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最前線のヒストリアン  作者: 間庭ケイジ
日常生活編
6/8

奴らの存在

第6部 奴らの存在












俺は2年前、結構金持ちって事以外ではどこにでもいるごく普通の中学生だった。

あの日までは…




「あーあ。寝みー。つか、学校だり〜。」

俺は、目覚ましを叩いて、あくびをしながらそう独り言をつぶやいていた。

「あ、兄さんおはよう!今日もいい天気だね!」

歯磨きをしていると弟の雄太が鬱陶しく俺にどうでも良いことを言ってきた。

「あー。はいはいそうだな。」

「兄さんは相変わらず朝に弱いんだね。」

雄太は、苦笑しながら言った。

「ほっとけ!」

雄太は、俺の1つ年下で、俺と違い俺の何十倍もスポーツ万能で、頭も超良くて、さらに超イケメンで女子から大人気だ。ぶっちゃけ俺は少し………いや、かなり嫉妬していた。

「お、2人ともおはよう。」

「おはよう父さん!」

「おはよう…」

父の新木隆矢だ。父は、結構名の知れてる歴史学者で1カ月に一回、論文発表をしたり、色んな国に調査しに行ったりだのと色々と忙しい。だから、あまり父といる時間がなかったせいか、自然にあまり喋らなくなった。

「母さんもおはよう!」

「おはよう雄ちゃん。」

「おはよう母さん…」

「あら、おはよう海ちゃん。」

母の新木直子。父と同様、歴史学者でこれまた父と同じく結構有名だ。母とはそこまで関係は悪くないが、良くもないというところだ。

「なあ、お前たち良く聞いてくれ。実は今度のゴールデンウィークにある依頼を頼まれて中国に行く事になった。本来なら2人には留守番を頼みたいところなんだが、上が特別に向こうの全額支払いで、お前たちも連れて行って良いと言われてな…だからどうだ一緒に来てみて歴史学の面白さを知ってみたくないか?」

もちろん嫌ならそれで良い。留守番を任せる。

「もちろん行くよ!兄さんも行こうよ!」

「やだよ。面倒臭い。だいたい俺、中国の事なんて何も分かんねーし。」

雄太は親の背中を見て物心ついた時から、歴史学者を目指している。だが、その時の俺は歴史学者何てこれっぽちも興味無かった。

「え〜。行こうよ行こうよ!ねぇ中国だよ!万里の長城とか、紫禁城とか、他にもいっぱい面白い所があるんだよ!」

雄太が俺の袖を引っ張って超鬱陶しい。

「あーもう。分かった分かった。分かったから離せ!」

俺は仕方なくオッケーした。

「やったー!ねぇねぇ、俊君も呼ぼうよ!良いでしょ父さん?」

「ん〜。まあ、俊なら良いか。」

「あなた…」

何故か、母さんが父さんをさえぎるように声をかけた。

「大丈夫だよ。母さん。私が…」

そこまでは聞こえたが、そこからは母さんの耳元で囁いて俺には全く聞こえなかった。

「俊からは俺が言っとくよ…」

「うん!頼んだよ!」





「なあ、俊。」

「ん?どうした?海斗。」

こいつは藤堂俊。幼稚園からの付き合いで俺の1番の親友だ。そして、今でも同じ学校に通ってる。

「今度のゴールデンウィークって予定あるか?」

「いや別に。何で?」

「いや、今度さ家族で中国に旅行?みたいなんに行くからさお前もどうかなって思って…」

「え!マジで!良いの?あ、けど俺、お前ん家と違ってそんな金ないわ…」

「金はお土産代だけで良いってさ。」

「行きます。行かせて下さい。」

俊はそう即答した。




「おじさん、おば…」

「あ、お前、バカ!」

「お母さんよ♪」

俊は見事に地雷を踏み、母さんの闇が見えそうになったが慌て俊がお母さんと言い直した。

「今日は俺なんかを一緒に連れて行ってくれてありがとうございます!」

「良いんだよ全然。むしろ私がいつも家の海斗が世話

になってるからお礼としてやっているだけだよ。」

「いや、けど、そんな事で…」

「自分へのご褒美思って」

「は、はあ。」

うわー出た。父さんの何でも数十倍に返す癖。



近くの空港まで行き、2時間ほど待ち俺たちの乗る飛行機が来た。

「お前たち、この便だから行くぞ。」

「兄さん、ちゃんと酔い止め持ってきた?」

「あ、」

飛行機の中の事は一生思い出したくない。

「お前、吐き過ぎだろ。どんだけ乗り物に弱えーんだよ。」

俊がずっと俺の事を笑っていてめちゃくちゃうざい。

「しゃーねーだろ。乗り物はガキん時からマジで苦手なんだから。

そうごちゃごちゃと言ってる間に俺たちは中国に着いた。

「すげー。これが中国か。やっぱ人めっちゃ多いな!」

「まあ、中国は人口が世界1位だからな。」

自分が言うのも何だが来てよかったと思った。

「兄さん、俊君、せっかく来たんだし思いっきり楽しもう!」

「あなたたち、5時ぐらいになったら戻ってくるのよ!」

「うん!」

「5時くらい?随分と時間をくれるな。」

「まあ、ここまで来たしいっぱい遊べって事なんじゃないの?」

「そうだな。」

その時は、俺も雄太の言う通りいっぱい楽しめと言う事なんだなと思っていた…




俺たちはとことん遊びまくったり、食ったり飲んだりしていた。俺も久しぶりに凄く楽しかった。

「これ、うま過ぎな。」

俊が一生懸命ラーメンを頬張りながら言った。

「ああ。てか、雄太が中国語喋れるなんて全然知らなかったわ」

俺はラーメンを食いながらにそう言った。

「僕の友達に中国語を話せる子がいて、その子にちょっと教えてもらっただけだよ。」

雄太の言うちょっとというのは俺には完璧という字に当てはまった。

「おい、勝手に撮るなよ。」

「良いじゃん。減るもんでもないんだし。」

「そういう問題じゃねぇよ。」

「これ、父さんと母さんに送ろうっと!」

「あ、こら!」

俺と雄太が揉めていると突然雄太が不審がって

「あれ、何でだろう。全然既読付けない。」

「おじさんもおばさんも今は観光に夢中なんじゃねぇか?」

俊が適当にボソッと言った。

「あるいは、充電切れか。」

「そんなはずは無いよ。父さんも母さんも充電満タンで来たんだから。」

「何で知ってんだよ…」

その時だった。

周りにいた人たちが、徐々に騒がしくなってきた。

「ねぇ。何かあったのかな…今すぐに父さんと母さんの所にいこう!」

「そうだな。」

俊も異常を察したらしく雄太の意見に賛成した。

そして、俺たちが父さんと母さんのいた方に向かっている途中に、中年男性の人が俺たちに話しかけてきた。

だが、俺には何を言っているのかはさっぱり分からなかった。

「どうやら、ここから、西の5キロ先にテロがあったみたい。」

「テロ?てか、西の5キロ先って………ちょうど父さんと母さんがいた所じゃねーか!」

「どうする?明らかにケータイが繋がらないのと、このテロの事は関連してるぞ!それでも行くか?」

「あたりめーだろ!」

俊はそう聞いてきたが、俺はそう即答した。

俺は、父さんと母さんが事件に巻き込まれたという考えを必死に頭からかき消そうとした。

「とりあえず早くいこう!」

そして、俺たちはようやく父さんと母さんがいた所に辿り着いた。



そして、俺たちは見てしまった。今でもはっきりと覚えているあの地獄絵図を。

「おい、何だよこれ………人の死体だよな…」

そこら中に手足や生首が転がり落ちていて、中には人の形を失っている者もいた。

俺は思わずとてつもない吐き気に襲われ、頭の中が真っ白だった。

「兄さん、もう行こう…」

雄太と俊も俺と同じような状況だった。それでも雄太は、父さんと母さんを見つけるために前に進もうとした。やっぱり雄太は俺の何百倍強かった。


すると、何やら軍人らしき人たちが何かを囲んでいた。

だが、俺にはそんな事はどうでも良かった。

「父さん、母さん!」

雄太がそう叫んだ時、俺は思いのほかの安心感でその場に倒れそうになった。

「お前たち来るな!」

意味が分からなかった。ようやく会えたのに何故向こうに行ってはダメなのか。

だが、数秒後ようやく理解した。



「おっと、こちらは新木さんの息子さんですか?」

「誰だこいつ…」

俺がそうボソッと言うと奴はすぐに名乗り出した。

「すみません。申し遅れました。

私は、レン・アダムス・オルコット。

デッドアイズ団長及びに龍をさせて頂いています。

本日は新木隆矢さん、そして新木直子さんの命を頂きに参りました。

…しかし、せっかくなのであなた方の命ももらいましょうか。」

俺らの命を頂く?もしかしてこれをやったのはこいつだって言うのか?でも、こいつら10人しかいないぞ。

俺は頭の中でそんな事を考えていた。

すると、1人の兵士が威嚇するかのように口を開けた。

「ったくうっせーな。今、いいとこなんだよ。雑魚は引っ込んでろ。」

金髪のチャラそうな男がポケットから手を出し石を拾って気づいたらそこにいた全ての兵士が死んでいた。

「あーあ。やっとこれでうるせーハエ共は消えたぜ。」

俺は、あまりに驚いて足が一歩も動かなかった。

すると今度は低身長で、横がとてもでかい男がレンという男に言った。

「ねぇねぇレン。こいつら僕が殺して良いかな?」

「待てビギー。この人たちは私が殺します。」

「う、嘘だろ…てめーら人間じゃねぇ。」

「ええ。その通り。私たちは人間ではありません。

私たちは………おっと、口が過ぎました。ちょっと話し過ぎましたね。

ケーシー。隆矢さんの息子たちをやりなさい。」

「分かったわ。」

すると長い爪を持った女が猛スピードでこちらに襲いかかろうとしてきた。

ヤバい。マジでヤバい。俺、このまま死ぬのか?

そう考えていると父さんと母さんが俺たちをかばって食い止めた。

「良いか。良く聞けお前たち。急いでここから離れてこの電話番号にかけるんだ。これは、私の部下だ。日本にすぐ返してくれるだろう。」

「あなたたち、早く行って!」

父さんと母さんが俺たちを必死になって守ってくれた。

「でも…」

「早く行け!」

雄太がそう口にした瞬間、父さんが今までにないぐらいに大声でそう叫んだ。

クソッ何がどうなってんだ!こいつらは一体何なんだ!

こいつら、何の恨みがあってかはしらねぇが俺たちを本気で殺しにかかってきている。さっきの奴といい、こいつらマジでバケモンだ。父さんと母さんが今、食い止めてるうちにこいつを気絶させるか?いや、俺にはそんな力ない。それに、こいつらテロリスト。多くの人を殺しているに違いない。

俺が、そうゴチャゴチャと考えていると

「ああもう!しつこいんだよ!レン、悪いがこの女は私が、ころすよ!」

「仕方ありませんね。直子さんだけですよ。」

レンはそう言ってその女はその長い爪で母さんを刺した。

「かあぁぁぁぁぁぁさぁぁぁぁぁん!」

雄太が泣きながら叫んだ。

「おい、母さんを離せ…」

「何だって?」

「その薄汚ねー手から母さんを離せっつってんだ!」

「薄汚いとは失礼ね。少なくともあなたより上品な自信はあるわ。

俺は、必死になって母さんを助けようとしたが母さんは既に死んでいた………

「直子!……クソッ!貴様ら…貴様ら…絶対に許さんぞ!」

「それは、こっちのセリフですよ。りゅ・う・や・さ・ん♪

そう、慌てないで下さい。あなたはちゃんと殺してあげますから。」

そう言って今度はレンが、剣を抜いて父さんを刺した。

「父さん………やめろ……やめろ、やめろ、やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろー!」

「な、なあ、今、こいつが怒鳴った時一瞬揺れなかったか?」

「何、馬鹿なこと言ってるの。デイヴィス。この坊がやったって言うの?気のせいでしょ。」

金髪の男が少し同様したがケーシーがサラッと流し、また元に戻った。

そして、父さんは死ぬ直前に「愛してる」と俺たちに逃げるようにと言った。

「にぃ…さぁん…頼む、から、に、げよう。」

雄太は、今にでも倒れそうな状況でそう言った。

「ああ、雄太の言う通りだ。海斗、早く逃げよう。」

「お前ら、少し黙ってろ…」

「おじさんたちを無駄死にする気か!」

「………クッ!………」

俺は、頭ん中が自分の弱さを忘れ、奴らを殺す事にしか頭になかった。

「俺は、絶対にこいつらをぶっ殺す。全員皆殺しだ。奴らのした事をそのまま味わわせてやる。」

それでも俊と雄太が俺を引っ張ってここから逃げ出そうとしていた。

「馬鹿ね。逃す訳ないじゃない。あなたたちはこのデッドアイズから標的にされた時点であなたたちの人生は終わってるのよ!」

「ケーシー!………ほっときなさい………」

「え?!けど、レン。」

「彼にはとても大きな力を感じます。今、殺すの勿体無いでしょう。

どうせ、またあうのですから。

そう言う事ですのであなたを生かす事にします♪ついでにあなたの弟さんと、お友達も生かしましょう。

また、いつの日か出会える時があれば今度は私の首を取れるまでに成長して下さい。」

「俺を生かした事を後悔するぞ…」

「それは楽しみですね。」

「ああ、俺もお前たちを殺すのを楽しみにしてるさ。」






そうして俺は、奴らを皆殺しにすると心に誓った。

たとえ、自分の命を捨ててでもと………

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