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八十九話目 初授業の日



 濃い~1日目がやっと終わり、今日はいよいよ初授業の日。


 入学式の前日に確認した通り、学部はそれぞれあるけれど、3年間は基礎の基礎。


 前世の僕も習った、【国】、【社】、【数】の他に、【体育】と言う名の武術を教えてくれる時間と、魔法の歴史や実践的な魔法を教えてくれる【魔術】を含めた5つの授業がある。


 2年生になるとフィールドワークの授業も増えてくるらしいんだけど、1年間は学園の中でみっちり教えてもらうそうだ。


 因みに初授業は皆のお楽しみ、【魔術】の授業。


 先ずは、どれくらいの魔法が使えるのかを確かめるんだって。


 ん~、僕のは昨日大分確かめられたと思うんだけどなぁ~。


「シエロ、1限目から【魔術】の授業とか燃えるよな!」


 席に着いて、ウダウダしていると、ルドルフから声が掛かった。


「ん~、僕昨日魔法いっぱい使ったしなぁ~。そこまでは燃えない~」


「んだよ、ノリ悪いな。魔法ったら攻撃魔法だろ?昨日のはまた違うじゃん」


 あ~、攻撃魔法か…。


 僕が習ったのって、ジュリアさんとドーマさんに教えて貰ったアレとアレだけだなぁ…。


 ん~、アレらがどれだけ使えるのか分からないけどやれるだけやってみるか…。



《カチャ》


「はい、皆さんお早うございまーす、席につきましょう!」


 あっ、先生が来た。


 おぉ~、眼鏡が眩しく光ってるねぃ(笑)


――――――


 と言うわけで、今僕達は屋外実習棟に来ています。


『誰に向かって説明してるのよ?』


 ん?独り言(笑)


 それよりさ、昨日は兄さんのせいであんまりじっくりと見られなかったけど、此処って結構広いんだね?


『え?そうねぇ…』


 野球場が2つくらいはスッポリ入るであろう広さの屋外実習棟に、僕らは今整列している。


 他のクラスの子供達の姿は無く、この場所にはA組の生徒だけが立っていた。


 材質は分からなかったけど、人型の何かがズラリと僕らに対面する様に並んでいる。


 頭、胸のにあたる部分には三重に連なった黒丸があるし、もしかしなくても、あれが的なんだろうなぁ…。




「ドキドキするね?シエロ君」

 隣を見ると、何処か落ち着かない様子のデイビッド君が眼鏡のフレームをいじっていた。


 何かハワハワしてて可愛い…。


「そうだね、此処で何をするんだろう…」


「分からないけど、何か魔法を使うんだよね?うわ~、どうしよう~」


 うん、わちゃわちゃしてて可愛い…。


 何だろ、この子凄い和む(笑)


「はい、それでは皆さん並びましたね?これから皆さんには、あの的を壊して貰います。ただ攻撃するのではなく、何かしらの魔法を絡めて攻撃して下さい。皆さんがどれだけ魔力を制御出来るのかをみたいと思います」



「「「「「はいっ」」」」」


「いいお返事ありがとうございます。的が壊せなかったからと言って、何か罰があるわけではありませんので、安心して緊張せずに行ってみて下さいね?では出席番号順に行きましょう」



 と言う先生の言葉を経て、先ずはアラン君から。


 彼は確か土属性持ちって言ってたよね?


 列から一歩前に出て、短い杖を両手に持ち、構えをとるアラン君。


「それでは、お願いします」


「はい!行きます。母なる大地よ、僕に力を…。アースニードル」


《ズガァァアァン!》



 アラン君が短く呪文の詠唱を終えると、地面から鋭く太い槍の先端部分みたいなものが3本飛び出して、人型の的を穿った。


 人型と言っても、手足があるわけでもないし、そこまででもないんだけどね?


 穴だらけの的を見ていると、何とも言えないエグさとグロさがあるよね…。


 攻撃魔法って結構威力があるんだなぁ…。


 うん、人に向ける時は気をつけよう…。



「はい。中々いい威力ですね。ありがとうございます。では次、アレックス君」



 あっ、確かアレックス君は風属性持ちだったよね?


 ワクワク♪


「いっくぞー!!風よ、俺に纏いて刃となれ!!ウィンドカッター」


 おぉ!?


 アレックス君は自分の身体に風を纏わせて的に向かって走っていった。



《ズドガァァアアン!!》


 的に向かって行ったアレックス君は、先のアラン君よりも激しい衝撃音を放ち、的をバラッバラにした。


 すげぇ~、砕けた破片がこっちまで飛んできたよ?


「お見事です。では次――」



――――――


 何だかんだで次は僕の番。



 流石はA組だよね?的を壊せなかったのは誰もいなかった。


 ブロンデも、アレックス君と同じく雷を身体に纏わせて的を豪快に破壊していたし…。


 うわぁ~、これはこれで緊張するなぁ…。



「では次はシエロ君、お願いします」


「はい!」


 さて、ここまで見てて、僕はジュリアさんに教えて貰った方の魔法を選択する事にした。


 一度深く深呼吸をして、緊張から揺らいでしまった魔力の波を穏やかにする。


 よしっ!


《ビッ、バッカァァアアアン》


「えっ?」


「今何したの?」


 急にざわつき始めるA組のよい子達。


 あ~、一瞬のうちに的を木っ端みじんにしたから、傍目からは分かりづらいと思うけど、今のは圧縮した石の礫に風を纏わせて飛ばしただけ何だよね…。



《「シエロ様、魔法はとにかく速さが肝心でございます。速さで攪乱する事が出来れば、敵も打ち取る事も可能となりましょう」》



 ジュリアさんのその教えを信じて良かったかも…。


 まぁ、多少は目立っちゃったけど…。


『ちょっと?』


『シエロのちょっとさ、私よく分かんねぇ…。』



 あはははは、きっ、聞こえな~い。


「シエロ君、今のは小さな石礫を的にぶつけたのですか?」


「はい、小さな石礫を作り出して、風を纏わせて飛ばしました。1つだと壊れないかもしれないと思いましたので、10粒ほど飛ばしてみました」


「成る程…、土と風の複合魔法ですか…。それを無詠唱でいくつも…。うーん。流石、ですね…」


「「「「「おぉ~」」」」」



 周囲から歓声が上がる。


 止めて、注目せんといて!!


『あれだけ目立っといて、それはないわ~』


『んだんだ。結局昨日先生さ貰った杖も使わねかったべし、目立つに決まってんべに』



 うぅ、やっぱり使った方が良かった?


『そりゃそうよ。杖は魔力の増幅と、制御をしやすくしてくれる物だもの。使ってれば少しは誤魔化せもしたでしょうに…』


 ブリーズとクレイに呆れられたけど、もう何を言っても後の祭りだった。


 それからは何かもう酷かったんだ。


 いや、僕のせいだって言うのは重々承知してるんだけどね?


 何か威力合戦みたいになっちゃって…。



「うぉおー!燃え上がれ俺の拳!ファイアーナックルぅー!!」


 とか


「唸れ、光の翼。金色の刃。ライトニングショット」


 とか


「沈め、海の底へ…ダイタルウェーブ」


 とか


「凍れ…アイシクルランス」


 とか。


 そんな感じで、屋外実習棟からはボカーンだのズガガガガガだの恐ろしい音が鳴り響いていたよ。


 いや~、A組の武闘派って感じの面々によるマジックショーみたいだったね。


 その代わり、あんまり魔法制御が得意じゃない生徒達には可哀相な事になってしまった…。


 特に、アリスさんとかは杖無しだった事もあってか、上手く魔法が練れなくて不発に終わってしまっていたし、他にも的が壊れなくて悲しそうな顔をしている子もいた…。



 うわぁあぁあ~、何かごめんなさい!?


 先生は上手く的を壊せなかった生徒達に、「今日は威力を見る授業ではないから大丈夫ですからね?また次、頑張りましょう?」何て慰めの言葉を掛けて回っていたけど…僕の魔法が引き金だったのは明らかな訳で…。



 僕はもう二度と調子に乗りません。


 本当にごめんなさ~い(泣)





本日もお読み頂きありがとうございました。



さて、活動報告でも報告させて頂きましたが、累計PVが10万アクセスを超えました!!


皆様のお陰です、本当にありがとうございます(;∇;)/


感謝の気持ちを込めまして、閑話という形でお返ししたいと思うのですが、


・幼いアーサー(主人公祖父)の冒険物語


・ルーメン(主人公姉)の日常


・クラレンス(光の精霊兼神父)の所へ赴任して来た新人の苦労話


の3つのお話しを取りあえず考えいます。


この3つの内のどれか、もしくはその他に何かリクエスト等ございましたら、是非感想欄にてご一報頂けたらなと思います。

一応、12月16日の21時までで締め切りとさせて頂きます。


何卒、宜しくお願い致します。



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