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2019年10月22日 キャットリボンの日だからにゃんにゃんにゃー

2019年10月22日


衣玖(いく)「(私は……実はかなり猫が好き。飼ったことはないけど動画はめっちゃ見るのよ)」


衣玖(いく)「(だから今日がキャットリボンの日……すなわち猫のがんの早期発見、治療を普及させることでがんに苦しむ猫をゼロにする運動をしている日だと知っていてもたってもいられなかった)」


衣玖(いく)「(えぇ……作ったわ。猫の気持ちがわかるように、猫と会話が出来るように。そうすれば調子が悪い猫もすぐわかるし、きっと猫の世界がより良くなると思った……でも一体どうしてこうなったのか……西香(さいか)が部屋に入ってきたまでの記憶はあるんだけど……っく!屈辱よ!天才の私が……まさか……まさかこんな目になるなんて!)」


衣玖(いく)にゃん「にゃー!」


留音(るね)「わぁっ!喋ったぁー!超可愛い~!ほらおいで~っ、ぎゅーってしてやるぞぉ~♡」


 留音(るね)は文字通り、猫なで声できゃっきゃと楽しそうな表情でその猫を覗き込んでいた。その猫、すなわち衣玖(いく)にゃん。完全に子猫である。リビングの机の上に登った衣玖(いく)にゃんは、自分が衣玖(いく)であることを主張し、猫変身装置を再使用して自分を元に戻してもらうために主張したいのだが……。


真凛(まりん)「あぁっ!ずるいですー!わたしも触りたい!肉球ふにふにしたいですー!」


 みんなの様子は衣玖(いく)の意図に気づきようもない。留音(るね)を筆頭に、真凛(まりん)もノリノリ、西香(さいか)も少し距離を取りながらも興味深そうに覗き込んでいる。


衣玖(いく)にゃん「にゃああー!(ちがーう!)にゃ!(私よ!)うにゃんにゃんにゃん!(天才衣玖(いく)ちゃんよー!)」


 衣玖にゃんは小さい体でくるくるその場で回ったり、片手を振ったりしながらよく鳴いた。その度に留音(るね)が可愛い可愛いと破顔して、限界を迎えそうになっていた。


西香(さいか)「よく喋る猫ですわね。どこから入り込んだのでしょう?」


衣玖(いく)にゃん「にゃぅ~!(自作した!)なんなーん!(装置のせい!)」


留音(るね)「なんでもいいよぉ、お前可愛いなぁ、ほらなでなでなで」


 留音(るね)は警戒する衣玖(いく)にゃんに手を伸ばして優しい手付きで頭を撫でた。


衣玖(いく)にゃん「なーん!(やめてってば!)」


 衣玖(いく)にゃん自身、照れから否定的な意志を持っているが、撫でられることはそんなに悪い気分ではない。


真凛(まりん)「わたしも~っ!抱っこして……うわーっ、ふわふわだ~……」


 真凛(まりん)留音(るね)が撫でている脇からひょいと衣玖(いく)にゃんを抱き上げると、赤ちゃんのように腕で抱いて肉球をふにふに触っている。


衣玖(いく)にゃん「みゃあ~っ(くすぐったい~!)」


西香(さいか)「わたくし、あんまり動物に好かれないんですよねぇ。わたくしも触れるでしょうか……」


 西香(さいか)真凛(まりん)の脇から恐る恐る手を伸ばすと、衣玖にゃんのお腹に触れた。


衣玖(いく)にゃん「にゃっ!!(にゃっ!!)」


西香(さいか)「あら……触れますわね。ふわふわ……」


衣玖(いく)にゃん「みゃぁ……みゃ~ん……(ちょっと……どこ触って……っ)」


留音(るね)「あぁっ!あたしも抱っこしたい!ほらおいで~っ」


西香(さいか)「あ!留音(るね)さん!わたくしもっとナデナデしたいのに!」


衣玖(いく)にゃん「にゃあ~……(助かった……)」


 ひょいと衣玖(いく)にゃんを持ち上げた留音(るね)は、そのまま持ち上げると……。


留音(るね)「あっ!この子女の子だ!」


衣玖(いく)にゃん「シャーっ!!(言葉にならない悲鳴)」


 衣玖(いく)にゃんは大暴れで留音(るね)の腕から離れ、身軽に着地すると、一目散にそこから退散した。


衣玖(いく)にゃん「(っくぅ……自分じゃ元に戻れないのに……どうしよう……)」


 逃げ去っていく衣玖(いく)にゃんを見て、真凛(まりん)が二人を諭すように言う。


真凛(まりん)「も~、ふたりともだめですよぉ。いくら猫ちゃんになってるからって好き放題したら~……」


留音(るね)「え?何だよ"なってるから"って」


西香(さいか)「あの、猫ちゃん追ったほうが良いのでは?」


 衣玖(いく)はとぼとぼと家の中を歩き回りながら方法を探すと、廊下をあの子が通りがかったのだ。あの子は家の中に猫がいたことに一瞬驚いたが、すぐに屈んで笑顔で向かいれようと体勢を作る。


あの子「(*•ᗜ•ฅ*)」


衣玖(いく)にゃん「みゃーん(抱っこちて~!)」


 衣玖(いく)にゃんはあの子の胸に飛び込むと、お腹を見せて気持ちよさそうに身を委ねた。あの子は慣れた手付きで衣玖(いく)にゃんの首筋を撫でてあげると、衣玖(いく)にゃんはごろごろ喉を鳴らしている。


衣玖(いく)にゃん「(発明……大成功……)」


 そこに衣玖(いく)にゃんを探しにリビングから出てきた真凛(まりん)が、衣玖(いく)にゃんを抱きかかえるあの子を見て言った。


真凛(まりん)「あっ!いたー!あなたが見ていてくれたんですね!……もう、衣玖(いく)さん、ずるいですよ!そんな変身をして……はい、また変な発明ですよね。戻してあげるから研究室に戻りましょうねぇ」


あの子「(゜ー゜*?)」


衣玖(いく)にゃん「なーん!にゃーん!(やーだ!まだ猫でいるー!)」


 真凛(まりん)衣玖(いく)にゃんを抱っこして、スッスと衣玖(いく)の研究室の方へ向かっていった。


真凛(まりん)「ダメですっ。その姿であの子に抱っこされるなんてずるいですよ!」


衣玖(いく)にゃん「にゃんむみゃあーん(っていうか気づいてたなら早く言ってよ……)」


真凛(まりん)「それなりにふにふに肉球触って満足してからにしようと思って^^」


衣玖(いく)にゃん「みゃおーん……(みんなには秘密にして……)」


 今日はキャットリボンの日。世界のぬこぬこちゃんたちが元気で健康でありますよう。




※何故変身してしまったのかはツイッター寸劇にて

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