2019年11月7日 いい女の日(ナーフ調整)
2019年11月7日
11月はまず「いい」という語呂合わせが使われる事が多い。そのまま0と7で女のオ&ナ、ということで、今日はいい女の日である。みんなには喜ばしい日であるかもしれないのだが、みんなの表情は浮かない。
西香「わたくし、今日ほど記念日を恨んだことはありませんわよ」
真凛「そうですね……まさかこんな事になるなんて」
衣玖「……いい男の日がああだった時点で可能性を考えておくべきだったわ……どうしよう、今回は流石に私でも作れるかわからないわよ、今日の対策品は……」
留音「いい女の日……まさかこんなことになるとはな……!」
一体五人の少女たちに何があったのか。ここまでのみんなの会話はいつもと同じように聞こえる、が……?
いい女の子「あははは……いつもとそんなに変わらないと思うけど……」
というわけで今日は……あの子がいい女になってしまったようだ……。
留音「いやいやいや!!今日はさぁ!!あたしらの誰かがさぁ!!いい女になってさぁ!!!」
西香「まぁいい男の日がああでしたからねぇ……」
真凛「誰かが大人のすごい女性になっていい女っぷりを発揮する……って想定でしたよぉ……」
衣玖「まぁいい女が登場するのは間違ってはいないわ……でもその対象がまさか……」
いい女の子「そ、そんなにおかしいかなぁ」
光を失ったあの子……。女神、天使、加護を受けし真の美少女であったあの子……。絶対に領域を侵されないはずのあの子に……『いい女になる』という人間レベルにまで下げられてしまったのだ……人間レベルであの子をかたるなど、まさに最悪のナーフ(弱体化・下方)調整である。
これではもう、見た目にすら言及できてしまうというものである。形容出来なかったはずの神々しさを失ったこの子はもう、ただの細身でありながらバランスの取れたスタイルで、あどけなさをもった小顔でぱっちりとした瞳でありながら鼻筋が綺麗な上に歯も白く綺麗に整っていて黄金比率のパーツを持った、たった5億7000万年に一人の美少女という程度の、人間の言葉だけで表せる位平凡な女性になってしまったのだ。かろうじて後光の名残があるのか、束ねられ、ヘアピンなどで留められた長い髪は銀色の輝きを放っているが、それも目で見える程度である……。
留音「自分じゃ気づかないかもしれないけど……周りから見たら全然違うっていうか……」
いい女の子「そ、そうかなぁ……」
衣玖「うん……なんていうか、こうして会話してると……もちろん得した気分はあるのよ?いつもよりは少ないんだけど……でも、会話してると、あぁ、人間なんだなぁって思えるっていうか……」
いい女の子「い、いつも人間だよぉっ」
真凛「衣玖さんも留音さんもちょっと考えすぎですよぉっ、この子はどんなに光を失ってもこの子でしょぉ?」
いい女の子「真凛ちゃん……」
西香「でも真凛さん、もし今地球が一瞬で汚染されて破壊する必要に迫られたら、この子のストッパー効きます?」
真凛「きっ……そ、それは別の話じゃないですかぁっ……普通でも耐えられないと思うし……」
いい女の子「あ、あははは……」
留音「……冷静に考えてさ、あたしらナチュラルにすげぇ酷いこと言ってるよな……?」
衣玖「あの……ごめんね?その、らくs……変化にちょっと適応できなくて……あなたが悪いわけじゃないのよ?全てはこの今日の日めくりが起こした悲劇なわけで……ねっ?」
西香「そうですわよっ、わたくしとあなたはいつでも同居人ですわっ」
いい女の子「と、友達はぁ……?」
西香「そ、そうでしたわね、お友達お友達……おほほ~……」
留音「ちょっと誰かこいつ黙らせろ」
西香「だって契約書書いてませんもの。この子がちゃんといつものような天使様だったら必要なかっ……」
その時真凛が西香をバチコン!と平手打ちを決める。西香の体は「あ~れ~」と空間に出来た渦の中に巻き込まれていき存在消失した。
真凛「でぇーい!はい、西香さんは異空間の方に吹き飛ばしておきましたから……」
いい女の子「わ、わたしっ、みんなと友達だよねぇっ?」
衣玖「当然よ!あいつの思考と発言と性格が腐れアホ虫なだけだから!」
留音「もちろんあたしだって真凛だって、お前がどうなろうともすごく大事に思ってるんだぞっ?」
真凛「そうですよっ、性格が変わったわけじゃないんですから……そんな、扱いを変えるような事ありませんからっ」
みんなとても必死だった。
いい女の子「うぅっ……ごめんね、わたしが普段から扱いづらいから……西香ちゃんだってきっとすごく戸惑ったんだよね、わたし、西香ちゃんのお友達誓約書、ちゃんと書く……友達だから……」
留音「いやぁそれは絶対やめとけ!今のお前には西香も容赦ない要求しそうだし!」
衣玖「はぁー……早急にこの子のナーフを解除する何かを作らなきゃ……でもどうしよう、宇宙史最初で最後の美少女だった子が、地球史最初で最後のいい女にナーフだから……どれだけ実数下がってるのか計算しなきゃ……無量大数くらいじゃ数値足りないわよこれは……」
真凛「が、頑張って下さい衣玖さん、協力できることはしますからぁ……」
留音「お前だけが頼りだ……」
いい女の子「うぅっ、わたし……どうせだったらみんなと普通に日めくりしたかったよぉ……」
いい女になるのはその道を目指す一般女性に限定して欲しい、今日はそんないい女の日である……。