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最前線のヒストリアン  作者: 間庭ケイジ
日常生活編
8/8

平和の国日本

第8部 平和の国日本





ロンドンのホテルで一泊したあと俺たちは早朝の便でイングランドの地をあとにした。そこではもちろん毎度いつものように飛行機酔いにうなされたのは言わずにも分かるだろう。

「羽田からは近いの?」

俺が酔いと死闘を繰り広げている時に急にターニャが話しかけてきた。

「まあ、そこそこ。車で1時間もかからないと思う。」

「そうなんだー。レオ君のお家楽しみだなー。」

「そんな大したものじゃないよ。それより俺はターニャが言ってた『見せたいもの』って言うのが気になるな。」

恐らく戦争を勝ち抜くための大事な何かなのだろう。もしかしたらそれで奴らを蹴散らせるかもしれない。

「そんなに楽しみ?でも、今はだーめ。ここでは到底見せられないからね。」

やはり戦争に関する何かで間違い無いだろう。そして、ここで見せられないとう言うことは考えすぎかもしれないがよほどでかいものなんだろう。

「今はそんなことより休息を取った方が良いよ。異国の地に急に呼び出されて世界的な会議なんかに出席したんだから疲れてるでしょ。」

「いや、大丈夫。こういうのはもう大分慣れた。」

そしてターニャと色々な話をしているうちについ没頭してしまって気がつけば日本に辿り着いていた。




「いやー疲れたね!それにしても久しぶりに日本に来たなー。まさかこうしてもう一度来ることになるとは。」

「前にも来たことあったのか?」

「うん。一度だけ仕事の関係でね。」

「どのくらい?」

「うーん。確か半年ぐらいかな。」

良かった。それなら日常会話ぐらいの日本語は話せるだろう。

「ところでレオ君が言ってた迎えの人ってまだなの?」

そうだ。それだ。ちゃんとあいつに時間も場所も言っといたのに。また遅刻かよ。

「ごめん。まだ来てないみたいだから迎えに行ってくる。その間てきとーにそこらへんぶらついといて。」

「分かった。」



「マジでどこにいんだよあいつ。」

なかなか探しても見つからないので電話することにした。というか最初からこうすれば良かった。

「もしもし。今どこだよ。」

幸いにも電話は繋がった。

「お前の真後ろだよ。」

え?

「うわっっ!ビックリした!」

ガチで心臓が止まりかけた。そこにいたのは俺より身長が10cmぐらい大きくて黒いタキシード姿の有川だった。

「ビックリしたじゃねぇよ。てめぇどこほっつき歩いてたんだよ!」

「はぁ?!それはこっちの台詞だ!一体お前は何分遅刻したら気がすむと思ってんだよ!」

あまりにも理不尽過ぎて怒るのも疲れた。

「仕方ねぇだろ!羽田なんて全然来たことがないんだから!大体ちょっと待てば済む話だっただろ!」

「ちょっとだと?!1時間だぞ!それがちょっとってお前の体内時計どうなってんだよ!」

「てめぇ人に迎えに来てもらっといて会って早々それかよ!次からは絶対に迎えにきてやらねぇからな!」

あ、こいつ開き直りやがった!けど、もう迎えに来てもらえないのは流石にまずい。屈辱だがここは引き下がろう。

「悪かったよ。俺ももっとここのことちゃんと言うべきだった。」

本当はそんなこと微塵とも思ってない。第1ここの空港には…いや、どこの空港に行っても地図ぐらいはあるし仮に地図が読めなくてもここの従業員に聞けば良い話だ。

「分かれば良い。ガキのくせに調子乗ったことばっか言ってたらそのうち痛い目見るからな。」

「助言ありがとよ。心の隅にしまっておこう。」

これでも一応俺の大切な保護者だ。言うことはなるべく聞かないといけない。

「それで、お前が言ってた嬢ちゃんはどこにいるんだ?」

「ずっとここにいましたよ…」

「「うわっっ!!」

本日2度目の心肺停止。今回はマジでやばかった。何で毎回登場するときに後ろから出てくんだよ…

本当にいつか死にそうで怖い。

「いや、だってレオ君めちゃくちゃ遅いから探しに行ってたらなんか人が集まってるのを見かけて何かなーと思って見たらレオ君がちょうどいて話しかけても気づいてくれないから終わるのを待ってたんだよ。」

待てよ。今思えば俺たち結構でかい声で喋ってたよな…それでターニャが言った人混みってまさか…

俺は周りを見渡した。

「なあ、あれって新木海斗じゃね?」

「本当だぁ。初めて有名人に出会ったんだけどーあとでネットに載せとこーっと。」

やっぱり…とういうか多分誰でもこんな道のど真ん中ででかい声出したら迷惑以外の何ものでもないしそりゃ目立つわな。

どうしよう。動画撮られたかな。炎上したらやばいな。こんなことで何かあのことについて知られてしまったら王女殿下に恥ずかし過ぎて一生顔を合わせられないと思う。

「とりあえず外に出よっか。」



俺たちは急いで外に出ることにした。動画を撮られなかったことを祈ろう。

「なあ、アンタって英傑騎士団2番隊隊長さんだよな?」

「はい、すみません。申し遅れました。私、アルゼバイジャン家三女で、英傑騎士団2番隊隊長の

ターニャ・ベラルーシ・アルゼバイジャンと申します。この度はこちらにいらっしゃる新木・レオンハート・海斗こと新木海斗さんのボディーガードを務めさせていただくことになりました。何卒よろしくお願いします。」

「レオンハート?ボディーガード?何のことかさっぱり分かんねー。とういうか何でこんな超大物がこんなところに…」

「あとで家に帰ったら俺が全部話す。それとターニャとも少し話がある。」

やはり有川も何がなんだか分からずに戸惑っている。当然だ。こんな世界レベルの騎士団の2番隊隊長が俺のボディーガードなんて言ってるんだ。戸惑わない方がおかしい。

「ていうかターニャめちゃくちゃ日本語うめーじゃねぇか!」

「別に下手なんて一言も言ってないよ?」

「いや、まあそうだけど」

「英傑騎士団に入隊する時に英語・日本語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語のテストがあるんだー。どれくらい出来るかっていうのでね。別にそれが直接入隊と関わるわけじゃないけど話せる方が有利っていうだけ。それで入隊する前に死ぬほど勉強したんだよ。」

「へー。」

やっぱり世界最高峰の軍隊は本当に選ばれた天才たちしかいないっていうのが身にしみて実感した。

「まあ、何がなんだか良く分からねぇがよろしくターニャさん。俺、有川修造。一応こいつの保護者ってことになってる。」

「はい。こちらこそよろしくお願いします。」

「とういうわけで有川も来たことだし家に帰るか。そこでじっくり話そう。」

俺たちは家に帰ることにした。有川と話さないといけないことが山ほどある。それとターニャとも一つ気になることがある。偶然なら良い。それはそれで怖いが…だがそれが意図的なら話は別だ。恐らく『見せたいもの』と何かしら関係あるだろう。

俺は色んなことを考えながら車に乗った。

あとから起こることがあんなことだったなんてこの時点では考えることが不可能だった…

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