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八十三話目 友達とわいわい話し合った日



 さぁ、腹が減っては何とやら、楽しい楽しいお昼タイムです♪



 鉄板から上がる蒸気、そこから立ちのぼるかぐわしいばかりの肉の焦げる香り。


 ナイフを入れると、そこからプツンと弾ける肉汁。


 そして、更にそれが鉄板に熱せられ、焦げた香りが僕の鼻孔をくすぐる…。


 んはぁ~、たまらん!


 香りに耐えきれず、一口大に切ったソーセージを勢い良く頬張る。


 口の中に弾け出す甘い肉汁と、燻されたスモーキーな香りとが広がり、至福のハーモニーを醸し出す。


 少々舌を火傷した様だけど、構うものか!!


 うぅ~めぇ~。


 続いて、肉汁が鉄板に零れて少し焦げた所をパンで拭って口の中に放り込む。


 えっ?マナー違反?構うものか!!あぁ、カロリーってうめぇ…。


「昨日の夜も思ったけどさ、シエロ君ってものすごくおいしそうにご飯食べるよね?」


「だよな?つい、俺のも食うか?って言いそうになったし」


 美味いもんを美味そうに食って何が悪いと言うのか!!


 ん?俺のも食うか?


 兄さんもよく言ってたような…。


 まぁいいや。


「美味しい食事には、作ってくれた人に対する敬意と感謝の念を持って食べる、っていうのが僕の方針だからね?誰だって美味い美味いって食べてもらえたら嬉しいでしょ?」


 後は命をくれた食材に対しても感謝の念を忘れないって事かな?


 それで更に美味しい料理が出て来るのなら、僕も嬉しいしね☆



「なるほど…。僕のお母さんも、僕が美味しいって言ったら嬉しそうな顔するもんなぁ…。シエロ君は凄いね?」


「ヤダな~、そんなに褒められても何も出ないよ?デイビッド君」


「あっ、魔道具は出るんじゃね?」



 アハハハハと4人で笑い合う。


 さっきも言った気がするけど、友達とくだらない話題とかで盛り上がるのって楽しくて良いなぁ~。


「あっ、魔道具で思い出した。【眼鏡】ってさ、一応こんな形をしてるんだ。デイビッド君の好みに合わせて多少なら変えられるけど、どうかな?」


 僕は、空間魔法を使って異空間から眼鏡のフレームだけの物を取り出した。


 兄さんの眼鏡が壊れた時用に、幾つかストックを予め作って来てたんだよね♪


 因みに、兄さんは三角顔だから、フレームは丸形にしてあるよ?


 って…、あれ?


 皆どうしたの?


「シエロ、お前今、どこから出した?」


「えっ?此処から?」


 僕は異空間のゲートを再度開いてみせる。


 これ、実はあの時の【巾着袋】の応用編。


 和子物な巾着袋は、余りにもこの世界の印象からかけ離れてたからって作り出した苦心の作なのだ♪


 何も無いところにポッカリ穴が開いてる様にも見えるけど、土魔法で作り出した金属製の輪っかと空間魔法をリンクさせてあるだけなんだよね。


 金属製の輪っかは伸縮自在に作ってあるから、少しくらい大きな物も出し入れは可能かな?


 輪っかは通常時10cmくらいの大きさだけど、MAX1mくらいなら伸びるから、結構便利なんだよ?


 【僕の箱庭】ともリンクさせてあるから、いざとなったら箱庭の中の物もここから取り出せるのだ!



 この前の長期休みの時に帰省して来た兄さん達に見せたら皆欲しがっちゃったもんだから、簡易版だけど僕の家族全員分作ったんだよね♪


 あると目茶苦茶便利だよ?

 場所も輪っか分くらいしか取らないから、ポケットに入れといてもかさばらなくて良いし、何なら普段はアクセサリーとして身に着けてても可愛いよ?



 って違う違う。


 今はこっちじゃなくて眼鏡の方だよ!


 いや、そんなに欲しそうな顔しても駄目だよ?お3人さん!!


 流石に眼鏡と違ってこいつは直ぐには作れないんだからね?


 今は諦めて?ねっ?



「こっちの空間リングはまた今度ね?今はこっち。眼鏡の方にして?これはプロクス兄さんがしてるのと同じ形のやつだけど、デイビッド君は兄さんよりも顔が小さいし、ちょっと丸形だから…」



 ふむ、兄さんと違って丸形の眼鏡だと丸顔に丸形で真ん丸の顔になっちゃうから、デイビッド君の場合は少しフレームを四角くして、メリハリを効かせた方が似合いそうだね…。


 僕はブツブツと、あれやこれや考えながらフレームの微調整を行った。


 ストックならまだあるから、1本くらいなら平気だし、どうせならデイビッド君の居るところで調節したいしね?


「よし、いい感じ…。何だよ、皆して変な顔して…」


「いや、お前が可笑しいだろ?何で堅そうな金属がグニャグニャ動くんだよ!」


 ルドルフあんまり大きな声出すなよ!


 止めてよ、こんないっぱい人が居るところで。


 目立っちゃうだろ?



「僕土属性持ってるし、小さい頃から色々いじってたら出来る様になったんだよ。さっ、どうでもいい話しは置いといて、型枠は出来たよ?デイビッド君にはこの形が似合うと思うんだけど、どうかな?」


「えっ?あっ、うん…。僕は大丈夫。どういうのが良いのか良く分かってないし、シエロ君に従うよ…」


 むぅ、始めてみる物だし、当たり前か…。


 僕の完璧な配慮ミスだね、反省反省。


「じゃあ取りあえず型枠はこの形でやってみるね?後は放課後やるとして、先ずはご飯食べちゃお?せっかくのご飯が冷めちゃうしね?」


「うん…」


「おっ、おう」


「……《コクコク》」



 はて、何でブロンデはさっきから一言も喋らないんだろう…?


 あっ、もしかして口の中がパンパンだからとか!?



◇◆◇◆◇◆


 食事後、食器の回収口へ一足先に片づけに言ったシエロ君を、僕達3人は見つめていました。


「流石はプロクス様の弟君おとうとぎみ…。やっぱり規格外の凄さだねぇ…」


 僕がポツリと洩らした言葉に、他の2人も首を縦に振って賛同してくれました。


「いくら何でも、あんなグニャグニャ金属が自由に動くなんて有り得ないだろ…」


「うん、あっという間に形が変わっていくんだもん。僕、驚いちゃった…」



 やっぱり皆もそう思ってたんだね…。


 僕らの年で、あんなに正確に素早い魔法行使と制御が出来るなんて有り得ないよ…。



 僕と、ルドルフ君とデイビッド君はそれぞれ顔を見合わせながら深いため息をついた。




始めて食事のシーンが入りましたが如何だったでしょうか?


お楽しみ頂けたら幸いです。


本日もお読み頂きありがとうございました。

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