようになったら見違えるのではないか、なんてことを留音(るね)あたりは日頃思わないでもないようである。


 そんな今日はいい風呂の日。美少女たちのお風呂事情のこと。

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― 新着の感想 ―
[一言] 結構、楽しんで娘が多い中、衣玖ちゃんはまあ入るかって感じですね。
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