2019年11月20日 乾物の日 乾物ガールズ参上
2019年11月20日
とある小さな漁村が独裁国家軍に襲われた。抵抗する村の男達は、大きな軍隊を前にろくに相手にならない。だがその独裁国家の人間たちは知らなかった。この村には最強の美少女たちがいたことを。
村民「うお~! ここはオラたちが平和に暮らしてる村だぁ~! おっめらの世話にはならねっべ~!」
独裁軍「総統閣下はこの漁村を開拓し、リゾート地に変えようというのだ!! ええい! 黙って言うことを聞けい!!」
西香「お待ちなさい!」
そこに現れたる、五人の少女たち。
真凛「この村の平和を乱すものは!」
留音「あたしたち、乾物ガールズが許さない!」
衣玖「海産物、農産物に変わってお仕置きよ!!」
背後で大爆発が起こり、謎のポーズを決める乾物ガールズたち。
村民「あれはっ! 乾物ガールズだ!! やったー!彼女たちが来てくれたぞー!」
独裁軍「い、一体何者だ!?」
衣玖「私達は乾物ガールズよ!」
留音「そういう意味で聞かれたんじゃないと思うぞ」
独裁軍「よくわからんが、美少女だ!! 総統閣下の貢物とする!!ひっ捕らえよー!」
西香「ふふっ、甘くてよ!! お喰らいなさい! 干し椎茸手裏剣!!!」
西香は両手のひらを使い、シュシュシュと素早く動かして干し椎茸を手裏剣のように発射したのだ。
独裁軍たち「ぐ、ぐわー!」
手裏剣は見事に独裁軍のおでこにヒットしていく。だがあまりにも多い軍隊を前に、干し椎茸手裏剣では数人を倒すことしか出来ない。迫る大群に、今度は真凛が一歩前へ出る。
真凛「ゲートオブ切り干し大根……!」
真凛が片手を掲げると、真凛の周囲からいくつもの小さな空間の歪みが発生し、その歪みの中からいくつもの切り干し大根が発射された。その数はゆうに千を越え、前線の兵士を薙ぎ払っていく。打ち損じは西香が手裏剣で的確に狙うのだ。
独裁軍「おのれぇ……! 装甲兵たちよ!! 前へ出よ! あの美少女たちを抑えるのだ!!」
次に出てきたのは鎧を着込んだ装甲兵士。それほどの重装甲であると、ほんの小さな切り干し大根や干し椎茸など相手にもならない。すべて小石のごとくコツンコツンと弾き返されてしまう。
留音「どうやら……」
衣玖「私達の出番のようね」
留音と衣玖はそれぞれ別の装甲兵を前に武器を持った。
留音「……鎧か……これじゃあ確かに干し椎茸や切り干し大根じゃ相手にならない……だが、これならどうかな!?」
留音は身の丈ほどもある茶色い物体を取り出し、構えながらそういった。
独裁軍「な、なんだそれは!?」
留音「これはな……超巨大鰹節だ!!」
留音はフルスイングでその鰹節を大剣のように振るった。装甲兵はそれによって叩きつけられ、たった一撃で行動不能となってしまう。
留音「鎧には鈍器……強すぎる衝撃は鎧でも受け止めきれないだろ?」
巨大鰹節をくるくると片手で回し、鞘に戻すように背中に背負った。そして衣玖の方は?
衣玖「昆布二刀流、ダブル昆布レード」
衣玖は両手に持った二つの細長い干し昆布を構えた。そして装甲兵の鎧の隙間を狙い、昆布を差し込むのだ。
独裁軍装甲兵「ぐわああー!」
昆布で浅い傷を作られ、地味に痛い思いをした独裁軍の装甲兵は倒れた。
独裁軍「おのれ……この村にはこのような者たちがいたとは……総員撤退!せめて散らばった栄養たっぷりの乾物を持ち帰るのだー!」
留音「ふんっ、おとといきやがれってんだ!」
留音は鰹節の先っぽをちゅーちゅー噛んだり吸ったりしながらそう言った。そして衣玖も昆布の先をちゅぱちゅぱハミハミしている。
衣玖「私達と乾物がある限り、この村の平和は脅かせないわよ」
真凛「わたしたちの大勝利ですぅ~☆」
西香「さて、勝利の後は……使った乾物で乾物パーティと参りましょう!」
乾物。それは時に武器になって敵を破り、時には食料となって胃袋を満たす。しかも一部の乾物は栄養価も信じられないほど高くなり、その上日持ちまでする。
乾物こそまさに日本が誇る最強の食べ物なのだ。味の好みさえ抜けば。