ボディーガードでもあり、師匠でもある
第7部 ボディーガードでもあり、師匠でもある
会議は終わった。そして、その会議の結果、色々な方針が決まった。まず、俺は、「俺が持っている情報を全て提供する代わりに俺も1人の兵士として戦える」という契約を結んだ。もちろん全て自己責任だ。だが、もし俺が命の危機に晒されたら多少の犠牲を払ってでも助けるという方針もあった。そして、何より俺が一番驚いたのは、俺にボディーガードが付いたという事だ。しかも、そのボディーガードは…
「やあ、初めまして新木君…海斗君…レオンハート君…レオ君…レオ君!うん、それが1番いいね!レオ君って呼んでいいかな?」
「え、あ、はい。どうぞ。」
「あ、ごめん。ごめん。驚かせちゃった?
私は英傑騎士団2番隊隊長
ターニャ・ベラルーシ・アルゼバイジャン!
よろしくねレオ君!」
そう、あの不滅の騎士団の2番隊隊長だ。
まさか、こんな超大物が俺なんかのためにわざわざボディーガードをしてくれるなんて…
「よろしくお願いします。で、俺はあなたをどう呼べばよろしいでしょうか?」
すると彼女はクスリと笑った。
「あーごめんね。別に君を馬鹿にしてるわけじゃないんだよ。ただ、さっき会議で、あんな大口を叩いてた割にはこういうのは押しに弱いんだね。」
「え、それはあなたが急に大声で話しかけてくるから…」
俺が最初に思ったことはとにかく「この人苦手」ということだ。
「私のことはターニャで良いよ。それと別に敬語もいらないからね♪」
「分かった。そういうことならお言葉に甘えて普通に話すよ。
これから色々と迷惑をかけると思うがよろしく頼む」
「ううん、それも仕事のうちだから全然気にしないで良いからね。私の仕事はレオ君が安心して、生活出来るようにする事だから。もちろん戦い方を教えるっていう事もだけど…まあ、とにかくよろしく!」
ターニャの言う通り俺は戦い方も教えてもらう。会議では奴らに復讐するなんて言っていたが、恥ずかしながら今、戦場に向かっても奴らに復讐どころか1番最初の戦闘で瞬殺されるだろう。
俺はたかが、歴史学者の分際で戦争という命の奪い合いに俺は身を乗り出そうとしている。それが、いけない事なのは充分に承知だ。正直俺のわがままのためにボディーガードまでついた。だが、俺はもう心に決めているんだ。奴らに復讐するためなら手段を選ばないとこの身がズタズタになってでも、俺は成し遂げる。けど、本当は心の奥底で死ぬほど怖いと叫んでいる。それをターニャは何度も経験してきた。彼女は笑っていて、楽しそうだが、俺なんかより、ずっとずっと怖さ、憎しみや、悲しみを抱いてきたのだろう。
そう考えると、俺は彼女にありがたみを感じるだけじゃ全然足りないのだと実感した。
「ん?どうしたの?そんな険しい顔して」
「あ、いや、何でもない。
なあ、ターニャ。」
「何?」
「ありがとう。
約束する。俺の最善の策を使ってこの戦争を絶対に制し、デッドアイズや、反政府同盟軍もろとも滅ぼす。」
「うん!任せたよ!未来の総大将!」
「総大将?俺がそんな大層なものになれるわくねぇって」
「いいや、私は分かる。君はきっと将来立派な総大将になって連合軍を率いることになる。なーんてね。」
「は、はは」
一瞬ターニャは真剣な顔をし、俺にそう言ったが、俺はどう対処すれば良いか、分からなかったから、とりあえず笑っといたが明らかに対処がおかしかった。
「じゃあ、とりあえず日本に帰ろうか。今日は結構疲れたし、それに向こうに行ったらこの世の常識を覆すようなとっておきのものをレオ君に見せてあげるよ。
驚きすぎて失神しないでね?」
「そんなにやばいのか?」
「うん…まあね」
その時までは正直何を見せられてもなんとも驚かないと思っていたが、そう考えていた俺がバカバカしく思えた。