2019年11月22日 西香ちゃん大人になる?
2019年11月22日
そのしょうがなさからほぼみんなからしょうがないヤツだと思われている西香。
だが今日の彼女は一味違うようだ。
西香「真凛さん、お昼の準備ですの?」
真凛「あっ、はい~、軽めにサンドイッチでもって……」
西香「そうですの。材料は揃ってるのですね。それでしたらわたくしがやりますわよ」
真凛「え゛っ、作れるんですかぁ……?」
西香「こんなの具材挟むだけでしょう?真凛さんは今日の記念日に感謝することですわね。ゆっくり休んでらっしゃいな」
真凛「記念日……?じゃあちょっと不安だけど……おまかせします……」
真凛はしばらく後ろから西香の様子を伺っていた。
これが衣玖だったら未来料理などと言い出して必ず余計な事をするから台所に立たせることはしない。留音の方は手先は意外と器用だったりするにも関わらずカップラーメンか卵かけご飯くらいしか作れない。西香は全部人任せだから立たせたことはなかったが、どうやら上手でも下手でもない、という程度に料理は出来るらしい。手際の良さは無いものの真凛が心配するほどではないようだ。
なんのつもりなんだろうかと考えながら真凛はその場を離れる。今日は何の日かと調べると、そこには「大人の日」というのがあることを知った。
西香「(はぁ……だるいですわ。でも仕方ありませんわね。記念日大使として実践をしていかなければ)」
お昼ご飯時、真凛が作るほどには綺麗ではないサンドイッチの形に衣玖が気づき、真凛が「今日のは西香さんが作ったんですよ」と説明する。みんなは一瞬毒物の疑いを持ったが、衣玖が電極のような検査キットを近づけても放射性物質は確認出来なかった事を確認すると、それすら逆に不審がった。
西香「まっ、感謝はいりませんわよ。これはわたくしからのささやかな感謝の気持ちですからね」
留音「えっ?!!?今なんて言った!?!?!?!」
西香「感謝ですわよ。驚き過ぎです」
衣玖「かんしゃ……?人に対してありがたく思って礼を言うって意味だけど使い方はあってるのよね?」
西香「何を言ってるんですの?で、真凛さんにはお昼を代わりに作ってあげるという感謝を送ったので、あとは留音さんと衣玖さんですわね。わたくし、あなた方に感謝の気持ちを表したいのです。あぁ、あの子は別ですわよ。今日みたいな日に感謝なんてしませんわ」
留音「(何言ってんだこいつこわっ……)」
衣玖「(私達に感謝をして、あの子にはしない……?)」
西香「何もありませんの?ふむ……じゃあわかりましたわ。まぁオーソドックスに感謝を表すならこうですわよね」
西香は立ち上がって近づくと、衣玖の事をぎゅっと抱きしめ、頭をいい子いい子とナデナデ。
衣玖「ヒッ」
西香「全くもう、逆に感謝なさってね。こんな事普段しませんわよ。衣玖さんなでなで~」
固まる衣玖。完全に凍りついていて抵抗は出来ない。留音はさささと距離を取り、いつ西香が血迷った行動をとっても逃げられるように準備した。西香は衣玖から離れるとにっこりして自分の席に戻っていく。そうして距離を取ったところで、やっと意識を取り戻した衣玖。
衣玖「(ブルルッ……ブルルルっ!)」
留音「(あっ!衣玖がすげー鳥肌!しかも2回くるやつだ!寒気が2回来て鳥肌立つタイプのガチのヤツだ!)」
西香「まぁちっこい衣玖さんはこんなところでいいでしょう。さて留音さんは……うーん。あ、そうですわ。留音さんプロテインバーって食べますの?」
留音「えっ、あっ、あぁ、好きだけど……」
西香「では後で出かけた時に買ってきて差し上げましょう。それでいいですか?」
留音「え、え、あ、うん、全然罰ゲームっぽくないけどいいのか……?」
西香「はぁ?罰ゲーム?何を言ってるんですの?ほんと意味不明ですわね。……ねぇあなた、後で一緒にお出かけしませんか?」
西香はあの子に声をかけると、あの子はうんうん頷いて、西香は嬉しそうに手を叩いた。それからお昼を済ませた後に西香が出かけて、三人は緊急会議である。
留音「あいつ……今日は何やってんだ……?」
衣玖「どうして私だけこんな目に……うぅ!!またブルってきた!背中ブルって!」
真凛「あははは、今日はですね、『大人の日』なんですよぉ☆だからきっと西香さん、少しお姉さんになった気分で日めくりをやろうとしてたんだと思います☆西香さんなりの雑で歪ななけなしの善意だったんです♪」
留音「なるほどな……じゃああたし、このままプロテインバーだけ貰えたら普通にラッキーってことか」
という話をする一方で。
西香「はぁー。まさか今日が『ペットたちに"感謝"する日』だとは思いませんでした。わたくしあの人達を飼った覚えはありませんけど、実質的にお世話しているのはわたくしですからね……大変な記念日もあったものですわ。もちろん、あなただけは別ですわよ?」
あの子「(^ー^;)」