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2019年11月15日 もしもの七五三と雑談少女

2019年11月15日


ロリ衣玖(いく)ちゃん「うえ~~ん、うえ~~ん」


真凛(まりん)「はいはいはい、どうしたのぉ衣玖(いく)ちゃん?……お子さん、どうなされたんですかぁ?」


 スタジオカメラマン、真凛(まりん)衣玖(いく)のお母さんに泣いている理由を尋ねると、どうやら今日の七五三にあたってしてもらった化粧が原因らしい。「そうなんですねぇ」と真凛(まりん)はロリ衣玖(いく)ちゃんの顔を見ると、確かに濃い目に化粧がされている。


真凛(まりん)「お化粧、嫌だったかなぁ?」


 真凛(まりん)はそう問いかけると、ロリ衣玖(いく)ちゃんは泣きながら「がっごわるいー!」と泣いていた。


 ロリ衣玖(いく)ちゃん(3歳)を少しでも可愛く大人っぽく、というメイク係のはからいでされた化粧であるが、3歳児にしてそのメイクが気に入らないようだ。


真凛(まりん)「うーん、じゃあそうだ、本当は終わってからなんだけど……」


 真凛(まりん)はゴソゴソと棚を漁ると、そこからペコちゃんのミルキー千歳飴を取り出し、ロリ衣玖(いく)ちゃんに手渡した。


真凛(まりん)「ほら、これ食べてみて~美味しいよ~」


 袋を剥き、手頃な長さの千歳飴をロリ衣玖(いく)ちゃんに手渡す。それをじっと見た衣玖(いく)ちゃんははむっと千歳飴をくわえると、真凛(まりん)を見上げながら泣くのをやめて夢中で千歳飴を舐めている。だがそこに……。


ボーイ留音(るね)「あー!ずっりー!衣玖(いく)ちゃんが千歳飴食べてる―!!ルーも食べる!ルーも食べるー!!衣玖(いく)ちゃん!それちょうだい!」


 ロリ衣玖(いく)ちゃんのお兄ちゃん、留音(るね)くん(5歳)がそれを発見して騒ぎ始めたのだ。


ロリ衣玖(いく)ちゃん「やらっ」


ボーイ留音(るね)「ずーるーい!衣玖(いく)ちゃんだけずーるーい!」


 留音(るね)くんは駄々っ子をしながらお母さんに訴えるが、お母さんはだめよと首を横に振っている。


ボーイ留音(るね)「むー……えいっ!」


 我慢しきれなかった留音(るね)くんは衣玖(いく)ちゃんの飴を取り、がぶ!とかじりついてかけらを口に入れると再び衣玖(いく)ちゃんに飴を返した。それをきょとんと見ていた衣玖(いく)ちゃん、返されて数秒後にまた「うえ~~ん」と泣いてしまう。


真凛(まりん)「は~……しっちゃかめっちゃかですよぉ……」


 流石に一家三人の子供を同時に撮影するというのは大変だ……真凛(まりん)は一番手のかかっていない長女の様子を確認しようと、先程ベンチにしおらしく座っていた西香(さいか)ちゃん(7歳)に目を向けると、下の子に見かねたのか近づいてきていて。


西香(さいか)姉「こらっ、留音(るね)くん!衣玖(いく)ちゃんの物をとっちゃだめでしょ!ママも悲しがるよ!」


ボーイ留音(るね)「だって食べたかったんだもん……」


西香(さいか)姉「お兄ちゃんだから我慢しなきゃいけないんだよ!衣玖(いく)ちゃんにごめんなさいして!」


 真凛(まりん)はさすが長女ちゃんだなぁと黙って見守っている。


ボーイ留音(るね)「……衣玖(いく)ちゃんごめんね」


 お姉ちゃんに怒られたことで少し不貞腐れたように言ったが、ロリ衣玖(いく)ちゃんはまだ泣いている。そこに西香(さいか)ちゃんは近づいて、衣玖(いく)ちゃんにこう囁いた。


西香(さいか)姉「衣玖(いく)ちゃん、お兄ちゃんの事許してあげてくれる?もし許してくれたら後でお姉ちゃんの飴も少しあげるね」


 その言葉に衣玖(いく)ちゃんはパッと表情を明るくしてお姉ちゃんを見た後、お兄ちゃんに向かって「いいよ」と言ってあげたのだ。


真凛(まりん)「わぁ、いい子達ですねぇ~。よし、撮影しましょ~。お母さんの着物もバッチリですもんね~っ」


 お母さんの着物姿も光り輝き、撮影は順調に進んでいった。そして撮影が終わり、子どもたちにお菓子が配られた後、真凛(まりん)の裾を引っ張る子供がいた。西香(さいか)ちゃんだ。


真凛(まりん)「どうしたの?」


西香(さいか)姉「あのね、さっき衣玖(いく)ちゃんが食べてたミルキーの飴……」


真凛(まりん)「あっ、……あなたも欲しいの?」


 西香(さいか)ちゃんは恥ずかしそうにコクンとうなずいた。これは小さい子向けに常備しているもので配るために置いているのではないのだが。


真凛(まりん)「そっかぁ……でも西香(さいか)ちゃんはさっきはとってもいい子だったもんね~。うん、じゃあ秘密で一本あげるね。はいどうぞ」


西香(さいか)姉「わぁっ、ありがとうお姉ちゃん!」


 西香(さいか)ちゃんは飴を貰い、「世の中ちょろいな」と思いながらその場を去っていった。さっきの仲裁行動も真凛(まりん)に良い印象を与えてこの飴をもらうためにしたものである。ちなみに衣玖(いく)にした飴をあげるという約束は、美味しいミルキー味じゃない方の千歳飴の小さなひとかけらを渡すことで完了している。


真凛(まりん)「(あの子達、大きくなったらどういう子になるんだろうなぁー)」


 三つ子の魂百まで。とは言えやっぱりパラレルである。


―――――――


留音(るね)「で、みんなって七五三やった?」


真凛(まりん)「わたしはやれなかったです、だから羨ましいなーって」


衣玖(いく)「私はやらされたな……7歳の頃メイクの人がやたら厚く化粧してきて……その上全然かっこよくなかったから……千歳飴くらいにしかいい思い出が無いわ」


西香(さいか)「わたくし、撮られた写真がまだスタジオに大きく飾られてますの。写真館の方がわたくしの両親に高いお金出して買い取ったらしいんですのよ。まぁ当然ですわね」


真凛(まりん)「へー。留音(るね)さんはやったんですかぁ?」


留音(るね)「やったやった。親バカなのか知らんけどあたし3回やったよ。5歳のときもやらされた」


衣玖(いく)「その頃から女の中の男だったのね。きっとご両親、ルーを『男にしか思えない』って5歳にやったけど、7歳の時に『でも生物学的に女の子だ』って……さぞかし悩んだんでしょうね」


留音(るね)「あたしが可愛くて仕方なかったんだよ!今は男女関係なく3回やる家もあるらしいし!」


真凛(まりん)「(みんないいなー……あと千歳飴食べてみたい)」

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― 新着の感想 ―
[一言] 西香ちゃん、7歳にして恐ろしい子。本当に七五三3回やる家ってあるんでしょうか?留音ちゃんだから?真凛ちゃんの最後の呟きが可愛い。
[一言]  衣玖ちゃんは3歳にして衣玖ちゃんだし、西香さんは7歳にして西香さんですね。留音さんもきっと、5歳にして留音さんで。真凛ちゃんはそういう文化のない惑星出身ですか。うーん、つくづくバランスがい…
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