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八十七話目 話しが逸れていっては戻った日



 森の一族と呼ばれるエルフ族は、昔から妖精達との交流が盛んに行われていて、その一族出身のランスロット先生も契約者だった事を知った。



 そして、そのアイレさんに翻弄されながらも、それがまた嬉しそうなランスロット先生。


 僕達もあんな風に長い時間を一緒に過ごせたら良いよね?


『良いよね~?じゃなくて、過ごすのよ!それで、スパークが帰ってきた時に見せびらかしてやりましょ?』


『んだんだ』



 ンフフ、ありがとう。


 でもさ…。


 今ちょっと思ったんだけど、クレイさっきから【んだんだ】しか言ってなくない?


『んな事ないだよ?』


 そう?


「シエロ君、お話し中すいませんが、少し、僕ともお話しをしませんか?」


「えっ?あっ、はい」


『ブリーズちゃん達はあたしとお話ししましょ~?この辺りにね?美味しい蜜を分けてくれる蜂友が居るの~♪』


『えぇ、良いですよ?じゃあシエロ、私達の事は気にせず、ゆっくり話してて頂戴ね?』


『でば、ちっと行ってぐっかんない?』


 行ってらっしゃ~い、とブリーズ達を見送る。


 小さく開いていた窓から、彼女達は楽しそうに外へと出て行った。


 おぉ~、あっという間に見えなくなったや…。



「では、2人っきりと言う事でお話ししますが、実はシエロ君にお願いしたい事がありまして…」


 人払いまでして話したい事って、一体どんな重要な話し何だろう…。


 ゴクリと唾を飲み込む。


 張り詰めた空気が、部屋の中を満たしていく。


 覚悟を決めた様に先生が重い口を開いた。


 此処まで先生が緊張する話しとは…。



「実は、私にも眼鏡を作って頂きたくて…」



 えっ?


 あっ、眼鏡?


 何だ…、世界を救って下さいとか言われたらどうしようかと思った…。


 えっ?自意識過剰だって?


 ごめんね!?


 僕だって男の子だもん!!勇者様に対する憧れだって人並みに持ってるもん!!


「シエロ君?」


「あぁ、何でもありません。お話しって眼鏡の事だったんですね?」


 確かに先生の目の事は、昨日から気になってた事の1つだ。


 そもそもデイビッド君の事情を知るよりも先に、眼鏡の必要性を感じてたんだし、先生から話しを切り出してくれるなら凄い有り難い。



 生徒から先生にって行き辛いしね?


 えっ?逆だって?


 細かい事は良いんだよ(笑)



 っていうかさ~、結構目が悪い人多いのに、何で誰も眼鏡に行き着かないんだよ…。


「えぇ、実はプロクス君が学園に掛けてきた時から気になっていまして…」


 あぁ~、そんなに前からだったんだ…。


 えっ?じゃあさっき、アイレさんが言ってた偶然じゃないっていうのは…。

「あっ、そう言えばさっきアイレがシエロ君に色々吹き込んでいたみたいですけど、シエロ君が僕のクラスになったのは本当に偶然ですからね?」


 あれ?


「確かに貴方のお祖父様から、貴方が【見える人】だから、色々相談に乗ってやってくれとお願いはされましたけど、クラスを決める権限何か私にはありませんから…」



 権限…?


 あっ、そっか。


 良く考えたら、この学園のクラス分けって魔力量に付随するものだったっけ?


 だからと言って、たとえ兄さん達がA組だとしても弟の僕まで同じA組とは限らないもんね?



 ………あれ?


 今先生、祖父さんって言わなかった?



「うちの祖父が先生に、何か失礼な事をお頼みしたのではありませんか?」


 うちの歩く鬼瓦が先生を脅してたりしたら、僕は学園を去るしかないかもしれない!?


 慌てて先生にそう尋ねたけど、返ってきた答えは意外なものだった。



「フフフ、君も変な所が真面目でアーサーそっくりですね?何も失礼な事はないですよ?君だって友達の頼みは聞くでしょう?」


 へ?アーサーって呼び捨て?

 えっ?友達?石膏像みたいに整った顔の先生と、泣く子も気絶するうちの祖父さんが?


 嘘だ~。


「フフフ、その顔は信じてませんね?まぁ、森の一族とヒューマン族では時の流れが違いますからねぇ…。こう見えても、アーサーと僕は同い年何ですよ?この学園で一緒のパーティーを組んでいたんです」


「先生と祖父が一緒のパーティーだったんですか?」



 流石エルフ…。


 どう見ても20代、下手したら10代にも見える先生と、それなりに年相応な59歳のおっさんが同い年とは…。


 って言うか、祖父さんとランスロット先生が同じ場所にいるっていうのが想像出来ない(笑)



 あれ?じゃあ…。


「もしかして、クラレンス神父様とも?」


「おや?クラレンスをご存じでしたか?そうです。彼と私とアーサーの3人のパーティーだったんですよ」


 そのうちに5つ後輩のエリザベートが加わり、楽しく冒険者 をしたものです。


 と懐かしそうに先生は話してくれた。


 それぞれ歩く道は違ったけれど、今でもこまめに連絡を取り合っているんだそうだ。


 他にも、祖父さんがドラゴンに頭から突っ込んで行ったのを祖母さんが援護して倒した話や、森を抜ける途中にあった湖で汗を流そうと入ってみたら、思ったよりも水深が深くて、祖父さんが溺れた話しなんかを聞かせて貰った。


 祖父さん…orz



「フフフ、思いがけず年寄りの長話に付き合わせてしまってすいません。眼鏡はシエロ君の良い時で構いませんので、お願い出来ませんか?」


「いえ長話なんかじゃありません。とても楽しい冒険談でした。2人とも中々昔の話しをしてくれないので、若い祖父母の話しを聞けて嬉しかったです。それと、眼鏡は今からでも構いませんか?」


 ルドルフには止められたけど、何回も魔力切れまで行った僕だよ?


 自分の魔力残量くらい勘である程度分かるってもんですよ!

 それで言うと、大体3割も使ってないくらいかな?


 って話しを掻い摘んで先生にも話すと、ステータスカードを見せて欲しいと言われた。



 と思ったものの、先生が見せろって言うんだから、別に可笑しな事にはならないだろう、と大人しく見せる事にした。


「はい先生。これが僕のステータスカードです」



「ほう、真っ白いカードとは珍しいですね?では失礼して…」


 先生は僕のステータスカードを受け取ると、何やら操作し始めた。


 あぁ~、やっぱり真っ白いカードって珍しいんだね?


 周りの人達が誰も食い付かないから、案外普通なのかな?とか思ってたよ(笑)


 あっ、そう言えば確かブロンデのカードは黄色だったなぁ…。


 ルドルフのはまだ見てないから分からないけど、炎属性って言ってたし、兄さんと同じ真っ赤で派手なカード何だろうな。


 それにしてもさ?雷属性持ちって、何か特別感が凄くない?


 良く読んでた小説の主人公は雷属性だったっけ…。


 やっぱり雷って勇者属性だよなぁ(笑)



「はい、これでシエロ君の体力と魔力が出ました」


 えっ?


 僕がボーっとしてる間に何がどうなったの?



「詳しい操作方法は明日の授業でお教えしますが、これが君の体力・魔力値です」


 そう言って先生がカードを見せてくれた。


 カードには、いつもの加護やらスキルやらの欄が無くなっていて、代わりにこう書いてあった…。



―――


シエロ・コルト


性別:男

年齢:6歳

level:10

種族:ヒューマン

魔法属性:光・空間・風・土・樹(草・花)

所属:聖ホルド学園


体力値:250/300

魔力値:800/1000


―――


 おぉ~便利~。


 なるほど、このカード使えば勘に頼らなくても良いのか…。


 まぁ、いつもカードが見れる訳じゃなし、これに頼りっきりってなってもマズイかもだけどね?


「ご覧の通り、ここに体力値、魔力値を示す項目があります。これを見ると、君の魔力値がずば抜けて多い事が良く分かりますね…」


「えっ?これって多いんですか?」


 思わず反射的に尋ねると、先生は苦笑を通り越して変な顔をしていた。


 えっ?僕変な事言った?


「これも、明日皆と見比べてみれば分かる事ですが、A組に入れる下限は300です。つまり、君が今日使った魔力量より少し多いくらいなのですよ?」



 因みに平均は400ちょっとくらいだそうだ。


 魔力量が少ない少ないと育って来た僕は、いつの間にか学年トップの魔力量になっていたらしいよ!?





ランスロットの昔話がほんの少しだけですが出て来ました。


アーサーは昔から色々とやらかしていますが、その話しはまた今度と言う事で(笑)


本日もお読み頂きありがとうございました。



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