コープレイト・レシプロキャリー
ピピピピッ と目覚ましの音が鳴り響く。眠い目を擦り上体を起こし窓の方に目をやると清々しい快晴。
小鳥が舞っている。
心地の良いASA☆
2階を寝床にしている俺は1階にいる妹にこう言われ眠気が吹っ飛んだ
「ガイー!朝だよー!おきなさーい!」
ガイ は俺の名前だ。
言われなくても分かってるよ…と思いつつ下に降りる。
妹に起こされる気分はまぁ…悪くは無い。
妹、心愛は毎朝俺の弁当を作ってくれている。多分自分の弁当のついでだろうがこれまた絶品である。
大好物のタマゴヤキにウインナーまで入れてくれる。勿論手作りだ。
弁当を作ってくれるのも嬉しいが朝飯まで作ってくれるのだ。なんて優しい妹なのだろうか。
そんなことを考えつつテーブルの前に座っていると朝ごはんを持ってきてくれた。
「もう…たまにはお兄ちゃんが自分で作ってよね!」
「心愛はツンデレだな…」
とニヤニヤしながらそう言うと
「すきで作ってる訳じゃないし!ついでだしー!」
と可愛らしい声で言い返す。怒った顔もかわいいな。
「あ、もう時間だ。じゃあ、そろそろ行くね。」
そう言うといそいそと玄関の方に歩いていき靴を履いて
「いってきまーす」
と言いながら出てって行く。
「おー。いってらっしゃーい」
と言うと、心愛に作ってもらった朝ごはんをあっという間に平らげ自分も身支度をする。
心愛は朝の会30分前に決まって家を出て行く。
朝の会は8:30からで今は8時だ。
俺は特に決まって出る時間はない。適当に出ていくつもりだ。
妹 心愛は高一で、自分は高二である。
高校は同じだ
心愛の誕生日が4月10日。俺の誕生日は12月7日だ。これでわかると思うが生年月日が食い違う。
これだと12月に俺が産まれ、その4、5ヶ月後には心愛が産まれたことになる。
ちょっと複雑なのだ。心愛は養子としてうちに来たのだ。
だから血は繋がっていない。心愛も気づいてはいるだろうが口には出さない。
血の繋がらない妹ー。そんなドラマチックな設定な上に俺は心愛に恋をしている。
これまたドラマチックだ。だが家族である以上「好きだ」なんて言えない。
そんな葛藤に悩まされ続け俺は生活を送っている。
そんなことを考えていると時刻はいつの間にか8:10分を回っている。
「やっば…」
そう口に漏らすと身支度を終え、カバンを持って大急ぎで自転車に跨る。
鍵を閉め、いざ出発
ここから学校まで普通に漕ぐと20分かかる。それだとギリギリ遅刻だ。
なのでいつもより少し早めに自転車を漕ぐ。
だが急ぎすぎると5分前位に着いてしまうのでそれはそれで厄介だ。
クラスには俺の嫌いなアイツがいる。
〜18分後〜
2分前に滑り込みセーフ。でもないか
足早に自分の席に着くとカバンから教科書やら何やらを出し机にしまう。
すると丁度チャイムがなり、時間ぴったりに先生が来る。
「じゃあ日直。挨拶してー」
眠そうなその先生の名前は『築地 涼太』
若々しい名前に負けず劣らずパッと見た感じ年齢は20台半ばと言った感じだ。
体育教師ということで筋肉質な体に180cm以上という巨躯。
まず逆らう生徒はいないだろう。
日直が
「気をつけー、礼」
というと教室では疎らに
「はよざーす」
や
「おはようございまーす」
と聞こえてくる。
何も言わず俺は席につく。別に喋らなくてもいいのだ。
挨拶が終わるとホームルームが始まる
「えー、皆さんに登下校中に気をつけてほしい点があります」
「どうせ不審者情報とかだろ、」
と思い気ダルげに机に突っ伏していると築地先生が
「この高校の周辺に不規則に奇怪な紫色の『穴』が良く出てくるそうだ。直径1mくらいでなんだか中は紫色のモヤがかかっていて良く分からないそうだ。出現条件はわからないがいま警察が巡回中だ。危険かもしれないんで、あまり近づかないよーに。」
教室中がざわめいた。
そりゃそうだろう。こんな何の変哲もない高校周辺にそんな非日常的なものが存在するのだ。
無理もない。
少し興味を持った俺は一つ下の階のクラスにいる心愛を誘って帰りに探してみようと思った。